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学院中等部 8学年生
狼達
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「ブランジット公爵令息様、フェルナー侯爵令嬢様、ようこそお越しくださいました。主から申し使っております。どうぞ中にお入りください」
代表して挨拶してくれたのは、この別邸の管理をしている執事だそうだ。ファレンノーザ公爵よりも年上で、元々はファレンノーザ公爵個人の執事をしていたらしく、この別邸の管理をする前はファレンノーザ公爵家の家令だったらしい。お歳を召したから引退して、ここの管理を任されたんだって。
「お嬢様、こちらにどうぞ」
「ありがとうございます」
少し低めの椅子を用意してくれたのは、元執事の奥様。この方もファレンノーザ公爵家で働いていた侍女だったらしい。
革のズボンに革のベストを着た筋骨粒々の男性が指笛を吹くと、遠くでお座りしていたらしい狼達が一斉に走ってきた。100メートル位をあっという間に駆けてきて、男性の前でお座りする。あのアルビノの子も一緒だ。匂いで私が分かったらしく、チラチラとこっちを見ている。男性が丸い木を口に当てると、揃って伏せをした。もう1度丸い木を口に当てる。どうやらあれはいぬ笛らしい。
狼達がのっそりと私の方に近寄ってきた。手を伸ばせば触れられる距離で立ち止まってお座りする。
ソッと手を伸ばすと、父狼がペロッと私の手を舐めた。それを機に母狼や子供狼達がペロペロと舐め出す。
アルビノの子が1番私に近い。足にもたれかかりそうな距離だもの。
「撫でても良いのでしょうか?」
「大丈夫ですよ」
背中を撫でると大人しく撫でられてくれる。しばらくふれあいを楽しんでいたら、アルビノの子以外は、男性の投げた木の棒を「取ってこーい」していた。いや犬じゃないよね?狼だよね?
「懐かれてるね」
「そうですね。覚えててくれたのかと思うと、嬉しいです」
「私には懐いていないようだけどね」
さっきからサミュエル先生を警戒して、低く唸り声をあげてるのよね、この子。ポンポンと撫でて落ち着かせているけど。
「狼達に名前は付いているんですか?」
「父狼がアルファ、母狼がベータ、子供狼達はガンマ、デルタ、シータ。その子は決まっていないらしいよ」
「何故でしょう?」
「嫌がるんだってさ」
「この子が?」
「その子が。だからさ、付けてやってくれない?」
アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、シータ。ギリシャ文字か。うーん。ギリシャ文字は読み方は知ってるけど、それだけなのよね。
「この子の性別は?」
「メスだって」
「雪花はどうでしょう?」
「セッカ?」
「この子、白いでしょう?見ていると雪のようだなって」
「セッカの意味は?」
「雪の花です。前世の言葉というか、文字で書くと雪の花になります。雪の結晶って綺麗なんですよ。ひとつとして同じ形が無いんです。よく似た条件下なら同じ結晶も出来ますけど、人工じゃない限りほぼ不可能です」
「そうなんだ?」
「この子はアルビノで、自然下だと生きにくかったはずです。家族に守られて生きてきても、いずれは一人立ちする。野生の狼はプライドという群れを作るそうです。そこでもこの子は追い出されたでしょう。でもこの子の家族はこの子を見捨てなかった。だから花であってほしいんです。雪という冷たくも優しい、たったひとつの花に」
「キャシーちゃんは雪は嫌いじゃないの?」
「嫌いではありませんよ。見ているだけなら綺麗ですし。長時間寒空の下で居るのは2度とごめんですが」
アルビノの子が、私に躯を擦り付けた。どうしてこの子が懐いてくれるのかは分からない。子狼といっても体高は私の股下位。十分大きい。父狼は私のウエスト位だし、母狼も似たようなサイズだ。
でも、この子だけなのよね。こんなに側に来てくれるのは。
「来ていたのだね、光の聖女様」
「ファレンノーザ公爵閣下、お留守中にお邪魔しております」
「かまわんよ。ブランジットの息子が連れてきたのだろう?狼達も光の聖女様に会いたがっていたからな。光の聖女様ならいつでも大歓迎だ」
狼達も会いたがってたって、いや、あのね?この子は会いたがってたって言われたらそんな気もするけど、他の狼達は「取ってこーい」に夢中ですけど?
