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恨力
廃墟
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私が二人の答えを聞いて固まっていると、またしても幡羅さんの読心術が発動。
「ほぅ? 俺の方が妖裁級に入って日が浅いと思っていた……とかじゃねぇだろうなぁ??」
いやいや、なんで分かるんですか?!?! というかその顔をやめてください! 貴方の隣に立っている美輝さんでさえ顔を青くして体を震わせていますよ?!?
「ととととととととんでもございません!! そんな事この私が考えるわけないじゃないですか!! なので! その手にしている刀を一度離していただいても構いませんか??」
幡羅さんが腰に差している刀に手を添え少しだけ鞘から出し、綺麗に手入れされている銀色に輝いた刃をチラ見せしてきた。
脅しですよこれ、パワハラですパワハラ。
「………………ちっ」
カチャンと、幡羅さんは刀を鞘に戻し手を離してくれた。よ、良かった……。
もう一人の私なら斬られても大丈夫だけど、今の私は確実に死ぬと思う。うん、絶対に。
「って、美輝さん貫禄あるのに三年なんですか? てっきり幡羅さんよりながっ──こほん。幡羅さんと同じくらいかと思ってましたよ」
あ、危ない。またしても幡羅さんからの殺気が……。プライド高すぎませんかね。いいじゃないですか、どちらが先に入ったとか。この世は強さが全てですよ幡羅さん。貴方は強い。自信を持ってください。
「そうだな。京夜に色々学んだからだろうな」
「そうなんでっ──幡羅さんに?」
「あぁ。京夜は私の教育係だった。二番目の古株だからそうなったのだろう」
二番目の古株? まじか。いやいや、幡羅さん見た目と実力反比例しすぎですよ。実力に見た目が追いつかなかったのですね。
それは仕方の無いこっ──……
「いったぁぁぁぁぁあああああい!!!!!」
幡羅さんが我慢の限界というように私の脛を思いっきり蹴ってきました!!
この大自然に私の声がこだまし、情けない声が響き渡ってしまいました恥ずかしい。
※
「ここだな」
「夜までに見つけることは可能か?」
「怨配が感じにくいから分からん、少し待て」
幡羅さんと美輝さんは目的の場所に辿り着いたらしく、私が涙目で足を引きずりながら歩いていることなど一切気にせず、作戦を立て始めてしまう。
あの、まだ痛むのですが。どんだけ強く蹴り飛ばしたんですか幡羅さん。これ、絶対に腫れてますよ。いじめです。
立っているのも痛いよ。二人が立ち止まっている間に回復させよう。しゃがんでも痛いんだけどさ。
…………えっと、ここってどこだ? 廃墟? ここに今回の恨呪がいるかもしれないのか。
……これはまた。ホラー演出が光っていますね。
今は夕暮れ。沈みかけている太陽が今にも崩れそうな建物をオレンジ色に照らしている。
コンクリートで出来たその建物はものすごく大きく、三階建ての建物。
両開きの大きな窓が一階に付けられ、中心には窓同様、両開き仕様のドアが固く閉じられている。
周りは木々に囲まれて、風が吹く度自然の音が鼓膜を揺らす。
建物は随分古いらしく壁面はボロボロに崩れ、苔まで生えてるな。
壁に沢山穴も空いているし、少しの衝撃で直ぐに壊れてしまいそう。
百物語などの怖い話なんかによく出てきそうな立派な廃墟。さすがに、怖いなぁ。恨呪や怨呪以外の摩訶不思議な生物が出てきそう。
ん? あ、二人が先に行ってしまった。まさか、なんの躊躇もないなんて……。
「ちょっ、待ってくださいよ!!」
建物に近づき両開きの扉に幡羅さんが手を伸ばした。
近くで見ると以外に大きい。一般男性が余裕で通れる大きさだ。今の私達三人なら余裕で中に入ることができるだろうなぁ。こういう時は身長小さい方がいいよね。
中は外と同じくらいボロボロで、壁の穴から夕焼けが入り込みオレンジ色の光が反射している。
手入れされているわけじゃないから結構埃っぽい。咳き込むし、なんか嫌だなぁ。でも、宙に舞っている埃は光に照らされ輝いている。これはこれで幻想的だ。こんな状況じゃなかったら見ていきたい。
床は所々のコンクリートが剥がれて、地面や雑草が見えている状態。
壁際には古く埃まみれの箪笥やテーブルが佇み、中を開けると錆び付いた食器が置かれていた。
どうやらここは元豪邸で、人が住んでいた大きな建物だったんだろうなぁ。
いいなぁ、一度でいいから御屋敷とか豪邸に寝泊まりしてみたい。
妖雲堂は寮だから違うし。夢のまた夢なんだけどさ。
「あの、幡羅さん。本当にここなんでしょうか。全く怨配を感じないのですが」
「こんな微弱の怨配は感じ取るだけでも難しい。相当の手練が混じってやがるな」
え。その言い方だと、幡羅さんは感じ取っているということになりませんかね。私は全くわかりませんが……。
美輝さんの方を見ると、険しい顔を浮かべ地面や壁を触って何かを確認してる。
あれ、私は何をすればいいんだろうか。怨配を感じ取ることが出来ないから、物理的に動いて見つけるしかないんだけど。でも、この二人から離れるのはなんとなく怖い。
いや、でも、このまま何の役にも立たないで終わるのもなんか癪なんだよなぁ……。
よし、頑張れ私!!
