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学院中等部 9学年生
別邸へ
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恒例の転生者のお泊まり会が開かれた。今回集まれたのは、ラッセル様、エドガーさん、セシルさん、リーサさん、私の5人。ララさんは野暮用で来られなかった。レオナルドさんは今、準備期間なんだって。何の準備かは知らない。
お泊まり会は3泊4日の予定。私はその後この別邸から救民院に通う予定だし、ラッセル様はスタヴィリス国で伝心機の普及活動をするらしい。エドガーさんが来ているのもその一環だ。
リーサさんは最近魔法庁非常勤勤務を始めたらしく、その資料を持ってきている。一般公開されている魔法理論に、抜けが無いかをチェックしているらしい。
今回は雪花とデルタが一緒だ。タウンハウスでは思いっきり駆け回れないだろうからと、調教師のモーリスが判断した。
別邸には私が1番に到着した。フェルナー家の別邸だから私がホストになるし、これは当然だと思う。リーサさんには「キャスリーンさんにばかり押し付けて」って申し訳なさそうな顔をされたけれど、将来の為にもなるからと笑っておいた。フェルナー侯爵夫人になる事は無い気がしているし、アンバー様もいるけれど。
「ようこそいらっしゃいました、お嬢様」
「短い間だけど、よろしくね」
使用人達に挨拶をして、それぞれの部屋を確かめていく。使用人達がきちんと準備をしているだろうけど、これも女主人の役割だと思っているし、そう教えられた。
一通り見て回って、律儀に後ろから付いてきていた雪花とデルタの部屋を見る。モーリスから指示されたように部屋は整えられていて、雪花とデルタも気に入ったようだ。
「キャスリーンちゃーん」
「キャスリーンさん、こんにちは」
「お邪魔しますよ」
「いつ来ても良い雰囲気だねぇ」
4人が到着したようだ。
「ようこそいらっしゃいました、皆様。休日をゆっくりとお楽しみくださいませ」
「キャスリーン嬢?」
「はい。どうかなさいましたか?エドガーさん」
「ずいぶん雰囲気が変わりましたね。穏やかで優しいけれど、儚げで今にも消えてしまいそうな……」
「ジョーダン、ちょっと黙ろうか」
「ラッセル様?どうしたんですか?」
「エドガーさんって、ちょっと空気が読めないのかしら?」
「リーサったら。でもキャスリーンちゃんは雰囲気が変わったというか、身体が心に追い付いたんじゃないかしら?キャスリーンちゃん、何かあった?」
「何もございませんわ。あ、でも最近医師資格試験がございましたから、その所為かもしれませんわね」
「医師資格試験かぁ。あ、雪花ちゃんとデルタちゃん……あ、ちょっと怒んないでよ」
デルタがセシルさんに、猫パンチならぬ狼パンチをした。
「ちゃんだなんて雄なのにって、言っているみたいね」
「よく慣れてますね。あぁ、フェルナー嬢、お手紙です」
「お手紙ですか?どなたから……?って、フロレシア様とアーチャー殿下から?」
「フロレシア様はオルレーニュ女公におなりです」
あぁ、ご結婚なさったから。臣籍降下されたのね。
「アーチャー殿下も最近は、内務省に顔を出していらっしゃいますよ」
「内務省にって……」
「私の部署からは離れていますが」
「お疲れさまですわね」
各々の部屋に案内する。みんなが荷物の整理を終えて、サロンに集まってきた。
「フェルナー嬢、収納ピアスは付けないのですか?」
「そろそろファーストピアスから変えても良いですよね?」
「って、何ヵ月経ったの?」
「5ヶ月位ですね。持っては来ているのですけど」
「付けてあげるわよ?キャスリーンちゃん」
「色が変わるのですわよね?ちょっとドキドキします」
収納ピアスを持ってきて、セシルさんに渡す。ファーストピアスを外して収納ピアスを付けてもらった。
