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第55話 セヴェリ様を罪人にするつもりですか
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セヴェリとレイスリーフェの式を待たず、サビーナはクラメルの屋敷に住む事になった。
結婚の準備をするのに、あまりに両家は遠すぎる。
結婚後はクラメルの屋敷に住むのだからと、レイスリーフェは呼び寄せずに、セヴェリの方がクラメルの屋敷へと行く事になったのだ。レイスリーフェを呼び寄せて、またリックバルドと密会されてはかなわない……というセヴェリの気持ちがあったのだと思うのだが。
斯くしてサビーナはセヴェリと共に、ユーリスの街へとやってきた。
クラメルの屋敷に、サビーナも部屋を割り当てられる。メイドとしては立派すぎる部屋を与えられてしまい、若干恐縮したが、これがクラメルのもてなしだろう。断らずに有難くその部屋を使わせてもらう事にした。
ユーリスまでの護衛はリカルド班だったので、デニスとは顔も合わせずにユーリスに来た。
もうしばらくは会う事もないだろう。むしろこうして距離を取れて良かったかもしれない。でなければ、いつまでも彼の事で頭をいっぱいにさせてしまっていたに違いない。
頭を切り替えよう。
ここはユーリス。クラメルの屋敷に住むのは、私とセヴェリ様だけ。
私の役目はセヴェリ様のお世話、護衛、そして癒して差し上げる事。
それと……何があっても、セヴェリ様を生かす事。
己のやるべき事を再確認し、すうっと大きく息を吸う。
ここは敵陣だ。今までのようにのんびりふわふわお茶を淹れているだけでは済まされない。
部屋の中でそんな風に気合いを入れていると、トントンと扉がノックされた。
「サビーナさん、少しよろしいですか?」
その扉の向こうから聞こえる声にサビーナは一瞬たじろぐ。
この天使のような妖精のような澄んだ瑞々しい声は、レイスリーフェに相違ない。
「はい」
サビーナはキリッと答えて扉を開けた。
そこにはどこか儚さを持つ、可憐な花のようなレイスリーフェが立っている。
「レイスリーフェ様、どうかなさいましたか?」
「少し、サビーナさんにお話がありますの。中に入れていただいてもよろしいかしら」
「もちろんです。どうぞ」
断る理由もなく、サビーナはレイスリーフェを中に招き入れた。
彼女は当然のようにソファに座り、サビーナはお茶を淹れて彼女に出す。セヴェリならありがとうと言ってくれるところだが、彼女は何も言わずに口をつけた。
しかしまぁ、これが普通の貴族のあり方だろう。セヴェリが目下の者に丁寧過ぎるだけなのだ。
「レイスリーフェ様、どのようなご用件でしょうか」
サビーナは座らずに立ったまま聞いた。目上の者に促されなければ、自分から座れないからだ。
レイスリーフェはそんなサビーナを見上げて微笑んだ。その澄んだ微笑に撃ち抜かれるかのようにサビーナはピクリと体を動かす。
確かにこれは、並みの男ならイチコロだろう。セヴェリが一目惚れしたというのも、リックバルドが結婚したいというのも頷ける。
「クラメルの屋敷にあなたが来てくれた事、とても嬉しいわ。これから協力して行きましょう」
「……はい?」
サビーナは何の事かと首を傾げた。レイスリーフェの言っている事が理解出来ない。
「協力してくれますわよね?」
「何を……でしょうか」
「もちろん、セヴェリ様が謀反を起こさないように……ですわ」
そう言えば、レイスリーフェは謀反反対派だった。そういう意味では、レイスリーフェとサビーナは同志なのである。リックバルドからサビーナの事情を聞いているのだろう。謀反を止めるのが当然のようにそう話しかけてきた。
「……ひとつお聞きしてよろしいですか?」
「あら、なんでしょう」
「謀反をやめさせる事に成功したら、リックバルドの事は忘れてセヴェリ様だけを見て頂けますか」
サビーナは真っ直ぐレイスリーフェの目を見て問いかける。彼女もまた、逸らすことなく視線を返してきた。
「無理ですわ。あの方を、忘れられませんもの」
レイスリーフェはあっさりと突き返してきた。サビーナもこんな問答で彼女の気持ちが変えられるとは思ってはいないが。
