無情の電脳傭兵 異世界で再起動する

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懺悔の念

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海竜ヨルムンガンドの石化を解くミッションを終えたセブンは、
ネコ獣人族の村の拠点に戻り、サラ、カイ、ファーラと、
ファーラの父であり獣人国の戦士長であったフェイズを交えて
この先の方針を話し合っていた。

 「神龍様が天候を司っておられるか・・
  確かにこの大陸のすべてを見聞し見守っておられると
  言い伝えられておるが、にわかには信じられぬな。
  
  力の象徴として祀られておるがそこまでのお力を
  お持ちなのだろうか?
  ならば、何故お使いいただけないのか
  気になるところであるな。」

 「しかも、海竜様すら恐れなさるような神龍様となると
  如何にしてお話されるおつもりなのか?

  セブン殿であれば、あの神龍様のお山の麓までは
  行けようが、お山に入れるのは神龍様の血族である
  龍人族の者のみと聞く。
  
  ワイバーンすら近寄れぬ神聖なお山として
  獣人族では信仰の対象として崇められているのだ。
  獣王様も力の象徴として神龍様を信奉されているくらいなのだ。」

海竜ヨルムンガンドとの話を聞かせたところ、
フェイズとファーラからはこんな意見が出てきた。

 「セブン様、ここは人族の王都の方々からも
  情報を頂くことがより精度の良い方法が立案できるかと存じます。」

難しい顔をしていた拠点管理用アンドロイドのカイが
さらなる情報収集の提案をしてきた。

 「そうね、魔族の女王カミュールさんからの言伝もあることだし、
  人族の王都に連絡をする必要はあるわね。
  
  そういえば、獣人族の王様にはまだお会いできていないのだわ。
  あの森の向こう側を目指されたという事でしたわね、ファーラさん?」


 「ええ、その通りです。ですが、我々の国の獣王様であれば、
  カミュール様と同じことを言われるかと。
  生粋の武人であられますので、力勝負での勝敗で禍根はないかと。」

 「うむ、獣王様であれば、確かにそうであろう。
  土地を巡っての戦争など先代獣王の時代では日常茶飯事であったと聞く。
  逆に、このところの平和を不満に思うておられた上に、
  領地も王位でさえも力で取るものと定見を持たれておった方だ。
  己の無力を恥じることはあれど禍根を持つことなどないであろう。

  そのような方だ、懺悔の念など持たれることはない、
  復興への助力は不要 とお伝え願いたい。」


この世界の人は皆実力主義な上に気持ちいいくらいさっぱりしてるな。
やっぱ、俺この人たち好きだな。横槍を入れてきた連中の殲滅が先かな。

 「承知しました。
  では、その旨を人族の王都におられる宰相様と王様にお伝えします。」

 「そういえば、セブン殿。
  ファーラから聞いたのだが、我が愛馬まで助けて頂いたとか。
  何から何までどう感謝すればよいのか分からぬほどだ。
  その上この村の防衛用にかような武器まで付けて頂き
  恐縮この上ない。

  何か我らに出来る事であれば助力させて頂きたい。」

 「いえいえ、我々の様な素性も知れぬものを
  村に置いていただけるだけで十分です。

  しかも、我々の不在時に、ファーラさんにはクロの世話まで
  対応頂いてもらって非常に助かっており、感謝しております。」

その後もあれこれとこの村の事などを一頻り話し込んでから、
父娘は拠点を後にしていった。

眠る必要のない3人は、深夜になっても偵察に出ているカーラが
送信してきた地形データ等の情報を解析していた。

 「セブン、カーラからの観測結果から見ても
  神龍様のお山には結界があるのだわ。
  乱暴な手段を執るべきではないから、
  結界の手前から陸上移動がお勧めよ。

  人族の王様、宰相様からの情報にも
  期待できそうにないと思うのだわ。」

 「そうですね、私もサラ様のご意見に同意します。
  結界がある以上人族でも自由に出入りできていないでしょうから。
  突破口ですが、フェイズ様のお話にあった龍人族の方々との
  接触ではないかと愚考します。」

