3歳で捨てられた件

玲羅

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学院中等部 8学年生

伝心機

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「賢者殿から預かってきた。それは光の聖女様の分だ。こちらの3本は『テンセイシャ』の女性陣の分だと言っていた。預けても?」

 どうしよう。リーサさんとララさんはすぐに渡せる。セシルさんはいつどうやって渡そう。

「お預かりします」

「賢者殿の登録はしてあるそうだ」

 ラッセル様とはいつでも連絡が取れるという事ね。

 早速本人登録してみる。手首に通して魔力を少量流すと、シュルシュルと縮んで、ちょうどいい大きさになった。

「スゴい……」

「それからこれを預かったのだが」

 厳重に封をされた小包を差し出された。中に何か入ってる?硬い物が感じ取れた。中身は何かしら?宛名は私とララさんとリーサさんとセシルさん。

「ありがとうございます」

 小包を受け取る。

「キャシーちゃん、そろそろおいとましようか?」

「はい。閣下、お邪魔いたしました」

 離れたがらない雪花にも別れを告げる。ものすごーく寂しそうに離れてくれた。そんなにショボンとしないでよ。連れて帰りたくなっちゃうじゃない。

 リーサさんのお家に戻って、ドレスを脱ぐ。

「リーサさん、この腕輪なんですけど」

「なぁに?これ。腕輪にしても大きいわよ?」

「伝心機だそうです。ラッセル様からの贈り物だそうで」

「伝心機って、え?」

「私のは本人登録しましたけど、フレンド登録が出来ないんですよね。誰かに着けてもらわないと」

「どれでもいいの?」

「はい。着けたら魔力を少量流してください。自動調整機能が付いているそうです。身に付けていれば充電いらずですって」

「わっ、縮んだわ。スゴい……」

「で、こうやって近付けると」

 ピピッという音と共に、腕輪にお互いの名前が浮かび上がった。

「この名前は変えられるそうですよ。こうやって……っと」

「スゴいスゴい。キャスリーンさんの名前は、あら?CFS?」

「本名というか、元の名前とミックスしました」

「良いんじゃない?私は何にしようかしら。こういうのって楽しいわね」

「ララさんにはすぐに渡せるのですが、セシルさんにどうやって渡そうかと」

「渡しておくわ。説明もしておくわね」

「それからこれをラッセル様から預かったと」

「誰が?」

「ファレンノーザ公爵閣下です」

「……コウシャクカッカ」

「王弟殿下ですね」

「オウテイ」

「リーサさん?大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。ちょっと意識が飛びかけただけだから。キャスリーンさんはやっぱり高位貴族なのね。王弟様とお知り合いだなんて」

「王家と関わる回数が多いですからね」

「平然と言わないでよ」

 リーサさんと厳重な封を開けてみる。中にはピアスが4組。ぶらさがりの上品なピアスだ。

「一粒ピアスにも出来るのね。キャスリーンさん、学院にピアスは着けていって良いの?」

「高等部まではお預けですね。高等部になると、社交関係に出る事もありますから」

「あら、残念……え?」

「どうしたんですか?」

「収納機能を付与って書いてあるけど」

「先生に相談しましょう」

 こういう事は先達に聞くに限る。

「先生、少しご相談が」

「相談?着替えるだけなのに遅いと思ったら……それは?」

「まずは手紙をお読みください」

「ラッセル氏からね。ふんふん……。収納魔法?え?このピアスに?」

「どうすればいいでしょう?」

「どうすればって、普通に着けて良いと思うよ。こんな小さな物アクセサリーに術式を仕込む、その方法は知りたいけど、ピアスを分解してもどうにもならないだろうし」

「容量はこっちで確認するわ。どんな物かは分かってるから。ニホンジンってよくこんなの考え付いたわね」

「私も驚きです」

 青いネコ型ロボットに始まり、アニメや小説で色々考え出してきたしね。でもそれを言うなら、ファンタジー発祥のヨーロッパや、SFを発展させたアメリカなんかもスゴいと思う。神話もファンタジーととらえると、考え出した世界全部がスゴいって事になる。