「でも、結婚が迫っています。結婚したら不貞なんか出来ませんよ。私がさせません」
「リックバルドさんにはあなたがセヴェリ様を落とすと聞いていますわ。結婚する前に是非お願いします。でなくば、こちらも非情の策を取らねばなりませんから」
ピキッ、と空気が凍るかのように冷たいものが流れる。
強行手段、という言葉が頭に舞い踊った。
リックバルドと同じく、レイスリーフェもまたセヴェリを皇帝に訴えるつもりでいる。
「セヴェリ様を罪人にするつもりですか」
「したくはありませんわ。だからこうしてあなたにお願いしているんです」
レイスリーフェの言葉は、芯から言っているのだろうか。彼女と会うのはこれで三回目だ。人柄が今一読み切れない。
「わたくしの言葉が信じられませんの?」
「ええ。だってレイスリーフェ様は、セヴェリ様が捕まった方が都合が良いのではありませんか? 婚約者が居なくなれば、好きな人と結婚できますもんね?」
サビーナの言葉に、レイスリーフェは一瞬無表情になったかと思うと、大きな溜め息を漏らした。
「あなたが私を信用出来ないのは仕方ありませんわ。でも、リックバルドさんにも同じ事が言えますの? セヴェリ様が捕まった方が好都合でしょう、と」
そう問われると、サビーナは口を噤むしかなかった。
リックバルドはセヴェリを罪人にしたい訳じゃないはずだ。レイスリーフェと結婚したいのは確かだろうが、そんな事の為だけに主を売るような真似をする男では、決してない。それはサビーナが一番良く分かっている。
「わたくしもリックバルドさんと同じ気持ちです。彼と結婚はしたいけれど……セヴェリ様を貶めたい訳ではありませんもの……」
リックバルドもレイスリーフェも、サビーナよりもずっと長い時間セヴェリと共にいた人達だ。思いの差で二人に負けるつもりはないが、リックバルドにしてもレイスリーフェにしても、セヴェリを大切に思う気持ちがあるのは当然の事だろう。
「だから、協力してセヴェリ様を止めましょう。わたくし達は仲間ですものね」
そう言われてサビーナは身を固まらせた。
クラメルは敵陣。
いつの間にかそういう思いで来てしまっていたが、確かにセヴェリを止めるという意味では……仲間だ。
では、謀反賛成派が敵になるのか。しかしデニスは賛成派だが、サビーナは彼こそが同志であると思っている。
一体誰が敵で、誰が味方なのだろう。レイスリーフェの言う事は分かるが、全面的に信用は出来ない。
以前ファナミィがセヴェリの護衛に外に出た時、全員が悪人に見えると言っていたが、まさにそんな状況だ。
「結婚式まで時間がありませんわ。おそらく……わたくしがセヴェリ様のお考えを変える事は不可能です。でも、サビーナさん……あなたなら」
式までもう一ヶ月を切ってしまっている。本当に時間が無い。お尻に火がついている状況で、一体何が出来るだろうか。どうにかしなくてはいけない事は分かっているのだが。
「出来ることは何でもしますわ。お金が必要ならばいくらでも用意しますし、二人きりになれる空間が欲しいならばそれも用意出来ます。ですから……お願いしますね」
結局レイスリーフェはこちらに全てを放り投げておいて、にこりと微笑んだ。
きっと彼女はどちらに転んでも良いのだろう。サビーナがセヴェリを落として謀反をやめさせても、セヴェリを密告して犯罪者にさせても、彼女はリックバルドと結婚出来る状況になるのは変わり無いのだ。
レイスリーフェは椅子から立ち上がると、優雅に部屋を出て行く。サビーナはそんなレイスリーフェを半眼で見送った。
不貞を働くような人物ではあるが、根は悪い人では無いのだろうとは思う。でなくば、セヴェリやリックバルドがあんなにも惚れるわけは無いだろう。
だが、サビーナはどこか食えない人物だという印象を受けた。どこがどうとは、明確には言い表せられないのだが。
見掛けは天使だ。いや、妖精だ。花畑の中に立って『私は花の妖精です』とか言われたら、サビーナでも信じてしまうくらいの勢いで可憐なのだ。
しかし物語の中の妖精は、得てして気まぐれだったりする。もちろんレイスリーフェは妖精などではなく、れっきとした人間ではあるのだが。
誰が味方で誰が敵なのか。
