3歳で捨てられた件

玲羅

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学院初等部 4学年生

進級

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 無事に4学年生に進級した。

 進級前に医師資格の試験が行われた。学院の医師資格取得の講座に在籍している先輩も受験した。全員落ちたらしいけど。

「全員もうちょっとだったんだけどね」

「こういうのは繰り返し知識を身につける事が重要じゃ。これからもビシバシいくとしようか」

 シェアラー先生の良い笑顔がかえって怖いです。

 ガウェイン・フィンチー様とガラハット・フィンチー様、フィオナ・イースデイル様 とキディー・ジェント様は、時折特別講座の教室に逃げ込んでくるようになった。4人一緒の時もあるし2人だけの時もある。フィンチー兄弟が来る時は、たいていリーベルト先生に話(というか、愚痴?)を聞いてもらってるし、イースデイル様とジェント様が来る時は、たいてい何らかの差し入れを持ってきてくれる。お互いの婚約者が迷惑をかけているお詫びだそうだ。

 イースデイル様とジェント様とは、寮で話すようになった。

「え?イースデイル様はガラハット様が、ジェント様はガウェイン様がお好きなんですか?」

「しかも両想いって……」

「何度もお互いの両親に婚約の解消と結び直しをお願い致しましたのに、聞き入れてくれないのですわ」

 それって自業自得なところもある気がする。

「それは仕方がないのではなくて?ガウェイン様はイースデイル様を悪し様に罵って、仲が悪いという印象を周知させておりますけれど、ガラハット様とジェント様はそうではないのですもの。両思いの溺愛中という印象ですわ」

「それにイースデイル様とジェント様の仲は、お悪いと思っている方も多いですし」

 話を聞いていた他の人達も同意見のようだ。

 ある日、寮ではなく特別講座の教室で初等部の私達がシャーマニー語を勉強している時に、イースデイル様とジェント様が教室に来て恋愛相談が始まってしまった。シェアラー先生によると患者に寄り添うという実践らしいんだけど。

「気になるけど、集中してね」

 リーベルト先生に注意されている学生もいる。女性生徒は寮である程度の事情把握をしているけど、男性生徒は恋愛事を相談しないのか全く理解していないらしい。何人もの気がそぞろになっているのが分かる。少し騒がしくなってきた。

Seien Sie still!静かにしなさい

 あ、リーベルト先生が怒った。えっと、「still」が「静かに」で「Seien」が「なる」とか「○○して」とかの意味だから、「Seien Sie still」は「静かにしなさい」かな?

「キャスリーン様、先程リーベルト先生が仰ったのは、静かにしなさい、ですか?」

「たぶん?確信は持てませんけど、そういう意味だと思います」

 リリス様とコソコソ話していたら、リーベルト先生に見られてしまった。

「キャスリーン・フェルナー、リリス・シーケリア。何か質問でも?」

 リリス様と顔を見合わせる。

「先程先生が仰った『Seien Sie still』は、『静かにしなさい』で合っていますか?」

 リーベルト先生がポカンとした。

「合っているけど」

「良かったです」

「えっと……、まぁ良いや」

「先生?」

「2人が真面目に取り組んでいるのは分かったよ」

 呆れられてしまった。

 その後も恋愛相談は続いていて、1ヶ月程経った頃9学年生の教室前でガウェイン様とガラハット様が大喧嘩したらしい。

「ケンカですか?」

「そう。フィンチー兄弟を煽った奴らがいたんだよ。ソイツらとね」

「お2人がケンカをなさったのではなく、お2人と他の皆様がという事ですか?」

「そうそう。意外だったよ」

 この話は薬草研究会で聞いた。薬草研究会のみんなはお2人が実は競いあっていないのを知らない。ガウェイン・フィンチー様とフィオナ・イースデイル様が演技をしているのも知らない。

「ケンカの原因は?」

「フィオナ・イースデイル嬢についてだね。ガウェインの前で悪口を言ったんだ。それを聞いていたガラハットがいきなり殴りかかってさ。ガウェインも怒りを顕にしていて。なんだか普段と違いすぎてこっちが驚いた。その内イースデイル嬢とジェント嬢がやって来てさ。ケンカを止めたんだ」

「お2人がですか?」

「フィンチー兄弟のケンカ相手を張っ倒してね。その直後に『怖かったですわ』とか言ってたから、みんなで脱力しちゃったよ」

 分かる気がする。前世のお笑いのノリだよね。

「意外だといえばさ、ガウェインにジェント嬢が、ガラハットにイースデイル嬢が行きかけてさ。何があったんだろうって、みんなで言ってたんだよ」

 とっさの事でお互いに好きな方に行っちゃったのかな?周囲にバレて、厄介な事にならなきゃ良いけど。

 医師資格取得講座のみんなは知っているけど、守秘義務を貫いている。必要な事だし、そこはシェアラー先生とリーベルト先生が、厳しく指導している。



 薬草研究会にやってくる部外者は、剣術倶楽部と体術倶楽部だけだったんだけど、最近、魔術研究会が出入りするようになった。出入りし始めたのは卒業式前からだそうだ。私はその頃、医師資格取得講座の集中講座を受けてたから、よく分からないんだけど、ポーション水剤に光魔法が不可欠で作れる人が少ないと、ご両親からの手紙で愚痴られた魔術研究会のひとりが、倶楽部で愚痴ったらしい。そうしたら薬草研究会に光魔法使いがいるから協力してもらおうと押し掛けてきたんだそうだ。

「目的が目的だから、追い返せなくてね」

ポーション水剤を、光魔法使いに頼らず作れるようにですか」

 確かに光魔法使いは数が少ない。

「今まではどうしてたんですか?」

「それがね、ケーソンボガン公国隣々国では作ってるんだよ。光魔法使いに頼らないポーション水剤をね。でも、国の秘法だって言われちゃってさ。教えてもらえないんだよ。だからなんとかしたくて」

 魔術研究会の部長はいい人だと思う。他の部員はちょっと……、だけど。だって教室まで押し掛けてきて、光魔法を見せろって言われたり、女性寮に侵入しようとしてきたからね。聞けばバージェフ先輩も同じ被害にあったそうだ。バージェフ先輩は剣術、体術倶楽部のみんなが、私は例の見守る会のみんなが防いでくれたけど。サミュエル先生がキツく注意してくれて、倶楽部の活動時間だけって事になったけど、こっちが作業していても群がってきて光魔法を見せろって騒いできて、キレそうになった。魔術研究会の部長が止めてくれるんだけど、ひとりで2人分だから大変そうだ。今も剣術、体術倶楽部の人達が来て、残りの魔術研究会の面々はガードされている。だから落ち着いて話が聞けている。

「光魔法を見て、どうするのかな?」

「術式に反映させて、付与を可能にする」

「術式って、魔法陣ですか?」

「そうだよ。魔法を発動する時には、必ず魔法陣が現れるんだ」

「そうなんですか?」

「そうなんだよ。魔術研究会には魔法陣が視える部員が居てね。彼女を中心に研究を進めている。あ、こら。それに触れるんじゃない」

 彼女を中心にと示された女性は、7学年生のメアリー・ポッター様。そういえば突撃してきたのは、彼女が一番多かったっけ。

「だからか。色仕掛けもお粗末だし、何をしたいのか分からなかったんだよね」

「ん?色仕掛け?」

「結婚を迫られてね」

「結婚。婚約者が居ないのならば自由ですけど」

「フェルナー嬢、怖い事を言わないで」

 バージェフ先輩が大げさに体を震わせた。

「新たな魔道具って難しいんですよね?」

「まぁ。だからこそやりがいがあって、だからこそ楽しい」

魔術研究会の部長も魔術バカだったようだ。魔術研究会の中では一番まともだったようだけど。













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