「あら、スゴい」
「え?何色ですか?」
「形容しがたいわね。色合いはオパールなんだけど。遊色効果も出てるし。でも、地色がブルーなの。ブルーオパールもあるけれど、こんな色じゃ無かったわよね?」
「ボルダーオパールっぽい感じだね」
ボルダーオパールって何だろう?見た事が無い気がする。聞いた事も無いなぁ。
「見てみる?はい、鏡」
「ガラス製の鏡ですか。高級品ですわね」
私が持っているのは、金属を鏡面磨きにした金属鏡だ。
「そうねぇ。こちらでは高級品ね。アウラリアでもお高いけれど、高級品って感じじゃないのよ」
「そうなのですか?」
セシルさんが手渡してくれた鏡で、自分の耳を見てみる。濃い青に散りばめられた白と緑と空色。私が頭を動かすと一定しないいろんな色が浮かんで消える。チラチラと金色が見えたりオレンジっぽい色とかも見える時がある。
「複雑な色ですわね」
「似合ってるわよ?」
「ありがとうございます」
「ところで、これってどうして色が変わるんだい?ジョーダン」
「各々の魔力波形が違うからですよ。魔法属性は同じでも、魔力波形は人によって違いますから。指紋と同程度ですね」
「ん?その言い方だと全く同じ人も居るのかい?」
「統計は取っていませんが。マルムクヴィスト博士の著書に書いてありましたよ?」
「確かにお父様の研究では、100万人に1人の確率で、同波形の魔力の人が居るとされていますね」
リーサさんが呟く。
「指紋もその位だね。これって魔石をそのままピアスにしたのかい?」
「魔石ではないですよ。イムコタイドです」
「え?イムコタイドって魔鉄鉱石と一緒に採れる?」
「はい。イムコタイドは魔法に寄与しませんから、魔道具の媒体として優秀なんです。イムコタイドに魔力を通すと色が変わるってのは、坑夫の間では有名だそうで。使い道が無いからとその辺に捨てられていたのを、安く譲ってもらいました」
「王族が興味を持ってるんだよね」
「術式は登録しましたよ。どなたでも作れます」
イムコタイドは魔鉄鉱石の鉱床にくっつく形で存在しているんだそうだ。魔力は通すけれど、それ以上の特徴を持たないといわれていて、魔鉄鉱石採掘の妨害石といわれていたらしい。
「そんな作用がねぇ」
「今なら拾い放題ですから、お得ですよ。私はピアスにしましたが、応用はいくらでも効きますし」
「アクセサリーでも良いよね。マジックバッグとかって作れるのかな?」
「それは試してないですね。試したければどうぞ」
「冷たいねぇ」
「伝心機の件で、丸投げされましたからね」
「あ、エドガーさん、通信先交換してください」
「良いですよ」
私とリーサさん、セシルさんの3人で、エドガーさんと通信先交換をする。
「中身は確認しましたか?」
「夏にしたよ」
「あ、それで思い出したわ。みんな、保存食はもう少し待ってちょうだい。今、消費期限実験中だから」
「それって放置中って事?」
「時間促進の魔道具を使ってるわ。4倍の早さだから、そろそろ1年ね」
「時間促進?」
「お菓子作りって、○分寝かせるとか、結構あるのよ。だから作らせたの」
ロシュフォールの技術班、凄い。
「ところで」
エドガーさんが私を見た。
「はい?」
「その足元に居るのは、狼では?」
「はい。こちらが雪花で、こっちがデルタです」
「スタヴィリス国では、狼を飼うのが一般的、なんて事は……」
「ございませんわね。一般的には犬ですわ。この子達は少し訳ありで引き取りました」
足元でお座りしている雪花とデルタを撫でる。
「夏に一緒だったのはセッカちゃんだけだったわよね?」
「はい。今回はデルタが、雪花から離れなくて。調教師が言うには、発情期だろうと。ですから今回は一緒に連れてきました」
「あぁ、発情期。発情期にしては攻撃性は無いし、おとなしいね」
「エドガーさん、狼にお詳しいのですか?」
「前世絡みですね」
「そうなのですね」
エドガーさんって、何をやっていた人なんだろう?