周りを見回し、二人が調べていない所を見よう──ん? 箪笥の後ろに扉みたいなものが隠されているのを発見!!
近付いてみると、片方の扉が壊れ隣の部屋を見ることが出来た。
箪笥と壁の間には、細い人や小さな人が通れそうな隙間がある。私なら入れそうだ。
ちょっと確認して戻ってくればいいかな。どうせ、何も無いと思うし。
「よいしょっと……。うっ、埃臭い……。って、あれ。あぁ………。刀がぁ~」
体をなんとかねじ込ませ扉まで行こうとするけど、刀が引っかかるぅ。
一度体を戻し、刀を手に持ちながら再挑戦。今回は、扉を潜ることに成功。やったぜ。
「ふぅ。蜘蛛の巣とかなくてよかった──ひっ?! 足音?!」
え、だれ? というか、ここは隣の部屋だよね。その奥にまたしても扉? なんで開いているんだろう。
見たところ壊れている訳でもないし、しっかりと取り付けられてる。
「独りでに、揺れてない?」
風、吹いてないよね? なんで、あの扉。風も吹いていないのにユラユラと揺れているの?
「ほぅ? 俺の方が妖裁級に入って日が浅いと思っていた……とかじゃねぇだろうなぁ??」
いやいや、なんで分かるんですか?!?! というかその顔をやめてください! 貴方の隣に立っている美輝さんでさえ顔を青くして体を震わせていますよ?!?
「ととととととととんでもございません!! そんな事この私が考えるわけないじゃないですか!! なので! その手にしている刀を一度離していただいても構いませんか??」
幡羅さんが腰に差している刀に手を添え少しだけ鞘から出し、綺麗に手入れされている銀色に輝いた刃をチラ見せしてきた。
脅しですよこれ、パワハラですパワハラ。
「………………ちっ」
カチャンと、幡羅さんは刀を鞘に戻し手を離してくれた。よ、良かった……。
もう一人の私なら斬られても大丈夫だけど、今の私は確実に死ぬと思う。うん、絶対に。
「って、美輝さん貫禄あるのに三年なんですか? てっきり幡羅さんよりながっ──こほん。幡羅さんと同じくらいかと思ってましたよ」
あ、危ない。またしても幡羅さんからの殺気が……。プライド高すぎませんかね。いいじゃないですか、どちらが先に入ったとか。この世は強さが全てですよ幡羅さん。貴方は強い。自信を持ってください。
「そうだな。京夜に色々学んだからだろうな」
「そうなんでっ──幡羅さんに?」
「あぁ。京夜は私の教育係だった。二番目の古株だからそうなったのだろう」
二番目の古株? まじか。いやいや、幡羅さん見た目と実力反比例しすぎですよ。実力に見た目が追いつかなかったのですね。
それは仕方の無いこっ──……
「いったぁぁぁぁぁあああああい!!!!!」
幡羅さんが我慢の限界というように私の脛を思いっきり蹴ってきました!!
