プチ自給自足生活始めたら 何故か異世界の町に繋がった?

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聖なる湖

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一炊の夢から覚めた俺は、全身を襲う筋肉痛に
耐えながら、ベッドから飛び起きた。

やっぱり、ただの夢じゃなかったな。
この痛みが本物だったと教えてくれる。
まだ外は白み始めたばかりだというのに
シフォンさんはすでに起きていて
下の階に降りているようだ。

ふと外の湖の方を見ると、
朝靄が立ち込めていた。
そういえば、昨日の夜は夏だというのに
少しひんやりしていたからだろうか、
濃いめの靄が湖面を包み隠している。

俺は、シロミズチ様との約束を思い出して
タブレットを手にして湖の方に歩いて行った。

お城にしか見えない国王陛下用に創建した
神殿が、登り始めた朝日を背にして
幽玄な雰囲気をまとっている。

タブレットのカメラモードを起動すると、
靄の揺らめく湖面に映り込む、
後光指すお城を撮影した。

振り返って森の方を見ると、朝日を浴びて
靄が薄まっていて、うっすらと湖面に
木立が映り込んでいた。
もっと近くで撮影したいと思って、
水上歩行のスキルで優しげな波音を立てる
湖面を歩いていくことにした。

不思議なことに、森の方に近づいた時、
波が鎮まり、湖が鏡面のようになっていた。
金色の朝日を浴びた木立が綺麗な鏡像を
見せてくれていた。
俺の好きな日本画のような風景になっていた。
しっかりと撮影してから、
その場から異世界通信のスキルで、
撮ったばかりの画像データをアップした。
俺が勤務していることになっている、
古物商のネット通販サイトのページにも
画像を貼り付けた。


1秒せずにさつきさんから連絡が入ってきた。
こっちに来たいそうだ。。。
だめですよね、桜子さんに怒られますよ。
荷物も来ることだし、お留守番とか色々
頑張ってくださいというと、
えっ、見捨てる気?私達は仲間でしょう?
助けて、ここから連れ出してとか言っていると
後ろから、
 元気がまだ残っているのは結構なことだわ。
 さぁ、朝練を始めましょうか。
と、氷を切り裂くような桜子さんの声が聞こえた。
さつきさんとの通信はそれで途切れた。
・・・お許しを!



我に帰ると、少し肌寒さを感じた。
夏なのにこの気温はやばいよな。

昨日の夜の宴会の席で、兵士の皆さんが
今年は雨が少なくてどこも水不足で困りそうだと
言っていたのを思い出した。

俺は薙刀を亜空間収納から出して、
この薙刀本来の使い方をしてみることにした。
朝のシャワー代わりになるといいんだけど。
そう願いながら、朝靄を切り払い始めた。




薄暗いダンジョンの空にも、二つの太陽が上り、
影を二重に見せる光を広め始めていた。

その空から透明な島のようなものがゆっくりと
下にある土の島をめがけて降りてきていた。
土の島は途中から切り落とされたかのように
そこから先がスッパリと消えていた。

 「ふんっ!
  所詮はスライムよ。
  あの程度のものに倒されるのだからな。
  だが、今度の世界の連中は
  ちょっとはやるようだな。

  せいぜい俺を楽しませろよ。
  よく頑張ってくれたら、
  俺のコレクションに加えてやろう。

  はっはっはっはっ!!」

透明な体に浮かぶ真っ赤な瞳の先には、
何かが封じ込まれている氷像のようなものが
乱立していた。

その透明な体から発せられる声と共に
凍てつくような冷気が吐き出されているようだった。

 「さて、いつもであれば尖兵を立てるが、
  今回は興が乗っていることだ、俺様直々に
  出向いてやるとしよう。」

その透明なものはそう言うと、
土の島に降り立ち、切り落とされた断崖の方に
向かって行った。

 「門戸 解放!

