プチ自給自足生活始めたら 何故か異世界の町に繋がった?

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護る力と母の思い 

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 「あ、俺そういうのはいらないです。
  守る力の方が欲しいです。」

身長が3m近い外国人っぽい、おそらく
神様?のいう覇王になるような力は断って、
今の生活を守れる程度の専守防衛の
力の方がいいかな。

 『其の方、護る力を欲するか。
  それも良かろう。
  であれば、護法陣の力を授けよう。』

その声を聴き終えるよりも早く、
俺の体の中に何かが流れ込んできた。
気分が落ち着かない感じで
少し気持ち悪くなってきた。

 『気を鎮め、その身全てで受け止めよ。』

目を閉じて、精神集中をしてみた。

 (ピロン
  護法魔王尊の加護を獲得しました。
  対魔法反射攻撃陣のオートスキルを
  獲得しました。)

ものすごく疲れた。
全身が脂汗まみれになっていた。

 『よくぞ、耐え抜いた。
  並の者であれば途中で気を失い、
  受け止めきれぬのだが、
  さすが彼の者の血筋であるな。
  
  其の陣を以ってすれば、
  たとえ神の攻撃からでも
  其の身を護れよう。

  其の身にはまだ鍛錬が足りぬな。
  鍛えたくば、我が護法陣の舞を
  舞うが良い。
  相応しき者を差し向けよう。

  では、精進せよ、
  我の力を受けし者よ。』

その声を聞き終えるかどうかのタイミングで
意識を持っていかれそうな感じがした。
気がつくと、いつもの草原に立っていた。
首が痛くなりそうな角度で空を見上げていた。

今のは夢じゃないよな?
ステータスを見たら、
ちゃんと護法魔王尊の加護と
対魔法反射攻撃陣のオートスキルがあった。

 「カ、カケル君!!
  君、今まで何処にいたの!?
  一時姿が消えたのよ!
  大丈夫なの!?」

びっくりするくらいの速さでさつきさんが
駆け寄ってきて肩を揺さぶられた。

 「いや、何処だろう?
  よく分からない白い世界にいたんだけど。
  あ、なんだか外国人っぽい人に
  加護を掛けてもらったんですけど、
  なんとか魔王尊って
  何だかヤバそうな名前だけど。」

その言葉にすぐに反応したのは桜子さんだった。

 「えっ!何ですって!
  もしかして、
  護法魔王尊様にお会いしたの?

  本当なのね?
  その方は鞍馬さんの生まれた鞍馬の里で
  祀られている神様の1柱で、
  大天狗様を従えていて、あの義経公の
  幼少の時期に鍛錬に関わったとも
  言われているわ。」

 「あー、それです。
  鍛錬したければ、今の舞を舞えば
  相応しい者を差し向けるって
  言ってました。」

 「だめよ、そこは 仰られました よ。
  心配だわ。相手は神様なのだから、
  言葉には気を使ってね?」

危ないものを感じた俺は、
全力で話題を逸らすことにした。

 「あ、俺汗でびっしょりになったから、
  温泉入ってきます。」

逃げ出そうとする俺の肩を
後ろからがっしりと掴む手があった。

 「待ちなさい、カケル君。
  加護をかけて貰ったって言ったわね?
  もしかしたら、またスキルも貰った?」

いや、そんな妬ましそうな顔で見られても。

 「いや、そんな事言われても、
  俺のせいじゃないし。
  あれですよ、また頼んだら
  くれるかもしれませんよ、うんうん。」

 「そっか、そうよね。
  ここには女神ヘスティア様も
  よく降臨される事だし、
  また頼んじゃおっかな。」

今度はさつきさんの肩を
後ろからぽんぽんと叩く
いい笑顔の桜子さんがいた。

 「さつき、
  ちょっと奥の広間で
  オハナシしましょう。」

顔色が真っ青になっていくさつきさん。
俺は巻き込まれないように、
気配を最大の力で消して
こっそり温泉に向かうことにした。


危険地帯からの緊急脱出に成功した俺は
のんびり、ゆったりと温泉に浸かって
ぼんやりしていると何だか睡魔が襲ってきた。

 『あらあら、そんなところで眠ったら
  風邪をひくわよ。

  ちょうど良かったわ。
  ちょっと顔を見せてあげて
  欲しい人がいるのよ。』

ヘスティア様の声がした。
ふと周りを見ると、
俺はさっきとは違う感じの白い霧が
立ち込めているような空間に立っていた。
しかも、いつの間にか
白い作務衣のような服を着ていた。

霧がゆっくりと左右に道を開けるように
下がってゆく。
その奥からヘスティア様と見知らぬ女性が
近寄ってきていた。

巫女さんのような服を着て
縦長の帽子を被っている。
ヘスティア様がその女性の背を押して
いってらっしゃいな と声をかけていた。

 『・・・立派になられましたね。
  よく今まであの子の、あの方の血を
  繋いでくれました。
  ・・・少し、少しでいいのです。
  我が胸に抱かせてくださいませ。』

何だか懐かしいような、
悲しいような気分が
俺の体の中を巡り始めた。
女性は静かに一筋の涙を流していた。
俺はゆっくりと近寄ると、
女性が歩み寄ってきて、
しっかりとその胸に抱きしめられた。

 『どんなに夢見たことでしょう。
  寂しい思いをさせた母を
  ・・どうか許して・・。』

どの位そうしていたのか分からないけど、
ヘスティア様の
 そろそろ限界よ という小さな声で
その女性はその身を離していった。

多分俺の中の血がそう言わせたかったと思う。
そのまま言葉にした。

 「私もお会いしとうございました。母様。」

その言葉で女性は離れかけていたけど、
もう一度強く抱きしめてくれた。
とても落ち着く感じがした。
暖かな春の日差しの中にいるような
そんないい気持ちだった。

目を開くとほんとに温かい温泉の中に
どっぷりと浸かっていた。

 『ありがとう、これで彼女も
  少しは自分を許せるようになると思うわ。
  これはお礼よ。受け取ってあげてね。』

温泉の湯気の向こうから
少し明るめのヘスティア様の声がした。

 (ピロン
  静御前の願いを獲得しました。)

えっ?願いって?
うん、何だか分からなくもないか。
無茶なことはしないけど、みんなを守る為には
俺は戦うよ、ご先祖様。

そう思ったカケルの顔をふんわりと
暖かな湯気が包み込むような気がした。
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