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「Hi!マシュー、気分はどう? 」
マシューは申し訳ない気持ちで一杯だったが彼女の声の明るさにホッとした。
「ごめん、本当にごめん。さっき起きて、もう夜だって気付かなくて。折角のクリスマスなのに」
ともかく謝るしかない。
「あれだけ配れば疲れるわよ」
「でも、俺、何もかも忘れてた。サンタ役に選ばれて浮かれて。子供達にプレゼントを配る事ばかりで、君へのプレゼントを用意してないんだ。ごめん」
マシューがそう告げた後、少し沈黙があった。
怒ったのだろうか。
「マシュー、今から出てこれる? 」
「ああ、勿論だよ。何処で待ち合わせにする? 」
声が弾む。
「オーナメント通りの何時ものカフェでどう? 」
「オッケー、一時間もあれば着くけど君は大丈夫? 」
「私もそれぐらいあれば着けるわ」
その後、電話を切った。
既にシャワーを浴び髭を剃り、服を着替えているのだから直ぐにでも出掛けられる。
玄関脇に打ち付けたキーフックからトナカイのキーホルダー付きの鍵を取り、雪の日用のブーツに足を突っ込む。
だが、そこで逡巡し足を抜いた。
「ダメだ!こんな格好じゃ」
服のセンスは決して良い方では無いと自覚はある。
悪くもないが無難なセンスで拘りが無い。
ともかく、クリスマスの夜に恋人と会うというのに、三年前に買って着古したセーターに安物のジーンズは無しだ。
マシューの服の中で一番値段が高いオフホワイトのカシミアのセーターに黒の細身のスラックスを合わせた。
ブーツも黒だからスタイルが良く見える筈だ。
セーターは白で汚れが目立つのが面倒で殆んど着用した事が無いから新品同然。
少しはマシに見えるだろう。
ダウンのコートは無難に黒だからコーディネートを損なう心配は無い。
マフラーはダークグリーン以外に明るめのブルーのがもう一本あったので其方をチョイスした。
全体的なバランスとしてはグリーンの方が合っているように思えたが、少し冒険してみた。
普段と大きく代わり映えはしないものの、少しは努力したと認めて貰えるだろう。
外に出ると、冷気を表す吐く息の白さと積雪が、街灯とイルミネーションを却って温かく見せていた。
バスに乗ってオーナメント通りのカフェに向かう。
曇った窓に色鮮やかな灯りが映る。
歩く人々の顔は皆楽しげなのに、寂しさを覚えるのは何故なのだろう。
乗車して十五分程でバスを降りた。
腕時計を確認するまでもなく、早く着き過ぎたのは分かっていた。
オーナメント通りを歩いていると定番のクリスマスソングが聞こえてくる。
何組かの家族連れとすれ違う。
向こうから歩いてくる子供は、自分がプレゼントを配った相手だろうか。
そんな風に考えると楽しくなってきた。
弾む足取りで歩く。
足元で雪がキュキュっと鳴る。
二人で何度か過ごしたカフェ。
扉にはリースが飾られ、入り口脇にはスノーマンの人形型ライト。
窓ガラスを通して明るい店内が丸見えだ。
レジ近くにクリスマスツリーが置かれていて、お客は数組程度。
普段使いのカフェだから、付き合って一年にもならない恋人同士が特別な夜を過ごすにはカジュアル過ぎる。
足元の雪をブーツで掘り、またギュギュっと踏み固めて惨めさと手持ち無沙汰を紛らわす。
「はあ……」
顔を上げて思わず洩れた白い溜め息の先、ピンクベージュのムートンのコートに身を包んだ女性の姿が通りの向こうにあった。
「クイン! 」
マシューは申し訳ない気持ちで一杯だったが彼女の声の明るさにホッとした。
「ごめん、本当にごめん。さっき起きて、もう夜だって気付かなくて。折角のクリスマスなのに」
ともかく謝るしかない。
「あれだけ配れば疲れるわよ」
「でも、俺、何もかも忘れてた。サンタ役に選ばれて浮かれて。子供達にプレゼントを配る事ばかりで、君へのプレゼントを用意してないんだ。ごめん」
マシューがそう告げた後、少し沈黙があった。
怒ったのだろうか。
「マシュー、今から出てこれる? 」
「ああ、勿論だよ。何処で待ち合わせにする? 」
声が弾む。
「オーナメント通りの何時ものカフェでどう? 」
「オッケー、一時間もあれば着くけど君は大丈夫? 」
「私もそれぐらいあれば着けるわ」
その後、電話を切った。
既にシャワーを浴び髭を剃り、服を着替えているのだから直ぐにでも出掛けられる。
玄関脇に打ち付けたキーフックからトナカイのキーホルダー付きの鍵を取り、雪の日用のブーツに足を突っ込む。
だが、そこで逡巡し足を抜いた。
「ダメだ!こんな格好じゃ」
服のセンスは決して良い方では無いと自覚はある。
悪くもないが無難なセンスで拘りが無い。
ともかく、クリスマスの夜に恋人と会うというのに、三年前に買って着古したセーターに安物のジーンズは無しだ。
マシューの服の中で一番値段が高いオフホワイトのカシミアのセーターに黒の細身のスラックスを合わせた。
ブーツも黒だからスタイルが良く見える筈だ。
セーターは白で汚れが目立つのが面倒で殆んど着用した事が無いから新品同然。
少しはマシに見えるだろう。
ダウンのコートは無難に黒だからコーディネートを損なう心配は無い。
マフラーはダークグリーン以外に明るめのブルーのがもう一本あったので其方をチョイスした。
全体的なバランスとしてはグリーンの方が合っているように思えたが、少し冒険してみた。
普段と大きく代わり映えはしないものの、少しは努力したと認めて貰えるだろう。
外に出ると、冷気を表す吐く息の白さと積雪が、街灯とイルミネーションを却って温かく見せていた。
バスに乗ってオーナメント通りのカフェに向かう。
曇った窓に色鮮やかな灯りが映る。
歩く人々の顔は皆楽しげなのに、寂しさを覚えるのは何故なのだろう。
乗車して十五分程でバスを降りた。
腕時計を確認するまでもなく、早く着き過ぎたのは分かっていた。
オーナメント通りを歩いていると定番のクリスマスソングが聞こえてくる。
何組かの家族連れとすれ違う。
向こうから歩いてくる子供は、自分がプレゼントを配った相手だろうか。
そんな風に考えると楽しくなってきた。
弾む足取りで歩く。
足元で雪がキュキュっと鳴る。
二人で何度か過ごしたカフェ。
扉にはリースが飾られ、入り口脇にはスノーマンの人形型ライト。
窓ガラスを通して明るい店内が丸見えだ。
レジ近くにクリスマスツリーが置かれていて、お客は数組程度。
普段使いのカフェだから、付き合って一年にもならない恋人同士が特別な夜を過ごすにはカジュアル過ぎる。
足元の雪をブーツで掘り、またギュギュっと踏み固めて惨めさと手持ち無沙汰を紛らわす。
「はあ……」
顔を上げて思わず洩れた白い溜め息の先、ピンクベージュのムートンのコートに身を包んだ女性の姿が通りの向こうにあった。
「クイン! 」
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