この大自然に私の声がこだまし、情けない声が響き渡ってしまいました恥ずかしい。
※
「ここだな」
「夜までに見つけることは可能か?」
「怨配が感じにくいから分からん、少し待て」
幡羅さんと美輝さんは目的の場所に辿り着いたらしく、私が涙目で足を引きずりながら歩いていることなど一切気にせず、作戦を立て始めてしまう。
あの、まだ痛むのですが。どんだけ強く蹴り飛ばしたんですか幡羅さん。これ、絶対に腫れてますよ。いじめです。
立っているのも痛いよ。二人が立ち止まっている間に回復させよう。しゃがんでも痛いんだけどさ。
…………えっと、ここってどこだ? 廃墟? ここに今回の恨呪がいるかもしれないのか。
……これはまた。ホラー演出が光っていますね。
今は夕暮れ。沈みかけている太陽が今にも崩れそうな建物をオレンジ色に照らしている。
コンクリートで出来たその建物はものすごく大きく、三階建ての建物。
両開きの大きな窓が一階に付けられ、中心には窓同様、両開き仕様のドアが固く閉じられている。
周りは木々に囲まれて、風が吹く度自然の音が鼓膜を揺らす。
建物は随分古いらしく壁面はボロボロに崩れ、苔まで生えてるな。
壁に沢山穴も空いているし、少しの衝撃で直ぐに壊れてしまいそう。
百物語などの怖い話なんかによく出てきそうな立派な廃墟。さすがに、怖いなぁ。恨呪や怨呪以外の摩訶不思議な生物が出てきそう。
ん? あ、二人が先に行ってしまった。まさか、なんの躊躇もないなんて……。
「ちょっ、待ってくださいよ!!」
建物に近づき両開きの扉に幡羅さんが手を伸ばした。
近くで見ると以外に大きい。一般男性が余裕で通れる大きさだ。今の私達三人なら余裕で中に入ることができるだろうなぁ。こういう時は身長小さい方がいいよね。
中は外と同じくらいボロボロで、壁の穴から夕焼けが入り込みオレンジ色の光が反射している。
手入れされているわけじゃないから結構埃っぽい。咳き込むし、なんか嫌だなぁ。でも、宙に舞っている埃は光に照らされ輝いている。これはこれで幻想的だ。こんな状況じゃなかったら見ていきたい。
床は所々のコンクリートが剥がれて、地面や雑草が見えている状態。
壁際には古く埃まみれの箪笥やテーブルが佇み、中を開けると錆び付いた食器が置かれていた。
どうやらここは元豪邸で、人が住んでいた大きな建物だったんだろうなぁ。
いいなぁ、一度でいいから御屋敷とか豪邸に寝泊まりしてみたい。
妖雲堂は寮だから違うし。夢のまた夢なんだけどさ。
「あの、幡羅さん。本当にここなんでしょうか。全く怨配を感じないのですが」
「こんな微弱の怨配は感じ取るだけでも難しい。相当の手練が混じってやがるな」
え。その言い方だと、幡羅さんは感じ取っているということになりませんかね。私は全くわかりませんが……。
美輝さんの方を見ると、険しい顔を浮かべ地面や壁を触って何かを確認してる。
あれ、私は何をすればいいんだろうか。怨配を感じ取ることが出来ないから、物理的に動いて見つけるしかないんだけど。でも、この二人から離れるのはなんとなく怖い。
いや、でも、このまま何の役にも立たないで終わるのもなんか癪なんだよなぁ……。
よし、頑張れ私!!
周りを見回し、二人が調べていない所を見よう──ん? 箪笥の後ろに扉みたいなものが隠されているのを発見!!
近付いてみると、片方の扉が壊れ隣の部屋を見ることが出来た。
箪笥と壁の間には、細い人や小さな人が通れそうな隙間がある。私なら入れそうだ。
ちょっと確認して戻ってくればいいかな。どうせ、何も無いと思うし。
「よいしょっと……。うっ、埃臭い……。って、あれ。あぁ………。刀がぁ~」
体をなんとかねじ込ませ扉まで行こうとするけど、刀が引っかかるぅ。
一度体を戻し、刀を手に持ちながら再挑戦。今回は、扉を潜ることに成功。やったぜ。
「ふぅ。蜘蛛の巣とかなくてよかった──ひっ?! 足音?!」
え、だれ? というか、ここは隣の部屋だよね。その奥にまたしても扉? なんで開いているんだろう。
見たところ壊れている訳でもないし、しっかりと取り付けられてる。
「独りでに、揺れてない?」
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