「4組あるって事は、ララ嬢の分もあるのかい?」

「それとセシルさんの分です」

「マルムクヴィスト嬢、ロシュフォール嬢に渡してくれるかな?」

「お任せください。フフッ、セシルったら驚くわよ」

「ララさんも驚くと思います」

「ねぇ、キャスリーンさん。また集まりましょうね?」

「はい、ぜひ」

「ところで、仮の婚約者様のお誕生日のお祝いはしたの?」

 フワリと抱擁されて、そっと囁かれた。

「あ、してないです」

 身体を離して答える。

「たしかね、夏期休暇の最終日だったはずよ?前に話していたもの」

 誰が?とは聞けなかった。

 馬車で救民院に戻る。

「おかえりなさい。キャシーちゃん、どうだった?」

「気分転換は出来たと思います」

「それなら良かったわ。第2王子殿下が気にしておられてね。出掛けたって言ったら、もう1度謝っておいてくれって」

「もうよろしいですのに。わたくしも言い過ぎてしまいましたもの」

「キャシーちゃん、私はエドワードの所に行ってるから」

「先生、ありがとうございました」

 サミュエル先生が行ってしまうと、ララさんを引っ張って奥の部屋に行く。

「どうしたの?」

「ラッセル様からのお届け物です」

 まずは伝心機を渡して説明する。

「ふーん。ケータイって訳ね。でもスゴいわ。わっ、ピッタリになった。ねぇ、キャシーちゃんとの番号交換はどうするの?」

「近付ければ良いんですよ。出来ました」

 伝心機がピピッと鳴って登録が完了する。

「それからこちらです」

「ピアス?」

「仕様はこちらに」

 ご丁寧に4組それぞれに、同じ文章の取説が付いてたんだもの。渡して読んでもらった方が早いわよね。

「マジックボックス?」

「と言うのですか?」

「マジックバックとかマジックボックスとか、異空間収納とか、色々呼び名はあったわよ。でも作っちゃったのね。ラッセルさんってもしかしてスゴい人?」

「スゴい人ですわよ?ゴーヴィリス国の知恵袋とまで言われたお方ですし。ファレンノーザ公爵閣下は賢者殿と呼んでいました」

「賢者。そうね。ピッタリだわ。やだ。ファンタジー小説みたい。キャシーちゃんが聖女様でしょ?ラッセルさんが賢者でしょ?勇者は誰かしら?女勇者も居たのよね」

「ララさん、戻ってきてくださいませ?それでいうとララさんの役回りは?」

「……何かしら?」

「『エリアントゥス太陽の花』では?」

「やぁめぇてぇぇ」

 ぎゅうっと抱き付かれた。

「ララさん、少しご相談があるのですが」

「何かしら?」

「サミュエル先生のお誕生日がもうすぐらしいのですが、どうすれば良いと思います?」

「どうすれば、って、難しいわね。仮とはいえ婚約者だし。気合いの入っていないプレゼントでも渡せば?」

「気合いの入っていないプレゼントですか?」

「どこかでクッキーでも買って渡すとか?」

わたくし、クッキーはフェルナー家の物か、トリコローレしか知りませんけれど。後は学院のカフェテリアかセシルさんの手作りですわね」

「トリコローレがいちばんいいかもね。あれから何回か行ったけど、ビスコッティの他にも色々有ったわよ?行ってみる?」

「後2日なのですが?」

「ラッピングしなくていいし、日頃の感謝の気持ちですって渡してもいいじゃない。ローレンス様の時はどうしてたの?」

「ローレンス様のお誕生日は秋でしたから、冬季休暇に簡単なお菓子をシェフと一緒に作って、一緒に食べてました」

「何よりのプレゼントね。ローレンス様はキャシーちゃんが大好きだから、一緒に手作りのお菓子を食べられたのは、とても嬉しかったと思うわよ」

「ローレンス様もこの時間が何よりのプレゼントだねって仰って……」

「うんうん。ローレンス様はキャシーちゃんと一緒に居られれば、何も要らなかったのね」





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