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第一章
銀紙に包まれた秘密⑥
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「……ッ、」
恐らく、否、確実に。目の前で室内に飛び散ったガラスや木の破片に、数分は思考が停止していただろう。
突然響いた大きな音に泣いて逃げ出すどころか、むしろその衝撃で軽く達してしまった。
口輪をしている彼の目は既に理性を失っていて私を映しているものの、“私”を見ていない。荒々しい息遣いと共に感じる本能の叫びが煩く感じる。
私の身体はかなりおめでたい身体をしているようで。こんな時だというのに目の前に現れた獰猛な獣に興奮している。
「…フーーッ…っ、フーッ…」
唸り声に混じり、興奮した獣の吐息が部屋に響く。自らの服を引き裂き、私が居るベッドにジリジリと近付いて来る彼に、ひと声掛けた。
「来ないで…。」
理性を失った獣を見るのは、初めてだった。
ロウは私がヒートになっても、これほどまでに興奮した事はなかった。
「…グルルルル…、」
理性を失ったままの獣に私の声が届くはずもなく。彼は灰色の毛をブワッと逆立たせ、ベッドの隅に長い片脚を落とし、こちらを向く。
金色の目は私をロックオンしたまま、指先がじりじりと近付いてくる。
「や、やだっ、」
ああ、分かる。
今この人は私を欲している、と。
それに共鳴するように身体が彼を受け入れようとしていて、必死に抑えようと唇を噛み締めた。
発情している彼が近くにいると、いつも以上に心臓が高鳴った。
今も心臓がはち切れそうで、胸元を押えながら必死に訴えかける。
「来ないで…っ、」
それが目と鼻の先まで迫ってきたのが分かり、反射的に瞼を閉じると……。
ふわり、と。
割れた窓から入ってきた風に乗り、血の香りが鼻を掠めた。
「……ッ、な、に、」
嗅いだ事のあるそれに目を開くと、そこには自らの右腕を左手で握り、涙を流している彼が居た。
その右腕には血が滲んでいて、目を凝らすと手指が肉にまで食い込んでいるのが見えた。
目の前で起きていた出来事に驚愕し、言葉も出なかった。
ボタ、ボタとシーツに落ちるのは、彼の血と涙。
それを唖然と見つめる事しか出来ず、片手は今も高鳴り続ける胸元を押えるばかり。
「にげ…ろ…。」
金色の瞳から零れ落ちたのは、綺麗な涙だった。
恐らく、否、確実に。目の前で室内に飛び散ったガラスや木の破片に、数分は思考が停止していただろう。
突然響いた大きな音に泣いて逃げ出すどころか、むしろその衝撃で軽く達してしまった。
口輪をしている彼の目は既に理性を失っていて私を映しているものの、“私”を見ていない。荒々しい息遣いと共に感じる本能の叫びが煩く感じる。
私の身体はかなりおめでたい身体をしているようで。こんな時だというのに目の前に現れた獰猛な獣に興奮している。
「…フーーッ…っ、フーッ…」
唸り声に混じり、興奮した獣の吐息が部屋に響く。自らの服を引き裂き、私が居るベッドにジリジリと近付いて来る彼に、ひと声掛けた。
「来ないで…。」
理性を失った獣を見るのは、初めてだった。
ロウは私がヒートになっても、これほどまでに興奮した事はなかった。
「…グルルルル…、」
理性を失ったままの獣に私の声が届くはずもなく。彼は灰色の毛をブワッと逆立たせ、ベッドの隅に長い片脚を落とし、こちらを向く。
金色の目は私をロックオンしたまま、指先がじりじりと近付いてくる。
「や、やだっ、」
ああ、分かる。
今この人は私を欲している、と。
それに共鳴するように身体が彼を受け入れようとしていて、必死に抑えようと唇を噛み締めた。
発情している彼が近くにいると、いつも以上に心臓が高鳴った。
今も心臓がはち切れそうで、胸元を押えながら必死に訴えかける。
「来ないで…っ、」
それが目と鼻の先まで迫ってきたのが分かり、反射的に瞼を閉じると……。
ふわり、と。
割れた窓から入ってきた風に乗り、血の香りが鼻を掠めた。
「……ッ、な、に、」
嗅いだ事のあるそれに目を開くと、そこには自らの右腕を左手で握り、涙を流している彼が居た。
その右腕には血が滲んでいて、目を凝らすと手指が肉にまで食い込んでいるのが見えた。
目の前で起きていた出来事に驚愕し、言葉も出なかった。
ボタ、ボタとシーツに落ちるのは、彼の血と涙。
それを唖然と見つめる事しか出来ず、片手は今も高鳴り続ける胸元を押えるばかり。
「にげ…ろ…。」
金色の瞳から零れ落ちたのは、綺麗な涙だった。
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