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学院高等部 青学年生
話し合い
グッと涙をこらえる。「下唇を噛むと涙が止まるのよ」と言ったのは誰だっただろう?もう顔も思い出せなくなった先輩のひとりだったか。担当していた患者さんが亡くなってしまって、涙が止まらなかった時に、声をかけてくれた。
髪の手入れが終わったら、マッサージを受ける。相変わらず侯爵家のマッサージ担当のメイドは腕が良い。絶妙な力加減で身体が解れていく。
入浴後着替えてから少し休もうと思ったら、廊下からバタバタと騒がしい音が聞こえてきた。
「何かしら?」
「見てまいります」
フランがドアを開ける。
「嫌だってばぁ」
「お客様、お待ちくださいませ」
最初の声はカティさんよね?その後は侯爵家の入浴担当のメイドのはず。
「何事です」
「あ、助けてぇ」
タオルで身体を覆っただけのカティさんが飛び込んできた。
「カティさん?」
「キャスリーンちゃん、助けてっ。あの人がお風呂を覗いてきてっ」
カティさんの視線の先には、バスローブを持ってオロオロしている入浴担当のメイド。入浴を手伝おうと入ってきたメイドに驚いて、タオル1枚で逃げたのか。
「カティさん、大丈夫ですわ。彼女は入浴担当のメイドです。お髪のお手入れとお身体のマッサージが仕事ですのよ」
「へっ?そんなお姫様みたいな……」
「1度受けてみませんか?気持ち良いですわよ?」
フランがメイドからバスローブを受け取って、カティさんに羽織らせる。
「良いの?アタシはそんな身分じゃないのよ?」
一人称が私からアタシになった。これが彼女の素かしら?
「お義兄様の恩人で、我が家の大切なお客様ですもの。この位は当然ですわ」
微笑むとものすごく覚悟を決めた顔で、カティさんはメイドに付いていった。
「あの方がローレンス様の……」
「えぇ。丁重におもてなししてください」
「かしこまりました」
夜にお義父様がサミュエル先生と一緒に帰ってきた。
「キャシーちゃん、後で話を良いかな?」
「はい」
その会話にローレンス様が1歩前に出る。
「ラリー?」
不安そうなカティさんの声に、ローレンス様も不思議そうに1歩下がった。
「ローレンス君、久しぶりだね」
サミュエル先生がローレンス様に話しかけた。
「お久しぶりです」
「無事で何より。そちらの女性は?」
「彼女は、カティ。カティ・グーラフと言います。僕……私の命の恩人です」
「恋人かい?」
「その認識で間違ってはいません」
「ふぅん。グーラフさん、天守国について聞きたいんだけど、良いかな?」
「え、あ、はい」
その間にお義父様がローレンス様に話をする。内容は次期当主資格について。すでにランベルトお義兄様が次期当主としてフェルナー領で働いている事を伝えていた。一瞬きつく目を瞑ったローレンス様は力なく笑った。
「大半は思い出しているのですが、所々曖昧な部分があります。ランベルトに任せられるならそうしてもらった方が、フェルナー領の為だと思います」
「明日にはランベルトもこちらに来る。その時に話し合いの場を持つ。ローレンスも同席し、意見を述べなさい」
「はい。あの、妹は……」
「キャスリーンの事か?あの子は明日から別邸に行く。救民院での仕事もあるし、なにより友人達とのお泊まり会が控えているからな。今回はキャスリーンがホストだから、先に行くそうだ」
「そんな時期に迎えに来てくれたんだね。ありがとう、キャスリーン」
「いいえ。医師資格も取りましたし、私が最適だったという事情もございます。お気になさらないでくださいませ」
ローレンス様の手が、私の頭に伸びた。それを避ける。
「ローレンス様、私は頭を撫でられるような年齢ではございませんでしてよ?」
「あ、あぁ」
「今は混乱されておられるのでしょう。ゆっくりお休みになってくださいませ」
「そうだな。ありがとう」
こちらの話が終わった頃、サミュエル先生とカティさんの話も終わったようだ。
「キャシーちゃん、後でね?」
「はい」
お義父様と執務室に入っていくサミュエル先生を見送る。
サミュエル先生が私の部屋に来たのは、そろそろ就寝しようという時間だった。当然私は夜着姿だし、フランが非難の目をサミュエル先生に向けていた。
「悪いね。こんなこんな時間に」
「本当ですわよ?人を訪ねる時間ではございませんわね」
ガウンを羽織って相対する。フランは少し開けたドア付近に居てくれた。
「そう言わないでよ。で?」
「何がですの?」
「泣く胸は必要?」
「今はまだ……」
「虚勢を張り続けるのも考えものだね。まぁ良いや。侯爵に許可はもらったから、別邸には私も行くよ」
「先生も?」
「婚約の関係もあるしね」
「婚約の……」
結局婚約者はサミュエル先生なんだろうか。ローレンス様はカティさんと別れないだろうし、身体の関係もありそうだし。
そこまで考えて、ズキンときた無視出来ない痛みに少し顔が歪む。
「無理してるでしょ?ダメだよ?キャシーちゃん」
「無理をしなければいけない時ですわ、今は」
「厄介な性格だね」
「元々ですわ」
「頭のひとつも撫でてやりたいけどね」
チラリとフランに視線を送って、苦笑しながらサミュエル先生が言う。
「先生は私位の子が居ても、おかしくはございませんものね」
「昔は私が年齢で揶揄っていたのに、立場が逆転しちゃったね」
「それだけ成長いたしましたのよ?」
「そうだね。ところでその紙は?」
「例の暗号ですわ。結局役に立ちませんでしたけれど」
「解けたのかい?」
「一応は。ただし意味が分かりません。単語にはなりましたけれど」
「見せてもらえる?」
サミュエル先生に紙片を渡す。
「『PCELOIN SURBIA AVARITIA』か。PCELOINはプセロイン天主国の事だろうね。SURBIAは……スービアかな?AVARITIAはアバリティア?」
「そこまでは分かります。スービアとアバリティアの意味が分かりません」
「カティ嬢に聞いてみようか?何か分かるかもよ?」
「先生にお願いいたします」
「良いのかい?」
「あの方に相対するのは、私は……」
「時間がかかるか。そうだよね。いいよ。私が聞いておくよ。彼女はなんというかまっすぐだね。それしか見ていない」
「それはまっすぐなのでしょうか?」
「まっすぐでしょ。人の迷惑解さず一直線。ああいう人間は自分の心に正直すぎる程まっすぐだよ。聞いただけでもローレンス君に迫ったらしいし。それも何度も」
「聞きたくございません」
「聞かなくてもいいよ。あぁ、もうこんな時間だね。遅くまでお邪魔してしまった」
「今日は帰られますの?」
「客室に泊めてもらう予定だよ。……どうしたんだい?寂しがってくれるのかな?」
「寂しいですわ、と言った方が、可愛いのでしょうね」
「世間一般的にはね。でも私は自分を律し続けて侯爵令嬢であろうとするキャシーちゃんが好きだよ。十分に可愛いと思うし」
「揶揄わないでくださいませ」
ハハハ、と笑って、サミュエル先生が席を立つ。
「明日は気の済むまで泣いて良いからね」
去り際にソッと囁かれた。気の済むまでって……。
「それじゃあ明日」
「はい。おやすみなさいませ」
サミュエル先生との話を終えて、フランによるお肌のお手入れを受けて、ベッドに入る。別邸にいつまでという期間は決まっていない。私の心の持ちようだって事だよね?私はお義父様達に甘やかされてるなぁ。
髪の手入れが終わったら、マッサージを受ける。相変わらず侯爵家のマッサージ担当のメイドは腕が良い。絶妙な力加減で身体が解れていく。
入浴後着替えてから少し休もうと思ったら、廊下からバタバタと騒がしい音が聞こえてきた。
「何かしら?」
「見てまいります」
フランがドアを開ける。
「嫌だってばぁ」
「お客様、お待ちくださいませ」
最初の声はカティさんよね?その後は侯爵家の入浴担当のメイドのはず。
「何事です」
「あ、助けてぇ」
タオルで身体を覆っただけのカティさんが飛び込んできた。
「カティさん?」
「キャスリーンちゃん、助けてっ。あの人がお風呂を覗いてきてっ」
カティさんの視線の先には、バスローブを持ってオロオロしている入浴担当のメイド。入浴を手伝おうと入ってきたメイドに驚いて、タオル1枚で逃げたのか。
「カティさん、大丈夫ですわ。彼女は入浴担当のメイドです。お髪のお手入れとお身体のマッサージが仕事ですのよ」
「へっ?そんなお姫様みたいな……」
「1度受けてみませんか?気持ち良いですわよ?」
フランがメイドからバスローブを受け取って、カティさんに羽織らせる。
「良いの?アタシはそんな身分じゃないのよ?」
一人称が私からアタシになった。これが彼女の素かしら?