班長同士が疑心暗鬼になっているという話を、サビーナはようやく理解できた。あちらはどうなっているのだろうか。マウリッツが班長らを説得している状況だろうか。
時間が無い。
切羽詰まった状況に、不安という波が押し寄せていた。
結婚の準備をするのに、あまりに両家は遠すぎる。
結婚後はクラメルの屋敷に住むのだからと、レイスリーフェは呼び寄せずに、セヴェリの方がクラメルの屋敷へと行く事になったのだ。レイスリーフェを呼び寄せて、またリックバルドと密会されてはかなわない……というセヴェリの気持ちがあったのだと思うのだが。
斯くしてサビーナはセヴェリと共に、ユーリスの街へとやってきた。
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ユーリスまでの護衛はリカルド班だったので、デニスとは顔も合わせずにユーリスに来た。
もうしばらくは会う事もないだろう。むしろこうして距離を取れて良かったかもしれない。でなければ、いつまでも彼の事で頭をいっぱいにさせてしまっていたに違いない。
頭を切り替えよう。
ここはユーリス。クラメルの屋敷に住むのは、私とセヴェリ様だけ。
私の役目はセヴェリ様のお世話、護衛、そして癒して差し上げる事。
それと……何があっても、セヴェリ様を生かす事。
己のやるべき事を再確認し、すうっと大きく息を吸う。
ここは敵陣だ。今までのようにのんびりふわふわお茶を淹れているだけでは済まされない。
部屋の中でそんな風に気合いを入れていると、トントンと扉がノックされた。
「サビーナさん、少しよろしいですか?」
その扉の向こうから聞こえる声にサビーナは一瞬たじろぐ。
この天使のような妖精のような澄んだ瑞々しい声は、レイスリーフェに相違ない。
「はい」
サビーナはキリッと答えて扉を開けた。
そこにはどこか儚さを持つ、可憐な花のようなレイスリーフェが立っている。
「レイスリーフェ様、どうかなさいましたか?」
「少し、サビーナさんにお話がありますの。中に入れていただいてもよろしいかしら」
「もちろんです。どうぞ」
断る理由もなく、サビーナはレイスリーフェを中に招き入れた。
彼女は当然のようにソファに座り、サビーナはお茶を淹れて彼女に出す。セヴェリならありがとうと言ってくれるところだが、彼女は何も言わずに口をつけた。
しかしまぁ、これが普通の貴族のあり方だろう。セヴェリが目下の者に丁寧過ぎるだけなのだ。
「レイスリーフェ様、どのようなご用件でしょうか」
サビーナは座らずに立ったまま聞いた。目上の者に促されなければ、自分から座れないからだ。
レイスリーフェはそんなサビーナを見上げて微笑んだ。その澄んだ微笑に撃ち抜かれるかのようにサビーナはピクリと体を動かす。
確かにこれは、並みの男ならイチコロだろう。セヴェリが一目惚れしたというのも、リックバルドが結婚したいというのも頷ける。
「クラメルの屋敷にあなたが来てくれた事、とても嬉しいわ。これから協力して行きましょう」
「……はい?」
サビーナは何の事かと首を傾げた。レイスリーフェの言っている事が理解出来ない。
「協力してくれますわよね?」
「何を……でしょうか」
「もちろん、セヴェリ様が謀反を起こさないように……ですわ」
そう言えば、レイスリーフェは謀反反対派だった。そういう意味では、レイスリーフェとサビーナは同志なのである。リックバルドからサビーナの事情を聞いているのだろう。謀反を止めるのが当然のようにそう話しかけてきた。
「……ひとつお聞きしてよろしいですか?」
「あら、なんでしょう」
「謀反をやめさせる事に成功したら、リックバルドの事は忘れてセヴェリ様だけを見て頂けますか」
サビーナは真っ直ぐレイスリーフェの目を見て問いかける。彼女もまた、逸らすことなく視線を返してきた。
「無理ですわ。あの方を、忘れられませんもの」
レイスリーフェはあっさりと突き返してきた。サビーナもこんな問答で彼女の気持ちが変えられるとは思ってはいないが。
「でも、結婚が迫っています。結婚したら不貞なんか出来ませんよ。私がさせません」
「リックバルドさんにはあなたがセヴェリ様を落とすと聞いていますわ。結婚する前に是非お願いします。でなくば、こちらも非情の策を取らねばなりませんから」
