無情の電脳傭兵 異世界で再起動する

graypersona

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覚悟

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見慣れた拠点の入り口をステルスモードで潜ってゆく。
周囲に展開しているバグドローンとリンクできたため、
拠点内部の状況が一瞬で把握できた。

 (おいおい、あそこって大陸弾道移動ユニットがあったな。
  トップシークレットって表示されてるから、間違いなく
  対象はあれだな。

  問題はその周りで警備についてる連中だな。
  ・・・俺の反応もその中にあるってことは
  面倒だな。
  戦闘を避けられない感じだ。面倒だな、ほんと。)

嫌そうな言葉とは裏腹にセブンの顔には笑みが浮かんでいた。

 (あー、中身の情報見つけちまったよ。
  宇宙探査船がスターダストベルトで発見した
  マイコプラズマの一種で、致死率が高いやつかよ。

  
  大陸弾道移動ユニットで砂漠地帯にばら撒いて
  敵性勢力の弱体化を図るって・・・また、あいつの
  狂った作戦かよ。
  大丈夫なのか、ばら撒いて?
  ダメなんだろうなきっと。
  だから破壊するってことなんだろうけど、
  これはここで破壊できないな。

  このマイコプラズマ、耐熱殻を持つタイプか。
  収納して外宇宙に放出するのが良さそうだな。

  さて、突入しますか。)

拠点の地下5階にある管理区域に到着したセブンは、
内部でうろつく歩哨のタイミングを見計らい、
入り口の赤外線センサーを疑似認識させて無効化し、
ゆっくりと侵入したのだった。

 (収納!)

移動コンテナ毎アイテムボックス内に収納することに
成功したセブンは、すぐさまその場を移動した。

 ポポポポンッ!!

独特の発射音を立てて、高圧縮弾が足元に撃ち込まれてきた。

1人の歩哨がスラスターを吹かせて急接近しつつ、
両手から連射してきたのだった。

 (さすが、俺だな。
  気づいて欲しくなかったような、気づいて欲しかったような
  なんとも言えない気分だな。

  この階の奥にフライングユニットの格納庫があったよな。

  そこでやり合いますか。)



 「チッ!ステルスモードかよ!
  しかも、移動の速さは、電脳兵並みじゃねぇか。
  重力変位センサーで位置は分かっても追いつけなかったら
  当たりゃあしねぇな。

  そっちは・・野郎、フライングユニットで逃げる気か?
  しかし、さっきのどうやったんだ?
  一瞬で消えるとか、イリュージョンマジックかよ。

  逃すかっ!」


フライングユニットの格納庫では、新型の3Dホロナビゲーター機能の
セットアップ検証が行われていた。
白衣を纏った電脳化された研究員達が、狂科学者のプロフェッサーの
指示のもとで数百機の機体の調整に追われていた。


 ポポポポンッ!

黙々と作業をしていた格納庫内に高圧縮弾の連射音が響いてきた。
同時に全職員、傭兵に最重要機密の盗難事案発生の一報が入ってきた。

プロフェッサーの目に怒りの色が浮かび上がり、
格納庫へ侵入してきた重力検知された物体に向けて、
手のひらサイズの円盤状の刃を放った。

自動追尾がついているようで、避けても戻ってきて切り裂こうとする。
セブンはとっさに両腕のスペースチタンブレードで受け切り、
周りに作業者の張り付いていないフライングユニットの影に隠れると
ダイレクトにプログラムを送り、ジョイントシークエンスを始めさせた。

すぐに機体から離れると、何度殺しても殺したりないプロフェッサーに
目掛けて、光の刃を放った。
当然プロフェッサーに受け切れるわけもなく、
縦に切り裂かれて二つになって倒れていった。

セブンのもとへ旧型ボディ仕様と見られるセブンが両腕のブレードを
展開して斬り込んできた。

旧型セブンの渾身の一撃は、すっぱりとブレードを切り落とされた。

 (やっぱ、スペースチタンブレードは切れ味がいいな。
  悪いな、もう1人の俺。
  これで機能停止して休んでくれ。

   海神の水弾)

セブンの放った水弾の魔法は、旧セブンの体内で水を発生させ、
反応炉を急停止させたのだった。

崩れ落ちるセブンに向かって白衣の職員が駆け寄ってくる。

 「セブン!いや、死なないで!!」

聞き覚えのある声が響いてきた。

 「セブンの敵!!」

白衣の職員は小型電磁砲を構えて重力変位のある位置に向けて
引き金を引こうとしていた。

その瞬間から周りの世界がスローモーションのように
ゆっくり動くような感覚に囚われたセブンは、
白衣のボディの中心部に避けて高圧縮弾を連射した。
着弾と同時に職員は引き金を引き絞り、小型電磁砲が
発射された。

制限の多いステルスモードを瞬時に解除しつつ、
向かってくる電磁砲の逆位相波を身に纏わせて
相殺を試みた。

完全とはいかなかったようで、駆動部に少しダメージが入った。
動きが鈍ったセブンに職員が襲いかかってくる。

 「オン シュリ マリ ママリ マリシュシュリ ソワカ
   烏枢沙摩明王よ我に力を!
   不浄潔金剛炎殺」

折れた両手で印を結びながら、綺麗な黒髪を靡かせた紗良が
自死覚悟で飛び込んでくる。

 (悪いな、それを喰らうわけにはいかないんだ。
   海神の水弾)

紗良の反応炉も急停止し、その場に頽れていった。

ジョイントシークエンスを終えたフライングユニットを
装着したセブンは、ステルスモードを起動し、
その場から静かに消えてゆくのだった。
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