無情の電脳傭兵 異世界で再起動する

graypersona

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白い巨獣

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次々に湧き出てくる機械兵士の群れを、
徹甲弾で沈黙させていくセブンは、
苛立ち始めていた。

 (どんだけ湧いたら気が済むんだよ!
  もういいだろ、いい加減諦めろよ!
  
  バグドローンのデータ解析まだかな、
  急いでくれ!)




パティシエの街の拠点では、カイと漣が
各ダンジョンから次々と入ってくるデータの
収集と解析を急いでいた。

北側のダンジョンについては、ほぼ無人の
オアシス近辺にできた事もあって後回しにされ、
南にカーラとブリュンヒルド、東にパイロとサラが
フライングユニットで飛んでいた。

 『大型のヒクイドリがいっぱい飛んでいるのです!
  今夜は焼き鳥パーティなのです!』

 『いや、カーラ、確かに鶏肉系はヘルシーですが、
  食べ過ぎるのはお勧めできません。
  お肉だけでなく、羽毛もいい素材になりますので
  収集の方お忘れになりませんようお願いします。』

 『了解なのです。』

南のダンジョン付近にはヒクイドリが大きくなった魔物が
溢れてきているようだ。
この魔物の肉はさっぱりとした甘味があり人気だが、
羽毛の方も寝具に最適な高級素材として人気がある。

この地域は日中は気温が高く暑いが、夜になると
グッと冷え込み、今の秋の時期でも氷点下まで下がる時がある。
この冷え込みから身を守るためか、ヒクイドリは通気性がよく
保温性の良い良質な羽毛を見に纏っているのである。

ちなみに、カーラは世界の山○ゃんのように、
皮はパリッと、身はふっくらと揚げた手羽先がお気に入りだ。
ブリュンヒルドは、闇人族からもらったキツイ酒と一緒に
カーラの手羽先をつまむのが好きで、二人して真っ先に
この南のダンジョン調査に立候補すると同時に
飛び立っていた程だ。

二人ともバルキュリヤという神兵なのであるが、
今ばかりは食欲の鬼に変化していそうである。



 『サラさん、この湖の周りって、
  すごい種類の木がわさわさ生えてて、
  フルーツ系もいっぱいあるっしょ。
  
  ダンジョン攻略したらフルーツ狩りして
  帰ろうよ。』

 『いいのだわ、フルーツはビタミン類も豊富で
  お肌にも必要なのだわ。

  あら、あれは桃に似ているわね。
  サンプル採集をバグドローンで
  実行しておくことをお勧めするわ。』

東側のダンジョン調査組に至っては、
もはやダンジョンはついでの扱いにされているようだ。

湖の周りをぐるっと囲むように木が生い茂っており、
海側に近いところにぽっこりとダンジョンの入り口が
黒い口を開けているようなのだが、そこからは
奇妙な動きをする木の魔物がのそのそと出てきていた。

瞬殺でパイロに焼かれているが、
ただ焼いているのではない。
しっかりといい炭に加工されているのだ。

 『カーラが焼き鳥にハマって、
  炭火最高!っていいながら使いまくるから
  全然足りないっしょ。
   
    「不浄潔金剛炎」

  さっき、圧縮メッセで

   肉大漁なのです!
   炭の量産を依頼するのです!

  って、言ってきてるから、
  これ帰ったらまた一週間連続焼き鳥になるっしょ。

  あたい、実は皮苦手なんだよね。
  ブヨブヨして食べにくいんだけど。
    
     「不浄潔金剛炎」』

 『あ、それは私も同じなのだわ。
  あら、あの魔物の枝に実がなっているわ。
  そこだけ凍らせておくから、
  残りは炭に加工をお願いするのだわ。

     「氷結」』

電脳を介して会話をしながら、合間に魔法で
地上の魔物を倒しているようだ。。。
・・・ほんとについでにやってる感が出過ぎている。。
・・・ま、まぁ周りに魔物の被害が出ていないので
この二人の行動には問題がないということで、
見なかったことにしておきましょう。



真面目にダンジョン内部の調査をしている
セブンに目を移しましょう。

西のダンジョン内部は幅3km奥行き10~20kmの
空間になっていて、各階層毎に環境が異なっている。

フロア1は、大気汚染が激しい機械化都市で
魔物はゲートから出てくる。
マッドビッグボア、マッドビッグファング、
イービルオーガの3個体が確認されている。

フロア2は、ゲートの先にある森の中で、
ミスリルメタルゴーレムだ。
魔法攻撃を吸収してしまうため物理攻撃のみで
戦うことになる難敵だ。

フロア3は、森をまっすぐ突き抜けた先にある
砂漠地帯だ。
ここの敵は機械兵士達で銃火器を使ってくるので、
この世界にはオーバーテクノロジーな異質の敵だ。

今、セブンはここの機械兵士を氷結魔法で凍らせて
アイテムボックスに収納しまくっているところだ。

 (最初からこれ使うんだったな。
  凍らせたら機能低下して死亡扱いで収納できるとは。
  魔法便利すぎる。

  と、出方が少なくなってきたな。)