お泊まり会は3泊4日の予定。私はその後この別邸から救民院に通う予定だし、ラッセル様はスタヴィリス国で伝心機の普及活動をするらしい。エドガーさんが来ているのもその一環だ。
リーサさんは最近魔法庁非常勤勤務を始めたらしく、その資料を持ってきている。一般公開されている魔法理論に、抜けが無いかをチェックしているらしい。
今回は雪花とデルタが一緒だ。タウンハウスでは思いっきり駆け回れないだろうからと、調教師のモーリスが判断した。
別邸には私が1番に到着した。フェルナー家の別邸だから私がホストになるし、これは当然だと思う。リーサさんには「キャスリーンさんにばかり押し付けて」って申し訳なさそうな顔をされたけれど、将来の為にもなるからと笑っておいた。フェルナー侯爵夫人になる事は無い気がしているし、アンバー様もいるけれど。
「ようこそいらっしゃいました、お嬢様」
「短い間だけど、よろしくね」
使用人達に挨拶をして、それぞれの部屋を確かめていく。使用人達がきちんと準備をしているだろうけど、これも女主人の役割だと思っているし、そう教えられた。
一通り見て回って、律儀に後ろから付いてきていた雪花とデルタの部屋を見る。モーリスから指示されたように部屋は整えられていて、雪花とデルタも気に入ったようだ。
「キャスリーンちゃーん」
「キャスリーンさん、こんにちは」
「お邪魔しますよ」
「いつ来ても良い雰囲気だねぇ」
4人が到着したようだ。
「ようこそいらっしゃいました、皆様。休日をゆっくりとお楽しみくださいませ」
「キャスリーン嬢?」
「はい。どうかなさいましたか?エドガーさん」
「ずいぶん雰囲気が変わりましたね。穏やかで優しいけれど、儚げで今にも消えてしまいそうな……」
「ジョーダン、ちょっと黙ろうか」
「ラッセル様?どうしたんですか?」
「エドガーさんって、ちょっと空気が読めないのかしら?」
「リーサったら。でもキャスリーンちゃんは雰囲気が変わったというか、身体が心に追い付いたんじゃないかしら?キャスリーンちゃん、何かあった?」
「何もございませんわ。あ、でも最近医師資格試験がございましたから、その所為かもしれませんわね」
「医師資格試験かぁ。あ、雪花ちゃんとデルタちゃん……あ、ちょっと怒んないでよ」
デルタがセシルさんに、猫パンチならぬ狼パンチをした。
「ちゃんだなんて雄なのにって、言っているみたいね」
「よく慣れてますね。あぁ、フェルナー嬢、お手紙です」
「お手紙ですか?どなたから……?って、フロレシア様とアーチャー殿下から?」
「フロレシア様はオルレーニュ女公におなりです」
あぁ、ご結婚なさったから。臣籍降下されたのね。
「アーチャー殿下も最近は、内務省に顔を出していらっしゃいますよ」
「内務省にって……」
「私の部署からは離れていますが」
「お疲れさまですわね」
各々の部屋に案内する。みんなが荷物の整理を終えて、サロンに集まってきた。
「フェルナー嬢、収納ピアスは付けないのですか?」
「そろそろファーストピアスから変えても良いですよね?」
「って、何ヵ月経ったの?」
「5ヶ月位ですね。持っては来ているのですけど」
「付けてあげるわよ?キャスリーンちゃん」
「色が変わるのですわよね?ちょっとドキドキします」
収納ピアスを持ってきて、セシルさんに渡す。ファーストピアスを外して収納ピアスを付けてもらった。
「あら、スゴい」
「え?何色ですか?」
「形容しがたいわね。色合いはオパールなんだけど。遊色効果も出てるし。でも、地色がブルーなの。ブルーオパールもあるけれど、こんな色じゃ無かったわよね?」
「ボルダーオパールっぽい感じだね」
ボルダーオパールって何だろう?見た事が無い気がする。聞いた事も無いなぁ。
「見てみる?はい、鏡」
「ガラス製の鏡ですか。高級品ですわね」
私が持っているのは、金属を鏡面磨きにした金属鏡だ。
「そうねぇ。こちらでは高級品ね。アウラリアでもお高いけれど、高級品って感じじゃないのよ」
「そうなのですか?」
セシルさんが手渡してくれた鏡で、自分の耳を見てみる。濃い青に散りばめられた白と緑と空色。私が頭を動かすと一定しないいろんな色が浮かんで消える。チラチラと金色が見えたりオレンジっぽい色とかも見える時がある。
「複雑な色ですわね」
「似合ってるわよ?」
「ありがとうございます」
「ところで、これってどうして色が変わるんだい?ジョーダン」
「各々の魔力波形が違うからですよ。魔法属性は同じでも、魔力波形は人によって違いますから。指紋と同程度ですね」
「ん?その言い方だと全く同じ人も居るのかい?」
「統計は取っていませんが。マルムクヴィスト博士の著書に書いてありましたよ?」
「確かにお父様の研究では、100万人に1人の確率で、同波形の魔力の人が居るとされていますね」
リーサさんが呟く。
「指紋もその位だね。これって魔石をそのままピアスにしたのかい?」
「魔石ではないですよ。イムコタイドです」
「え?イムコタイドって魔鉄鉱石と一緒に採れる?」
「はい。イムコタイドは魔法に寄与しませんから、魔道具の媒体として優秀なんです。イムコタイドに魔力を通すと色が変わるってのは、坑夫の間では有名だそうで。使い道が無いからとその辺に捨てられていたのを、安く譲ってもらいました」
「王族が興味を持ってるんだよね」
「術式は登録しましたよ。どなたでも作れます」
イムコタイドは魔鉄鉱石の鉱床にくっつく形で存在しているんだそうだ。魔力は通すけれど、それ以上の特徴を持たないといわれていて、魔鉄鉱石採掘の妨害石といわれていたらしい。
「そんな作用がねぇ」
「今なら拾い放題ですから、お得ですよ。私はピアスにしましたが、応用はいくらでも効きますし」
「アクセサリーでも良いよね。マジックバッグとかって作れるのかな?」
「それは試してないですね。試したければどうぞ」
「冷たいねぇ」
「伝心機の件で、丸投げされましたからね」
「あ、エドガーさん、通信先交換してください」
「良いですよ」
私とリーサさん、セシルさんの3人で、エドガーさんと通信先交換をする。
「中身は確認しましたか?」
「夏にしたよ」
「あ、それで思い出したわ。みんな、保存食はもう少し待ってちょうだい。今、消費期限実験中だから」
「それって放置中って事?」
「時間促進の魔道具を使ってるわ。4倍の早さだから、そろそろ1年ね」
「時間促進?」
「お菓子作りって、○分寝かせるとか、結構あるのよ。だから作らせたの」
ロシュフォールの技術班、凄い。
「ところで」
エドガーさんが私を見た。
「はい?」
「その足元に居るのは、狼では?」
「はい。こちらが雪花で、こっちがデルタです」
「スタヴィリス国では、狼を飼うのが一般的、なんて事は……」
「ございませんわね。一般的には犬ですわ。この子達は少し訳ありで引き取りました」
足元でお座りしている雪花とデルタを撫でる。
「夏に一緒だったのはセッカちゃんだけだったわよね?」
「はい。今回はデルタが、雪花から離れなくて。調教師が言うには、発情期だろうと。ですから今回は一緒に連れてきました」
「あぁ、発情期。発情期にしては攻撃性は無いし、おとなしいね」
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