「お義兄様の恩人で、我が家の大切なお客様ですもの。この位は当然ですわ」
微笑むとものすごく覚悟を決めた顔で、カティさんはメイドに付いていった。
「あの方がローレンス様の……」
「えぇ。丁重におもてなししてください」
「かしこまりました」
夜にお義父様がサミュエル先生と一緒に帰ってきた。
「キャシーちゃん、後で話を良いかな?」
「はい」
その会話にローレンス様が1歩前に出る。
「ラリー?」
不安そうなカティさんの声に、ローレンス様も不思議そうに1歩下がった。
「ローレンス君、久しぶりだね」
サミュエル先生がローレンス様に話しかけた。
「お久しぶりです」
「無事で何より。そちらの女性は?」
「彼女は、カティ。カティ・グーラフと言います。僕……私の命の恩人です」
「恋人かい?」
「その認識で間違ってはいません」
「ふぅん。グーラフさん、天守国について聞きたいんだけど、良いかな?」
「え、あ、はい」
その間にお義父様がローレンス様に話をする。内容は次期当主資格について。すでにランベルトお義兄様が次期当主としてフェルナー領で働いている事を伝えていた。一瞬きつく目を瞑ったローレンス様は力なく笑った。
「大半は思い出しているのですが、所々曖昧な部分があります。ランベルトに任せられるならそうしてもらった方が、フェルナー領の為だと思います」
「明日にはランベルトもこちらに来る。その時に話し合いの場を持つ。ローレンスも同席し、意見を述べなさい」
「はい。あの、妹は……」
「キャスリーンの事か?あの子は明日から別邸に行く。救民院での仕事もあるし、なにより友人達とのお泊まり会が控えているからな。今回はキャスリーンがホストだから、先に行くそうだ」
「そんな時期に迎えに来てくれたんだね。ありがとう、キャスリーン」
「いいえ。医師資格も取りましたし、私が最適だったという事情もございます。お気になさらないでくださいませ」
ローレンス様の手が、私の頭に伸びた。それを避ける。
「ローレンス様、私は頭を撫でられるような年齢ではございませんでしてよ?」
「あ、あぁ」
「今は混乱されておられるのでしょう。ゆっくりお休みになってくださいませ」
「そうだな。ありがとう」
こちらの話が終わった頃、サミュエル先生とカティさんの話も終わったようだ。
「キャシーちゃん、後でね?」
「はい」
お義父様と執務室に入っていくサミュエル先生を見送る。
サミュエル先生が私の部屋に来たのは、そろそろ就寝しようという時間だった。当然私は夜着姿だし、フランが非難の目をサミュエル先生に向けていた。
「悪いね。こんなこんな時間に」
「本当ですわよ?人を訪ねる時間ではございませんわね」
ガウンを羽織って相対する。フランは少し開けたドア付近に居てくれた。
「そう言わないでよ。で?」
「何がですの?」
「泣く胸は必要?」
「今はまだ……」
「虚勢を張り続けるのも考えものだね。まぁ良いや。侯爵に許可はもらったから、別邸には私も行くよ」
「先生も?」
「婚約の関係もあるしね」
「婚約の……」
結局婚約者はサミュエル先生なんだろうか。ローレンス様はカティさんと別れないだろうし、身体の関係もありそうだし。
そこまで考えて、ズキンときた無視出来ない痛みに少し顔が歪む。
「無理してるでしょ?ダメだよ?キャシーちゃん」
「無理をしなければいけない時ですわ、今は」
「厄介な性格だね」
「元々ですわ」
「頭のひとつも撫でてやりたいけどね」
チラリとフランに視線を送って、苦笑しながらサミュエル先生が言う。
「先生は私位の子が居ても、おかしくはございませんものね」
「昔は私が年齢で揶揄っていたのに、立場が逆転しちゃったね」
「それだけ成長いたしましたのよ?」
「そうだね。ところでその紙は?」
「例の暗号ですわ。結局役に立ちませんでしたけれど」
「解けたのかい?」
「一応は。ただし意味が分かりません。単語にはなりましたけれど」
「見せてもらえる?」
サミュエル先生に紙片を渡す。
「『PCELOIN SURBIA AVARITIA』か。PCELOINはプセロイン天主国の事だろうね。SURBIAは……スービアかな?AVARITIAはアバリティア?」
「そこまでは分かります。スービアとアバリティアの意味が分かりません」
「カティ嬢に聞いてみようか?何か分かるかもよ?」
「先生にお願いいたします」
「良いのかい?」
「あの方に相対するのは、私は……」
「時間がかかるか。そうだよね。いいよ。私が聞いておくよ。彼女はなんというかまっすぐだね。それしか見ていない」
「それはまっすぐなのでしょうか?」
「まっすぐでしょ。人の迷惑解さず一直線。ああいう人間は自分の心に正直すぎる程まっすぐだよ。聞いただけでもローレンス君に迫ったらしいし。それも何度も」
「聞きたくございません」
「聞かなくてもいいよ。あぁ、もうこんな時間だね。遅くまでお邪魔してしまった」
「今日は帰られますの?」
「客室に泊めてもらう予定だよ。……どうしたんだい?寂しがってくれるのかな?」
「寂しいですわ、と言った方が、可愛いのでしょうね」
「世間一般的にはね。でも私は自分を律し続けて侯爵令嬢であろうとするキャシーちゃんが好きだよ。十分に可愛いと思うし」
「揶揄わないでくださいませ」
ハハハ、と笑って、サミュエル先生が席を立つ。
「明日は気の済むまで泣いて良いからね」
去り際にソッと囁かれた。気の済むまでって……。
「それじゃあ明日」
「はい。おやすみなさいませ」
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