バンバン魔法を使っているセブンだが、魔力ランクは
これまでの戦闘を経て上がりまくり、Exとなっている。
魔力量は無限だそうだ。
・・・いいのかな、この男に無限に魔法使わせても。。

そんなことを思っていると、機械兵士は湧いてこなくなり、
ついに動くものがいなくなったのだった。

急にグイッと引き寄せられたと思ったら、
奇妙な空間に入っていた。
紅葉した木が並ぶ林の道があり、
その葉も木も金属光沢を見せている。
ひらひらと落葉すると、地面にサクッと音を立てて
刺さっていく。

 (ん?道の奥に何かいるな。
  来いってことかな。
  じゃ、お呼ばれしますかね。)


スラスターを吹かせて少し速めの移動をすると、
目前に白い巨獣が綺麗な香箱座りをしていた。

 (顔はいかつい虎みたいで怖すぎだけど、
  その座り方!変に可愛くてビビれないよ。
  先制攻撃防止の策かな。
  どうしようかな。
  ・・・あ、そうだ、新しい攻撃魔法の
  従魔召喚であいつを呼んで相手してもらうかな。
  巨獣には巨獣だよな。うんうん。)

目の前でシュールな絵ずらで座る30mくらいの大きさの
白虎と思わしき巨獣の相手に、セブンも巨獣を召喚して
戦わせるつもりのようだ。


時はヘルの地獄門解放事変の直後まで遡る。
不遇の娘ヘルを天界へ連れて行ったロキ神から
パティシエの街の神殿の神官、漣に神託があった。

セブンにはヨルムンガンドもヘルも
助けてもらって感謝しているのだが、
もう一人の子であるフェンリルが
素材状態でアイテムボックスの中に
収納されているのが忍びないので、
できれば開放してあげて欲しい

とのことだった。

開放するだけでヘルの力で
蘇生はできるとのことだったが、
それならついでにと、セブンは
開放と同時に完全蘇生の魔法を
使雨ことにしたのだった。


この動きを聞いていたパイロが
フェンリル用にとテラサイズショコラケーキを
焼き上げて、お詫びとして差し出したところ、
フェンリルは天界に行きたくない、ここにいたいと
駄々を捏ねだしてしまった。


ロキやヘルの説得の甲斐なく、フェンリルは
頑として地上にいることを譲らなかったため、
主神の許しもあって、セブンの従魔として
残れることになったのであった。

フェンリルは非常に喜び、パイロと同じ
火魔法系が得意でもあったので、
カカオやナッツ類の焙煎加工を手伝い、
おこぼれを分けてもらって尻尾をふりまくる
巨大なペットと成り果てていた。

今はフェンリルのモフモフ山として
街の子供達の遊び場所にもなっているくらいだ。


 『あー、フェンリル、
  今からちょっと戦闘に参加できるかな?
  大丈夫?良かった、じゃあ頼むよ。』

  「従魔召喚 出でよ!フェンリル!」


巨獣から下がりつつ、召喚魔法を使ったセブンの
目の前にもっと大きな白い巨獣が顕現した。
10倍くらいの差がある。

 「お前が俺の相手か?
  小さき魔物よ、
  このフェンリルが相手をしてやろう。
  どこからでもかかって来い!!」

と凄まじい咆哮のような大声を上げると、
白虎のような魔物は即座に横になって腹を見せて
寝転んだのだった。

 「・・・セブン、帰っていいかな?」

 「あー、これついでに連れて帰ってくれると
  ありがたいんだけど。」

 「いいぜ、咥えて連れて帰っておこう。
  うっかり飲み込んだらごめんな。」

涙目になった白虎の姿があった。

 (いやいや、これ最初から
  フェンリルに来て貰ってたら
  速攻で終わってたんじゃね?
  
  ここまでの俺の戦闘なんだったんだろ?

  まぁいっか。
  他のダンジョンに行ってみるかな、
  苦戦してるところもあるかもしれないしな。)


真面目に次のダンジョンに向かうつもりになっている
セブンには悪いのだが、南と東は趣味と実益を兼ねた
攻略が進んでいる状況なのであった。


なお、この西のダンジョンはボスはいなくなって
フロア4以降が閉鎖されたのだが、フロア3までは
解放されたまま残り、定期的に魔物が湧く
資源用のダンジョンとして活用されていくのだった。

ちなみに、白虎はパティシエの街の
新しいモフモフペットとして活躍している。
・・・いいのか?それでいいのか白虎?
四方の神だったと思うんだけど?

 (無理、主神と戦える神獣とか反則。
  その神獣がペットとか、
  この街は常識がなさ過ぎる。

  しかも、シヴァ神に撫でられた時は
  今日が命日になるかと思ったよ。

  うん、このケーキはちょっと苦めで
  いくらでも食べられるな。

  生きててよかったよ、ホント。)

他の四方の神の末路が見えてしまって
かわいそうにと思いつつも、
絶品のスイーツに舌鼓を打つ白虎であった。
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