「その白い狼は、光の聖女様には懐くのだな」
「閣下には?」
「言う事は聞くが、懐いているより怯えていると言うか。あぁ、ほら」
ファレンノーザ公爵が近付いたら、雪花が反対側に回った。
「雪花、どうしたの?公爵閣下は怖くないわよ?」
クゥンと鳴いて、私に躯を擦り付ける。よく見ると尻尾が股の間に挟まっている。
「怖いようですわね」
「他のはそうでもないのだがな。ところでさっきのセッカというのは?」
「この子の名前です。雪の花と書いてセッカと読みます。前世の言葉なのですが、私の好きな言葉なんです」
「ほぅ、雪の花。光の聖女様は雅やかな言葉をお使いだ」
「他の子達の名を付けたのは閣下ですか?」
「さよう。古代語だと言われている。もはや話せはせんがな。学院生時代には話せたし読めたのだが。それでも意味は分からずとも文字の読みは覚えておってな」
「前世のギリシャ文字に、同じ読み方の文字がございます。私はアルファベットしか分かりませんが」
世界的にパンデミックを起こした新型感染症の変異種が、アルファ株、ベータ株から始まって、オミクロン株、ラムダ株、ミュー株まで行ったんだっけ?オミクロン株の派生型が多くて、ケンタウロスだとかグリフォンだとかバジリスクなんて呼ばれてた……気がする。
「ラッセル様なら読めるかも?」
「賢者殿か。あの方は凄いな。伝心機ももう少しで流通させられそうだ。ほれ」
ポンと渡されたのは、太目のブレスレット?腕輪?金属のような光沢はあるけど、内側はサラサラとしている。よく見ると3重構造になっていて、表面の端に極小の宝石がいくつも埋め込まれていた。重量はそこまで重くない。金属光沢に騙されているのだと思うけど、思ったより軽い。
「これは?」
「伝心機だ」
「え?これが?」
思ってたのと違う。電話型にするとか言ってなかったっけ?
「賢者殿曰く、改良してたら面白くなったのだそうだ」
「あぁ」
ありえそうだと思ってしまった。改良してたら面白くなって、形が変わっていくのはあるあるだと思う。
「どうやって使うのですか?」
「その中央の黒い部分に魔力を通すと、本人登録が出来る。後は身に付けておけばジュウデンが出来るらしい」
充電ですか。ラッセル様、張り切りましたわね。
「ツウワするにはお互いの伝心機を近付けて登録すれば、離れていてもその相手と話が出来る」
そう言ってファレンノーザ公爵が、私の持つ伝心機に自分の伝心機を近付ける。私の持っている伝心機はまだ本人登録していないから、何も起きない。
「複数人と登録も出来て、その時は名を登録出来るのだそうだ」
ファレンノーザ公爵が見せてくれた伝心機に、名前が浮かび上がってきた。公爵がフリックすると、名前が切り替わっていく。何人登録してあるの?これ。
「自分の名は自分の好きなように変えられるぞ。私はRFSと登録している」
RFS……。レジナルド・ファレンノーザ・スタヴィリスかな?陛下の正式な御名はレオナルド・マナーク・スタヴィリスなのよね。マナークは即位すると付けられる、ミドルネームのようなものだ。
そういえばさっき見せてもらった登録名に、『LMS』というのがあったような?兄弟だから不思議じゃないけど。
「その伝心機は大きさも変えられる。そういう機能も組み込んだそうだ」
そういう機能って……。本当に張り切りましたわね、ラッセル様。
代表して挨拶してくれたのは、この別邸の管理をしている執事だそうだ。ファレンノーザ公爵よりも年上で、元々はファレンノーザ公爵個人の執事をしていたらしく、この別邸の管理をする前はファレンノーザ公爵家の家令だったらしい。お歳を召したから引退して、ここの管理を任されたんだって。
「お嬢様、こちらにどうぞ」
「ありがとうございます」
少し低めの椅子を用意してくれたのは、元執事の奥様。この方もファレンノーザ公爵家で働いていた侍女だったらしい。
革のズボンに革のベストを着た筋骨粒々の男性が指笛を吹くと、遠くでお座りしていたらしい狼達が一斉に走ってきた。100メートル位をあっという間に駆けてきて、男性の前でお座りする。あのアルビノの子も一緒だ。匂いで私が分かったらしく、チラチラとこっちを見ている。男性が丸い木を口に当てると、揃って伏せをした。もう1度丸い木を口に当てる。どうやらあれはいぬ笛らしい。
狼達がのっそりと私の方に近寄ってきた。手を伸ばせば触れられる距離で立ち止まってお座りする。
ソッと手を伸ばすと、父狼がペロッと私の手を舐めた。それを機に母狼や子供狼達がペロペロと舐め出す。
アルビノの子が1番私に近い。足にもたれかかりそうな距離だもの。
「撫でても良いのでしょうか?」
「大丈夫ですよ」
背中を撫でると大人しく撫でられてくれる。しばらくふれあいを楽しんでいたら、アルビノの子以外は、男性の投げた木の棒を「取ってこーい」していた。いや犬じゃないよね?狼だよね?