  さぁ、しっかり俺を楽しませてくれよ。
  頼んだぜ。

  っと、・・・こ、これはっ!!!」




俺はゆったりと祈雨の舞をまっている。
温かな雨がシャワーのように降り注いでいる。
なんだか気持ちいいな。
大陸中にしっかり降るといいんだけどな。
そう思いながら1時間以上は舞っていたように思う。

舞終えるのを舞っていたかのように、
温かいシャワーのような雨が上がった。

屋敷に戻るとシフォンさんがタオルと着替えを
用意していてくれた。
洗ってもらっていた予備のアーミースーツに
袖を通して気分も入れ替えた。

シフォンさんは朝早めに起きて、
お城や神殿に持っていくサンドイッチを
たくさん作っていたようだ。
俺も冷凍パンケーキを食材加工スキルで
解凍加熱して蜂蜜をつけて食べられる状態にした。
全部、コピーで増産して、亜空間収納に入れた。

テーブルの上には、ちょうど起きてきた
ココとシルバの分を並べて出してあげた。
二人に温かいスープを出して、ティーポットに
紅茶を用意してから、シフォンさんと俺は
神殿の方にいく事にした。

神殿ではすでに聖女様方が朝のお祈りを
済ませて、解散するところだった。
簡単な朝食になります、よろしければ
お召し上がりくださいとシフォンさんが渡すと
皆さん喜んで受け取ってくれた。

シロミズチ様に小天狗様、精霊様と一緒に
食べてくれるそうだ。
後で戻ってくると伝えて、お城の方に足を伸ばした。

精霊達が嬉しそうに飛びながら出迎えてくれた。
神狼達も嬉しそうに尻尾を振って
顔を舐めにきてくれた。

中に入って厨房に向かうと、
ザラさんとソフィさんがシルキー達と
てんてこまいになっていた。
亜空間収納からサンドイッチと
パンケーキを出すと、すごく喜んでもらえた。
みんなで手分けしてお皿に盛り付けて、
テーブルに運んでいった。

国王陛下もすでに起きておられて、
早速朝食をとっていただいた。
用意が出来次第、隣の女神様の神殿の前から出発し、
街を抜けてダンジョンに向かうことになった。


神殿まで戻ると、ココとシルバも来てくれていた。
動きやすそうな服装になっていた聖女様方も
皆さん同行してくれるそうだ。
小天狗様はとてもご機嫌だ。

エレノア神殿長とエレンリーダーは
国王陛下の守りにつくそうだ。

あっちのお城風の神殿は、神城と呼び、
ここは女神様の神殿と呼ぶことにしたそうだ。

ここの守りは精霊様が、屋敷の方はシロミズチ様が
神城の方はシルキーと精霊達がついてくれるそうだ。
ここの守りは硬そうだな。

神狼達を先頭にして国王陛下の部隊が行進してきた。
小天狗様も張り切って出撃するのじゃと
小柄の体ながら大きな声を上げていた。

ザラさん達も同行して街で補給物資を買って
ダンジョンの入り口でギルドの人達と
待っていてくれるそうだ。

ココとシルバはギルド前まで一緒に来て
納品してから屋敷に戻るそうだ。
うん、その方が安心だな。
シルバはもっと大きくなってからでいいんだよ。
ココと一緒に待っていてくれ。
そうシルバを宥めながら俺達は出発した。

ギルド前でココとシルバに別れを告げ、
お店の前でザラさん達と別行動になった。

ダンジョン前に着いたら、
ジークさん達が出迎えてくれた。

なんでも、ダンジョンの中から冷気が溢れ出ていて、
この辺りの気温が下がっていたのだそうだ。
数時間前に降った雨のお陰でかなり温かくなって、
ダンジョンから出てきていた冷気も
感じられなくなったそうだ。


俺は国王陛下からも促され、
ダンジョンの入り口まで進んだ。
黒い穴の向こうを気にしていたので
足元に気が向いていなかった。

何を踏んだ感触があった。
足の下でパリンというガラスを踏んだような
音が聞こえた気がした。

 (ピロン
  氷の邪神を討伐しました。)

・・・えっ!?何それ氷の邪神って?
何処にいたんだろ??
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