ピキッ、と空気が凍るかのように冷たいものが流れる。
強行手段、という言葉が頭に舞い踊った。
リックバルドと同じく、レイスリーフェもまたセヴェリを皇帝に訴えるつもりでいる。
「セヴェリ様を罪人にするつもりですか」
「したくはありませんわ。だからこうしてあなたにお願いしているんです」
レイスリーフェの言葉は、芯から言っているのだろうか。彼女と会うのはこれで三回目だ。人柄が今一読み切れない。
「わたくしの言葉が信じられませんの?」
「ええ。だってレイスリーフェ様は、セヴェリ様が捕まった方が都合が良いのではありませんか? 婚約者が居なくなれば、好きな人と結婚できますもんね?」
サビーナの言葉に、レイスリーフェは一瞬無表情になったかと思うと、大きな溜め息を漏らした。
「あなたが私を信用出来ないのは仕方ありませんわ。でも、リックバルドさんにも同じ事が言えますの? セヴェリ様が捕まった方が好都合でしょう、と」
そう問われると、サビーナは口を噤むしかなかった。
リックバルドはセヴェリを罪人にしたい訳じゃないはずだ。レイスリーフェと結婚したいのは確かだろうが、そんな事の為だけに主を売るような真似をする男では、決してない。それはサビーナが一番良く分かっている。
「わたくしもリックバルドさんと同じ気持ちです。彼と結婚はしたいけれど……セヴェリ様を貶めたい訳ではありませんもの……」
リックバルドもレイスリーフェも、サビーナよりもずっと長い時間セヴェリと共にいた人達だ。思いの差で二人に負けるつもりはないが、リックバルドにしてもレイスリーフェにしても、セヴェリを大切に思う気持ちがあるのは当然の事だろう。
「だから、協力してセヴェリ様を止めましょう。わたくし達は仲間ですものね」
そう言われてサビーナは身を固まらせた。
クラメルは敵陣。
いつの間にかそういう思いで来てしまっていたが、確かにセヴェリを止めるという意味では……仲間だ。
では、謀反賛成派が敵になるのか。しかしデニスは賛成派だが、サビーナは彼こそが同志であると思っている。
一体誰が敵で、誰が味方なのだろう。レイスリーフェの言う事は分かるが、全面的に信用は出来ない。
以前ファナミィがセヴェリの護衛に外に出た時、全員が悪人に見えると言っていたが、まさにそんな状況だ。
「結婚式まで時間がありませんわ。おそらく……わたくしがセヴェリ様のお考えを変える事は不可能です。でも、サビーナさん……あなたなら」
式までもう一ヶ月を切ってしまっている。本当に時間が無い。お尻に火がついている状況で、一体何が出来るだろうか。どうにかしなくてはいけない事は分かっているのだが。
「出来ることは何でもしますわ。お金が必要ならばいくらでも用意しますし、二人きりになれる空間が欲しいならばそれも用意出来ます。ですから……お願いしますね」
結局レイスリーフェはこちらに全てを放り投げておいて、にこりと微笑んだ。
きっと彼女はどちらに転んでも良いのだろう。サビーナがセヴェリを落として謀反をやめさせても、セヴェリを密告して犯罪者にさせても、彼女はリックバルドと結婚出来る状況になるのは変わり無いのだ。
レイスリーフェは椅子から立ち上がると、優雅に部屋を出て行く。サビーナはそんなレイスリーフェを半眼で見送った。
不貞を働くような人物ではあるが、根は悪い人では無いのだろうとは思う。でなくば、セヴェリやリックバルドがあんなにも惚れるわけは無いだろう。
だが、サビーナはどこか食えない人物だという印象を受けた。どこがどうとは、明確には言い表せられないのだが。
見掛けは天使だ。いや、妖精だ。花畑の中に立って『私は花の妖精です』とか言われたら、サビーナでも信じてしまうくらいの勢いで可憐なのだ。
しかし物語の中の妖精は、得てして気まぐれだったりする。もちろんレイスリーフェは妖精などではなく、れっきとした人間ではあるのだが。
誰が味方で誰が敵なのか。
班長同士が疑心暗鬼になっているという話を、サビーナはようやく理解できた。あちらはどうなっているのだろうか。マウリッツが班長らを説得している状況だろうか。
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