32 / 44
恨力
風
しおりを挟む
「ところで、今回は豪勢なメンバーで出発する事になってますが、相手は強者なんですか?」
美輝さんの長々と続く話を幡羅さんが強制的に遮断し、今はまっすぐ自然豊かで風が心地よい道をひたすら進んでいた。
「そうだな。もしかしたら恨呪が現れる可能性があるということだ。だから、あねっさんにも声をかけた」
「美輝さんの恨力はなんですか?」
美輝さんに話しかけるも、返答はない。
ま、まさか無視出来るるわけじゃないよね? 違うよね。私どんだけ嫌われているんだろう……。
「あねっさんのは教えても問題ないと思うぞ。条件だってこいつには関係ないものだろ」
「そうだな。京夜が言うなら答えよう」
苦笑いを浮かべていると、幡羅さんが助け舟というように問いかけてくれた。ありがとうございます……。これからは幡羅さんが居ないと会話ができないということですね理解しました、はぁ。
「私の恨力は”風操作”だ」
「え、それって、風を操るという事ですか?」
「そうだ」
聞いた感じだと、そこまで強い恨力には感じないな。でも、やっぱりそれも使いようなのか。
「お前、今あねっさんを馬鹿にしたか?」
「へっ? そ、そそそそ、そんなことあるわけないじゃないですか!! 妖裁級の片を馬鹿になんて私が出来るわけがない!! ただ、どんな感じで使うのかなっと思って」
ばかにしたわけではないけど、やっぱり幡羅さんって人の心読めるでしょ。いつもそんな感じのタイミングだもん。
「使い方は様々だ。だが、実際はこれを使った方が容易い。恨力を使うのは京夜と共に任務する時くらいだ」
「え、そうなんですか? それはまた何で」
教えてくれそうだった美輝さんの口を刀で押さえた幡羅さん。あぁ、身長的に届かないから刀を使ったんか。というか、なんで抑えたの?
「今日の戦闘で使うかもしれねぇから、それを見ろ」
「え、今教えてくれないんですか?」
「見た方が早い」
「えぇ……」
美輝さんを見るけど、何も言わなくなってしまった。うぅ、なんで幡羅さんには素直なのに……。
って、そういえば、なんで美輝さんは幡羅さんにここまで素直なんだろう。逆だったらなんとなくわかるけど。
「えっと、幡羅さんや美輝さんは妖殺隊に入ってどのくらいのなんですか?」
「ほう、今それを聞くのは勇気があるな、一回刀を刺していいか?」
「何でですか!? ただ妖殺隊に入ってどのくらいなのかを聞いただけなのに!?」
幡羅さんからの微かな殺気、何でこうもこの人は怒りっぽいのか。もう少し心を広く持ちましょうよ、怖いですって……。
「…………」
ん? 幡羅さんが黙るのはさっきの流れでなんとなく納得なんだけど、なんで美輝さんまで黙ってしまったのか。
あ、もしかしてそれだけ長く居るということかな。美輝さんは結構古株っぽいよなぁ。逆に幡羅さんは入ったばかりなんじゃないかな。いや、入ったばかりではないか。でも、古株でもない気がする……。
「……私は三年ぐらいだったはずだ」
「もうそんなに経つのか。なら、俺はもう十年以上は妖裁級に所属していることになるなぁ」
……………………ん? 逆では?
美輝さんの長々と続く話を幡羅さんが強制的に遮断し、今はまっすぐ自然豊かで風が心地よい道をひたすら進んでいた。
「そうだな。もしかしたら恨呪が現れる可能性があるということだ。だから、あねっさんにも声をかけた」
「美輝さんの恨力はなんですか?」
美輝さんに話しかけるも、返答はない。
ま、まさか無視出来るるわけじゃないよね? 違うよね。私どんだけ嫌われているんだろう……。
「あねっさんのは教えても問題ないと思うぞ。条件だってこいつには関係ないものだろ」
「そうだな。京夜が言うなら答えよう」
苦笑いを浮かべていると、幡羅さんが助け舟というように問いかけてくれた。ありがとうございます……。これからは幡羅さんが居ないと会話ができないということですね理解しました、はぁ。
「私の恨力は”風操作”だ」
「え、それって、風を操るという事ですか?」
「そうだ」
聞いた感じだと、そこまで強い恨力には感じないな。でも、やっぱりそれも使いようなのか。
「お前、今あねっさんを馬鹿にしたか?」
「へっ? そ、そそそそ、そんなことあるわけないじゃないですか!! 妖裁級の片を馬鹿になんて私が出来るわけがない!! ただ、どんな感じで使うのかなっと思って」
ばかにしたわけではないけど、やっぱり幡羅さんって人の心読めるでしょ。いつもそんな感じのタイミングだもん。
「使い方は様々だ。だが、実際はこれを使った方が容易い。恨力を使うのは京夜と共に任務する時くらいだ」
「え、そうなんですか? それはまた何で」
教えてくれそうだった美輝さんの口を刀で押さえた幡羅さん。あぁ、身長的に届かないから刀を使ったんか。というか、なんで抑えたの?
「今日の戦闘で使うかもしれねぇから、それを見ろ」
「え、今教えてくれないんですか?」
「見た方が早い」
「えぇ……」
美輝さんを見るけど、何も言わなくなってしまった。うぅ、なんで幡羅さんには素直なのに……。
って、そういえば、なんで美輝さんは幡羅さんにここまで素直なんだろう。逆だったらなんとなくわかるけど。
「えっと、幡羅さんや美輝さんは妖殺隊に入ってどのくらいのなんですか?」
「ほう、今それを聞くのは勇気があるな、一回刀を刺していいか?」
「何でですか!? ただ妖殺隊に入ってどのくらいなのかを聞いただけなのに!?」
幡羅さんからの微かな殺気、何でこうもこの人は怒りっぽいのか。もう少し心を広く持ちましょうよ、怖いですって……。
「…………」
ん? 幡羅さんが黙るのはさっきの流れでなんとなく納得なんだけど、なんで美輝さんまで黙ってしまったのか。
あ、もしかしてそれだけ長く居るということかな。美輝さんは結構古株っぽいよなぁ。逆に幡羅さんは入ったばかりなんじゃないかな。いや、入ったばかりではないか。でも、古株でもない気がする……。
「……私は三年ぐらいだったはずだ」
「もうそんなに経つのか。なら、俺はもう十年以上は妖裁級に所属していることになるなぁ」
……………………ん? 逆では?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる