どこまで歴史的史料に基づいて書いてるのか 森蘭丸伝

春野わか

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 美濃は信忠の岐阜城の近くなので、信頼出来る森家に任せ、岩村城は団平八(蘭丸の友達)に任せて息子を守らせる。という具合に、能力のある外様は使い捨てされるか、遠国にという可能性は確かにあったでしょうね。

 馬揃えでの馬丁殺害は、長可の三大悪行の一つです。信憑性は何とも言えません。
 この馬丁が、長可の怒りを買った理由は謎です。

 長可の名馬百段は長可の死後まで生き、弟の忠政の愛馬となったようです。
 長可討ち死にの時や、忠政とも逸話を残し、後の章で書いている武田信玄の弟の逍遙軒信綱殺害にも一役買ったという話も私の創作ではありません。
 
 馬揃えでの光秀の手配采配振りに、光秀の性格を強く確信しました。
 完璧主義、誇り高く負けず嫌い、古風、弱味を見せるのが苦手、コミュニケーション能力が非常に高いが根暗。

 本能寺の変を後押しする朝廷の信頼と寵愛に有頂天になった瞬間でしょうか。
 朝廷黒幕説も、どの黒幕説もなかったと思っているので、単独説で小説は書いてますが、朝廷の信頼や足利幕府の家臣であった事は光秀を勇気づけ、謀反に走らせた要因にはなったと思います。

 馬揃えの細かい描写は、信長公記やルイスフロイスの記述によりますが、森兄弟の衣装や弥助の参加は創作です。
 弥助の記録はないので、馬揃えには参加してないと思います。

 信基邸での豪華食材や、将棋で買って酒を貰った話しは本人が書き記しています。
 大酒くらいの大食漢だった事も本人が暴露していて、どれくらい食べたかを詳細に記し、出された食材も信基の記録に依ります。

 長可の殺害の流れは大体あんな感じです。
 殺された馬丁は無名です。
 馬揃えのいつ、どのような形で殺害されたかは分かりません。

 こうした逸話は創作と思いますが、彼の血の気の多さが分かり易く表現されているので小説内に盛り込んでいます。


『羽藤』をはとうと呼んでいたのか、一瞬自信がなくなりましたが、森乱はもりらんと呼んでいたようなので、はとうで良いのかと。
 長谷川秀一は長竹、掘秀政は掘久(ほりきゅう)
 長谷川秀一だけ、分かりません。
 秀吉が側近衆を味方に付けていた話は、本当です。
 何かあったら全力で信長から庇うと約束した側近との手紙が残っています。

 彼等、側近達の秀吉に対する思い入れはかなりのもので、秀吉の失態による処罰などの協議、或いは紛争、対立があった際に、彼等は力を合わせて出来る限り信長から庇うと約束しています。

【第12章 十九戒】

 光秀の宮津城への連歌興行の話は本当です。
 道々詠んだ連歌が残っていて良かったです。
 私、連歌作れませんから。

 三好と長宗我部や、光秀と秀吉の事は分かりやすく書いてますが、もっと複雑で、もっと実際は多くの人間が絡んでいますが、私自身頭が痛くなりそうでしたから、ただ、ざっくりと、あんな感じで書いてます。

 蘭丸に500石与えた信長からの書面が残っています。
 それまで、どれくらいの知行を宛がわれていたかは分かりませんが数千石は貰ってたと思います。

 この小説を書くまで、光秀の事は良く知らなかったのですが、『明智光秀のすべて』といった本も読んでみました。

 光秀の19箇条の軍法は残っていて、ネット検索でも訳付きで見る事が出来ました。

 人によって訳が少し異なりますので、参考にさせて貰いました。
 日付が本能寺の変の一年前という事と、最後に信長に対する感謝と敬う言葉が書かれているから、光秀の心境を知る上で貴重な史料とされているようです。

 光秀の心境を知る記録は他にもありますが、私は光秀の能力の高さと性格を分析してしまいます。

 非常に能力が高く、どこかバランスの悪い信長や秀吉と比べるとパーフェクトな印象です。
 頭の良さからすると二人より上ではないかとさえ思ってしまいます。
 

 秀吉みたいに媚びたり、おちゃらけなくても、出世していける人でしょう。
 こずるい手を使う必要ない分、能力に頼り過ぎてしまっている気もしますが。

 馬鹿な振りが出来ないというか....。

 能力だけではどうにもならない事、予期せぬ出来事に弱い印象です。
 信長には人柄よりも能力を愛され、寵愛ではなく重用であるので、情での繋がりが弱い事は本人も分かっていたのではないかと。

 この軍法の後書きと天正十年の正月、坂本城での茶会における茶室の掛け軸が信長の直筆だから、この時点で信長に対する敬意が感じられるといった分析には私も賛成です。

 
 謀反の心を隠す為の周囲に対するパフォーマンスには感じられません。
 あったとしても、意識の上には上ってきてなくて、強いていうなら、無意識に自分の本心を抑え込む為、くらいの解釈でしょうか。


 
 宣教師に贈った屏風の話は割とポピュラーで本当ですが、現存していないので、どの程度詳細に書かれていたのかは推測です。
 行方不明みたいです。

 ただ、相当書き直させたりしたみたいですから、狩野永徳も大変ですけど、信長も大変じゃんって思います。

 蘭丸邸まで書かれていたかは流石に、いや多分構図を想像するに書き込むのは無理に思えます。

 安土城ライトアップの話はルイスフロイスの日本史がやはり面白い気がします。
 信長公記にも載ってますがルイスフロイスは余計な事を書いてくれるので、より信長の人間臭いところが伝わってきておかしいです。

 信長さんは、皆のこと「貴様って呼んでマシタァ」とか(°▽°)
 
 安土城内を家臣に案内させながら、ところどころでディズニーのアトラクションみたいに信長が三回登場したとか。
 どういう順路で進むと面白いよってアドバイスしたとか。

 
 ライトアップ前に宣教師達は安土をお暇するところだったのですが、信長の家臣に伝えて出立の許可を待っていたのに、凄い引き留めてるところも可笑しいです。

 出立の許可を貰いたいと待っているのに、10日も待たされ、またこの家臣に言ったけど、用事があるからとか何とかで誤魔化され、知らんぷりされたと書いています。

 この賢い?家臣の名前が知りたいところですが書いてありません。
 信長がやらせたというより、「引き留めろ」くらい言った事を、ライトアップを宣教師達に見せたくて堪らない信長の心を読み、知らんぷりするところが若い側近の仕業のような気がします。

 この主にして、この家臣ありといったところでしょうか。

 多分、蘭丸ではないでしょう。
 私の推測では青山虎です。第4章 初夜に登場します。何となくですが。
 
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