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一章 最強国王の悲劇
一話 王子様
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「最悪だ……」
この俺、六宮冬悟は呆然として東京の地に立ち尽くしていた。
関西の田舎住みである俺は初めて来た東京の人混みに圧倒されていた。
東京は人が多いと散々聞かされていたが、これは予想以上だ。
これがいわゆる帰宅ラッシュってやつかと感心させられる。
――いや、感心してる場合じゃない。
俺は無計画でここに来たことを正直かなり後悔していた。
何故こんな遠い所まで遙遙やって来たかというと、リアルでの生活が嫌になったからである。
大学は面白くないし、上手く人と喋れないし、彼女はいないし、勉強は大変だし、真面目な割には成績も良くない。
まだ無数に辛いことがあるが、挙げればキリがないので止めておく。
自分の不器用さ、不憫さに嫌になり、何処にも逃げ場がないと思った俺は全てを投げ出したいと思ってここに来たわけだ。
ただ、遠い所に逃げたところで自分の能力は変わらないらしく、俺はどうやってここから帰るのかが分からなくなり今に至る。
スマホの充電は先程使い果たしたので経路検索は出来ない。
「現実逃避しようと思ってアニメショップが多い秋葉原に来たけど、歩いてたら今自分が何処にいるのか分からなくなっちまった……ここでも自分の無能っぷりに気づかされるのかよ……神様は俺に何か恨みでもあるのか? それともただ俺が無能で面白いから遊んでるだけなのか?」
――被害者面をするな、とあなた達は思うかもしれない。
でもそんな言葉今の俺に聞き入れることの出来る余裕はない。
俺が辛いと人に漏らすと、大抵の奴はお前は恵まれている、もっと辛い人もいるんだからそんなこと言ってないでもっと頑張れと言う。
いや、分かるよ。分かるけどさぁ……他人と比べてもどうにもならんでしょーよ。
と俺は常々思って生きてきた。
そんなこんなで厭世的な思考回路の俺はフィクションの世界にのめり込んでいったのだ。
アニメ、ゲーム、マンガ、小説。鬱陶しい現実世界から逃げるには最適である。
ただ、長期休暇の期間は良いのだが、学校が始まると逃げることすら阻止される。
長期休暇最後の日に絶望していた俺は、全部嫌になりこんな大胆な行動に出たわけである。
「ホテルで泊まっていくか……? 駅まで辿り着けてもスマホ無いとぜってー電車理解できないし……でもホテルもどうやって予約するのか分からないし……そもそも明日大学なのにどうしたら……」
そんなことを思って歩いていると、魔法使いみたいな格好をした人がこちらに歩いてきた。
とはいっても某女児向けアニメに出てくるような魔法使いではなく、魔女といったような感じだ。
「へぇ、流石東京……コスプレイヤーとかも普通に街歩いてんだな」
そんな呑気なことを思っていると、何故か魔女は俺を見るなりスタスタとこちらに近づいてくる。
「あなたは、六宮冬悟さんでしょうか?」
中年の女性といった感じの声の魔女は突然俺に話しかけてきた。
「え、……そうですけど……え?」
――なぜ俺の名を知っている?知り合いか?――まさか。こんな人混みの中で陰の薄いことに定評のある俺を見つけられるはずがない。
「やっぱりそうだ! あなたを探していました! やっと転移魔法が成功した……これであの方も満足なさるはず……良かった、良かった」
「あの、一体何を言ってるんですか? 探していたって……多分人違いだと思いますよ」
――俺がお尋ね者?ありえない、俺を探す奴なんてどんな物好きだよ。
もしかして俺なんか悪いことでもしたっけ?
そんなことを思っている時だった。
「さぁ、王子様! 転移魔法を使います! 私の手を取ってください!」
そう言うと魔女の体が突然紫色に輝き始めた。
「は? 王子様? 一体何言って……って、ええ!?」
魔女が俺の手を握ると――俺の体が魔女同様に紫に光輝き始めた。
紫の光に包まれた俺は何故か意識を失ってしまった。
この物語を読む全ての人に伝える。
この世界は、楽して好きなことだけをして生きていけるほど甘くはない。
ただ、その事実に圧倒されないでほしい。苦しくても辛くても、その中に光はある。
俺のように、突然全てが自分の思い通りに上手くいくと思うのは危険だ――と、最後に警告をしておく。
この俺、六宮冬悟は呆然として東京の地に立ち尽くしていた。
関西の田舎住みである俺は初めて来た東京の人混みに圧倒されていた。
東京は人が多いと散々聞かされていたが、これは予想以上だ。
これがいわゆる帰宅ラッシュってやつかと感心させられる。
――いや、感心してる場合じゃない。
俺は無計画でここに来たことを正直かなり後悔していた。
何故こんな遠い所まで遙遙やって来たかというと、リアルでの生活が嫌になったからである。
大学は面白くないし、上手く人と喋れないし、彼女はいないし、勉強は大変だし、真面目な割には成績も良くない。
まだ無数に辛いことがあるが、挙げればキリがないので止めておく。
自分の不器用さ、不憫さに嫌になり、何処にも逃げ場がないと思った俺は全てを投げ出したいと思ってここに来たわけだ。
ただ、遠い所に逃げたところで自分の能力は変わらないらしく、俺はどうやってここから帰るのかが分からなくなり今に至る。
スマホの充電は先程使い果たしたので経路検索は出来ない。
「現実逃避しようと思ってアニメショップが多い秋葉原に来たけど、歩いてたら今自分が何処にいるのか分からなくなっちまった……ここでも自分の無能っぷりに気づかされるのかよ……神様は俺に何か恨みでもあるのか? それともただ俺が無能で面白いから遊んでるだけなのか?」
――被害者面をするな、とあなた達は思うかもしれない。
でもそんな言葉今の俺に聞き入れることの出来る余裕はない。
俺が辛いと人に漏らすと、大抵の奴はお前は恵まれている、もっと辛い人もいるんだからそんなこと言ってないでもっと頑張れと言う。
いや、分かるよ。分かるけどさぁ……他人と比べてもどうにもならんでしょーよ。
と俺は常々思って生きてきた。
そんなこんなで厭世的な思考回路の俺はフィクションの世界にのめり込んでいったのだ。
アニメ、ゲーム、マンガ、小説。鬱陶しい現実世界から逃げるには最適である。
ただ、長期休暇の期間は良いのだが、学校が始まると逃げることすら阻止される。
長期休暇最後の日に絶望していた俺は、全部嫌になりこんな大胆な行動に出たわけである。
「ホテルで泊まっていくか……? 駅まで辿り着けてもスマホ無いとぜってー電車理解できないし……でもホテルもどうやって予約するのか分からないし……そもそも明日大学なのにどうしたら……」
そんなことを思って歩いていると、魔法使いみたいな格好をした人がこちらに歩いてきた。
とはいっても某女児向けアニメに出てくるような魔法使いではなく、魔女といったような感じだ。
「へぇ、流石東京……コスプレイヤーとかも普通に街歩いてんだな」
そんな呑気なことを思っていると、何故か魔女は俺を見るなりスタスタとこちらに近づいてくる。
「あなたは、六宮冬悟さんでしょうか?」
中年の女性といった感じの声の魔女は突然俺に話しかけてきた。
「え、……そうですけど……え?」
――なぜ俺の名を知っている?知り合いか?――まさか。こんな人混みの中で陰の薄いことに定評のある俺を見つけられるはずがない。
「やっぱりそうだ! あなたを探していました! やっと転移魔法が成功した……これであの方も満足なさるはず……良かった、良かった」
「あの、一体何を言ってるんですか? 探していたって……多分人違いだと思いますよ」
――俺がお尋ね者?ありえない、俺を探す奴なんてどんな物好きだよ。
もしかして俺なんか悪いことでもしたっけ?
そんなことを思っている時だった。
「さぁ、王子様! 転移魔法を使います! 私の手を取ってください!」
そう言うと魔女の体が突然紫色に輝き始めた。
「は? 王子様? 一体何言って……って、ええ!?」
魔女が俺の手を握ると――俺の体が魔女同様に紫に光輝き始めた。
紫の光に包まれた俺は何故か意識を失ってしまった。
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この世界は、楽して好きなことだけをして生きていけるほど甘くはない。
ただ、その事実に圧倒されないでほしい。苦しくても辛くても、その中に光はある。
俺のように、突然全てが自分の思い通りに上手くいくと思うのは危険だ――と、最後に警告をしておく。
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