18 / 95
旦那様と親への挨拶
5ー5
しおりを挟む
旦那様が顔を片手で隠しており、私の方を向けてくれません。
何も言えずに見ていると数秒後、指の隙間から夜空のような藍色の瞳が覗きました。
「見た……、か?」
旦那様の瞳、初めて見ました。
すごくキラキラと輝き、綺麗で思わず見惚れてしまいます。
ですが、今は見惚れている場合ではありません。
「はい、見ました。あの……」
「そうか、悪いな。気持悪いもんを見せてしまった。綺麗なもんを見せたのだが、台無しだな……」
…………今まで顔を黒い布で隠していた理由は、それだったのですね。
顔半分を占めてしまっている、痛々しい火傷の跡。
一瞬しか見えなかったですがもう古く、何年も前に出来たようでした。
「…………旦那様、よく見せてください」
「っ、華鈴……」
旦那様の顔に手を伸ばし頬に手を添え、軽くこちらを向くように言うと、素直に手を離し向いてくださいました。
目の周りは黒く染まっており、今以上に治すことは難しそう。
おそらくですが、もう数十年も前に火傷をしてしまったのでしょう。
「華鈴、無理するな。気持ち悪いだろう」
「無理などしておりません。――――あの、痛みなどはありませんか? 古傷でも、天候によっては痛む時があると聞いたことがあります」
「いや、痛みはない」
ほっ、それなら良かったです。
痛みがないのなら、安心しました。
「…………華鈴?」
「はい、なんでしょうか?」
「いや、そんなにまじまじ見られると、気まずいんだが…………」
へ? あ、わ、私、無意識に旦那様を見つめていました!!
「す、すすす、すいません!!!!」
「――――あ、まっ、ちょ、暴れるのは危険だ!! 待て待て、お、落ち着け!!」
「っ!! すすす、すいません!!」
咄嗟に離れるため、旦那様の胸を思いっきり押してしまいました。
あ、危なかったです。
上空だったのをすっかり忘れておりました。
「あの、すいませっ―――」
顔を上げると、思ったより顔が近い?!
少しでも動けば、口がぶつかってしまいそう。
────心臓がバクバクと音を立て、波打っているのを感じます。
私の視界が、旦那様の綺麗な藍色の瞳により覆われます。
吸い込まれそうな瞳。
このまま見続けてしまうと、私はどうなってしまうのでしょうか。
このまま、吸い込まれてしまうのでしょうか。
そ、それはそれで、いいかもしれないです。
吸い込んでください。
「──華鈴、一度降りるぞ」
「あ、はい」
パッと、旦那様が顔を逸らしたため、藍色の瞳から開放されました。
でも、心臓はまだバクバクと音を立てています。
初めて見た旦那様の瞳、顔。
私は、今まで以上にドキドキしてしまって、どうにかなってしまいそうです!
ちらっと、旦那様の横顔を見ると、着地点を探しています。
ですが、視線に気づいてしまったらしく、一瞬、目が合いました。
「っ!!」
っ、驚きと焦りで、思わず顔を逸らしてしまいました……。
黒い布で隠していた旦那様もかっこよかったのですが、素顔の旦那様は、今まで見たどんな旦那様よりも輝いて見えて。見たいのに、見ると目が潰れます。旦那様が輝きすぎて。
うぅ、私の旦那様は、なぜこんなにもお美しいのですか。
私は、またしても旦那様に溺れてしまいました。
・
・
・
・
・
・
・
「辿り着いたぞ、足を地面に付けられるか?」
「大丈夫です、ありがとうございます」
地上に辿り着くと、旦那様が優しく私を下ろしてくださいました。
最後まで気遣ってくださる旦那様は、私と目を合わせてくださいません。逸らされたままです……。
「旦那様」
「なんだ?」
「なぜ顔を逸らしてしまうのですか? 私は悲しいです」
「そ、んなこと、言われてもなぁ……」
私が問いかけても、旦那様はこちらを見てはくれません。こんなこと初めてです。
何を言えばいいのでしょうか。
今、旦那様が求めている言葉はなんでしょうか。
────いえ、求めてなどいないでしょう。
旦那様は、人に自分の欲しい物を求める方ではありません。
欲しい物は自分で手に入れる、そのようなお方です。
なら、私がお伝えする言葉は決まりました。
素直に、私の気持ちを伝えればいいのです。
「旦那様、こちらを向いてください」
背伸びをし旦那様の顔を両手で包み、こちらに向かせます。すると、旦那様は驚いた表情を浮かべ、私を見てきました。
「か、華鈴?」
困惑の声を出す旦那様。
やっと、私と目を合わせてくださいました。