「懐かれてるね」
「そうですね。覚えててくれたのかと思うと、嬉しいです」
「私には懐いていないようだけどね」
さっきからサミュエル先生を警戒して、低く唸り声をあげてるのよね、この子。ポンポンと撫でて落ち着かせているけど。
「狼達に名前は付いているんですか?」
「父狼がアルファ、母狼がベータ、子供狼達はガンマ、デルタ、シータ。その子は決まっていないらしいよ」
「何故でしょう?」
「嫌がるんだってさ」
「この子が?」
「その子が。だからさ、付けてやってくれない?」
アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、シータ。ギリシャ文字か。うーん。ギリシャ文字は読み方は知ってるけど、それだけなのよね。
「この子の性別は?」
「メスだって」
「雪花はどうでしょう?」
「セッカ?」
「この子、白いでしょう?見ていると雪のようだなって」
「セッカの意味は?」
「雪の花です。前世の言葉というか、文字で書くと雪の花になります。雪の結晶って綺麗なんですよ。ひとつとして同じ形が無いんです。よく似た条件下なら同じ結晶も出来ますけど、人工じゃない限りほぼ不可能です」
「そうなんだ?」
「この子はアルビノで、自然下だと生きにくかったはずです。家族に守られて生きてきても、いずれは一人立ちする。野生の狼はプライドという群れを作るそうです。そこでもこの子は追い出されたでしょう。でもこの子の家族はこの子を見捨てなかった。だから花であってほしいんです。雪という冷たくも優しい、たったひとつの花に」
「キャシーちゃんは雪は嫌いじゃないの?」
「嫌いではありませんよ。見ているだけなら綺麗ですし。長時間寒空の下で居るのは2度とごめんですが」
アルビノの子が、私に躯を擦り付けた。どうしてこの子が懐いてくれるのかは分からない。子狼といっても体高は私の股下位。十分大きい。父狼は私のウエスト位だし、母狼も似たようなサイズだ。
でも、この子だけなのよね。こんなに側に来てくれるのは。
「来ていたのだね、光の聖女様」
「ファレンノーザ公爵閣下、お留守中にお邪魔しております」
「かまわんよ。ブランジットの息子が連れてきたのだろう?狼達も光の聖女様に会いたがっていたからな。光の聖女様ならいつでも大歓迎だ」
狼達も会いたがってたって、いや、あのね?この子は会いたがってたって言われたらそんな気もするけど、他の狼達は「取ってこーい」に夢中ですけど?
「その白い狼は、光の聖女様には懐くのだな」
「閣下には?」
「言う事は聞くが、懐いているより怯えていると言うか。あぁ、ほら」
ファレンノーザ公爵が近付いたら、雪花が反対側に回った。
「雪花、どうしたの?公爵閣下は怖くないわよ?」
クゥンと鳴いて、私に躯を擦り付ける。よく見ると尻尾が股の間に挟まっている。
「怖いようですわね」
「他のはそうでもないのだがな。ところでさっきのセッカというのは?」
「この子の名前です。雪の花と書いてセッカと読みます。前世の言葉なのですが、私の好きな言葉なんです」
「ほぅ、雪の花。光の聖女様は雅やかな言葉をお使いだ」
「他の子達の名を付けたのは閣下ですか?」
「さよう。古代語だと言われている。もはや話せはせんがな。学院生時代には話せたし読めたのだが。それでも意味は分からずとも文字の読みは覚えておってな」
「前世のギリシャ文字に、同じ読み方の文字がございます。私はアルファベットしか分かりませんが」
世界的にパンデミックを起こした新型感染症の変異種が、アルファ株、ベータ株から始まって、オミクロン株、ラムダ株、ミュー株まで行ったんだっけ?オミクロン株の派生型が多くて、ケンタウロスだとかグリフォンだとかバジリスクなんて呼ばれてた……気がする。
「ラッセル様なら読めるかも?」
「賢者殿か。あの方は凄いな。伝心機ももう少しで流通させられそうだ。ほれ」
ポンと渡されたのは、太目のブレスレット?腕輪?金属のような光沢はあるけど、内側はサラサラとしている。よく見ると3重構造になっていて、表面の端に極小の宝石がいくつも埋め込まれていた。重量はそこまで重くない。金属光沢に騙されているのだと思うけど、思ったより軽い。
「これは?」
「伝心機だ」
「え?これが?」
思ってたのと違う。電話型にするとか言ってなかったっけ?
「賢者殿曰く、改良してたら面白くなったのだそうだ」
「あぁ」
ありえそうだと思ってしまった。改良してたら面白くなって、形が変わっていくのはあるあるだと思う。
「どうやって使うのですか?」
「その中央の黒い部分に魔力を通すと、本人登録が出来る。後は身に付けておけばジュウデンが出来るらしい」
充電ですか。ラッセル様、張り切りましたわね。
「ツウワするにはお互いの伝心機を近付けて登録すれば、離れていてもその相手と話が出来る」
そう言ってファレンノーザ公爵が、私の持つ伝心機に自分の伝心機を近付ける。私の持っている伝心機はまだ本人登録していないから、何も起きない。
「複数人と登録も出来て、その時は名を登録出来るのだそうだ」
ファレンノーザ公爵が見せてくれた伝心機に、名前が浮かび上がってきた。公爵がフリックすると、名前が切り替わっていく。何人登録してあるの?これ。
「自分の名は自分の好きなように変えられるぞ。私はRFSと登録している」
RFS……。レジナルド・ファレンノーザ・スタヴィリスかな?陛下の正式な御名はレオナルド・マナーク・スタヴィリスなのよね。マナークは即位すると付けられる、ミドルネームのようなものだ。
そういえばさっき見せてもらった登録名に、『LMS』というのがあったような?兄弟だから不思議じゃないけど。
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