 「そうなると、麓近辺で捜索した方が良さそうだな。」

 「セブン、そろそろ夜明けになるわね。
  人族の王都ならもういい時間なのではなくて。
  連絡を取るべきだと思うのだけれど。」

 「そっか、時差あるもんな。
  よし、バグドローンに呼び出してもらうかな。」

そう言うと、セブンの電子眼内のモニター画面からドローン経由で
人族王都の王城に忍ばせているテントウムシ型ドローンを起動させた。

  警報! 対象をロスト 熱源反応多数 

と赤色のアラートが発報された。

 「セブン、こちらでも共有出来ているけどこれは・・」

 「おそらく、いえほぼ間違いなくアトランティス帝国の襲撃と
  判断します。王子、王女を失った帝国の報復攻撃と想定されます。」

 「カーラ!悪い!すぐに戻ってきてくれ!
  「止めなさい!!あなたはこの世界の戦争に干渉するというの!?
   行くのなら襲撃が終わってからよ。冷静になりなさい!

   あなたが人族の味方について戦う理由が何処にあるというの?
   今あなたがするべきことではないわ。頭を冷やしなさい。」

  そうかもしれない、確かに人族の味方につく理由はないかもしれない。
  でも、それでも助けを求める人がいるなら・・

  「よく考えなさい、さっきフェイズさんも言われていたわよね?
   ううん、カミュールさんも言われていたことよ。
   勝負は力の強弱で決まるこの世界の戦争に関わってはいけないわ。

   あなたが持つ力は一方的に殲滅出来うる力があるのよ。
   襲撃されている側を守りたい気持ちは分からなくはないわ。

   でも、よく考えて。あなたが倒す戦士にはあなたと同じで、
   守りたい人や守りたいものがあるから命をかけて戦っているのよ。
 
   殺された恨みの報復もあるというのなら、もっと悪い負の連鎖、
   殺し合いの抜け出せない螺旋の呪いに、自ら飛び込む必要などないわ。

   もうあなたは十分に戦ってきたのよ。無用な戦いはしないで。
   お願いだから。
   
   もうあなたのことを危険にさらして、
   一人で安全なところで待つのは嫌なの。
   何百年もずっと待つことに耐えてきたのよ。
   もうお願いだからやめて。」

  ごめん、サラ。でも、俺はそれでもテュールさん達騎士団だけでも
  助けてあげたいんだ。」

 「それこそ騎士団の方々からすれば余計なお世話だと思うのだわ。
  国を守るために彼らは力の限り戦っているのでしょう?

  この先もアトランティス帝国だけでなく、魔族国や獣人族から
  攻め込まれても不思議のない国なのよ。
  その時あなたはどちらの肩を持つというの?
  悩むでしょう?なら、干渉は止めなさい。

  カーラが戻っても、向かうのは神龍様のお山の麓よ。
  冷静になって少しは理解出来たかしら?」

 「・・・分かったよ、そうだな。今でもそうだよな。
  ここに魔族の彼らが攻めてきたら、俺はここを守るために
  彼らと戦うことになるんだよな。」

 「そうならないように、協力関係を、信頼できる仲間として
  共存できる道を探すのがあなたがするべきことなのだわ。
  
  殺して殺された恨みでまた殺して・・そんな負の連鎖は
  元から発生させないように断ち切るのよ。

  とても大変な事だと思うわ。
  でも、これがノルン様が望むことなのではないかしら?

  運命を呪う事のない平和な世界。
  私達のいた世界では成しえなかったことだけど、
  ここなら出来そうな気がするのだけれど。
  頑張りましょう、私も出来る限り一緒に前に出るから。」

そうサラから言葉をかけられながらも、
テュール騎士団長の精悍な姿が
頭から離れないセブンであった。  
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