何も言えずに見ていると数秒後、指の隙間から夜空のような藍色の瞳が覗きました。
「見た……、か?」
旦那様の瞳、初めて見ました。
すごくキラキラと輝き、綺麗で思わず見惚れてしまいます。
ですが、今は見惚れている場合ではありません。
「はい、見ました。あの……」
「そうか、悪いな。気持悪いもんを見せてしまった。綺麗なもんを見せたのだが、台無しだな……」
…………今まで顔を黒い布で隠していた理由は、それだったのですね。
顔半分を占めてしまっている、痛々しい火傷の跡。
一瞬しか見えなかったですがもう古く、何年も前に出来たようでした。
「…………旦那様、よく見せてください」
「っ、華鈴……」
旦那様の顔に手を伸ばし頬に手を添え、軽くこちらを向くように言うと、素直に手を離し向いてくださいました。
目の周りは黒く染まっており、今以上に治すことは難しそう。
おそらくですが、もう数十年も前に火傷をしてしまったのでしょう。
「華鈴、無理するな。気持ち悪いだろう」
「無理などしておりません。――――あの、痛みなどはありませんか? 古傷でも、天候によっては痛む時があると聞いたことがあります」
「いや、痛みはない」
ほっ、それなら良かったです。
痛みがないのなら、安心しました。
「…………華鈴?」
「はい、なんでしょうか?」
「いや、そんなにまじまじ見られると、気まずいんだが…………」
へ? あ、わ、私、無意識に旦那様を見つめていました!!
「す、すすす、すいません!!!!」
「――――あ、まっ、ちょ、暴れるのは危険だ!! 待て待て、お、落ち着け!!」
「っ!! すすす、すいません!!」
咄嗟に離れるため、旦那様の胸を思いっきり押してしまいました。
あ、危なかったです。
上空だったのをすっかり忘れておりました。
「あの、すいませっ―――」
顔を上げると、思ったより顔が近い?!
少しでも動けば、口がぶつかってしまいそう。
────心臓がバクバクと音を立て、波打っているのを感じます。
私の視界が、旦那様の綺麗な藍色の瞳により覆われます。
吸い込まれそうな瞳。
このまま見続けてしまうと、私はどうなってしまうのでしょうか。
このまま、吸い込まれてしまうのでしょうか。
そ、それはそれで、いいかもしれないです。
吸い込んでください。
「──華鈴、一度降りるぞ」
「あ、はい」
パッと、旦那様が顔を逸らしたため、藍色の瞳から開放されました。
でも、心臓はまだバクバクと音を立てています。
初めて見た旦那様の瞳、顔。
私は、今まで以上にドキドキしてしまって、どうにかなってしまいそうです!
ちらっと、旦那様の横顔を見ると、着地点を探しています。
ですが、視線に気づいてしまったらしく、一瞬、目が合いました。
「っ!!」
っ、驚きと焦りで、思わず顔を逸らしてしまいました……。
黒い布で隠していた旦那様もかっこよかったのですが、素顔の旦那様は、今まで見たどんな旦那様よりも輝いて見えて。見たいのに、見ると目が潰れます。旦那様が輝きすぎて。
うぅ、私の旦那様は、なぜこんなにもお美しいのですか。
私は、またしても旦那様に溺れてしまいました。
・
・
・
・
・
・
・
「辿り着いたぞ、足を地面に付けられるか?」
「大丈夫です、ありがとうございます」
地上に辿り着くと、旦那様が優しく私を下ろしてくださいました。
最後まで気遣ってくださる旦那様は、私と目を合わせてくださいません。逸らされたままです……。
「旦那様」
「なんだ?」
「なぜ顔を逸らしてしまうのですか? 私は悲しいです」
「そ、んなこと、言われてもなぁ……」
私が問いかけても、旦那様はこちらを見てはくれません。こんなこと初めてです。
何を言えばいいのでしょうか。
今、旦那様が求めている言葉はなんでしょうか。
────いえ、求めてなどいないでしょう。
旦那様は、人に自分の欲しい物を求める方ではありません。
欲しい物は自分で手に入れる、そのようなお方です。
なら、私がお伝えする言葉は決まりました。
素直に、私の気持ちを伝えればいいのです。
「旦那様、こちらを向いてください」
背伸びをし旦那様の顔を両手で包み、こちらに向かせます。すると、旦那様は驚いた表情を浮かべ、私を見てきました。
「か、華鈴?」
困惑の声を出す旦那様。
やっと、私と目を合わせてくださいました。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる