憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫

桜桃-サクランボ-

文字の大きさ
119 / 246
呪吸の義

睡魔

しおりを挟む
 森の中にたたずむ七人の僧侶。片手に錫杖、頭には笠。首からは一から七の数字が刻まれている木製の丸い首飾り。

 俺達が自分達を見つけた事を察し、七人ミサキの先頭にいる一人が、錫杖の底を地面に何度もぶつけ始める。
 テンポよく、シャン、シャンと音が鳴り気持ちが焦る。この間、何か先手を打たなければならないのではないか。
 いや、何も考えずに無暗に動けば、裏を取られてしまう可能性がある。それだけは避けなければならない。

 今の俺達は今までのトラブルでかなり疲弊している。俺は先程の儀式で睡魔がマックス、油断すればすぐに夢の中に入ってしまいそうな状態。琴平や紅音達も夜しっかり眠れているのかわからないし、疲れているのは確実。
 式神を出すにも、今の状況で適した知っている式神は百目だ。刀で相手を切り、手負いになった七人ミサキを封印。だが、前回の出来事がある。正直、今の俺は百目を出し、七人ミサキを封印出来る自信はない。

 どうする…………。

「っ、動き出した!」
『紅音!! 夏楓!!』

 七人ミサキが錫杖を掲げ、俺達に向かって歩き始めた。その時、何故か闇命君が何故か後ろにいた二人の名前を呼ぶ。

 え、何で二人の名前を? ここは琴平か俺達でやんないと危ないよ!?

「「了解、主の仰せのままに」」

 二人が闇命君の声に反応し、すぐさま俺達の前に。七人ミサキに突っ込んでしまった。すぐに気づいた七人ミサキは二人に襲い掛かる。

「琴平!!!」
「任せろ。『氷柱女房しがまにょうぼう 赤く燃える灯に、光り輝く氷の刃を与えよ。急急如律令』」

 紅音が琴平の名を呼ぶと、答えるように慣れた手つきで札を取り出し、氷柱女房しがまにょうぼうを繰り出した。

 琴平の前に現れた氷柱女房しがまにょうぼうは、紅音に向けて冷たい息を吐き出す。吹き出された冷気は紅音の右手に集まり、細長く何かを作りだした。

「あれって…………薙刀?」

 紅音の手には、氷の薙刀が握られる。

「一瞬で終わらせる」
「紅音、私もいる事をお忘れなく」

 紅音は闘志を燃やし、夏楓は冷ややかな笑みを浮かべこちらに向かってくる七人ミサキに走り出す。

 何か俺もしたいけれど、体が言う事を効いてくれない。目が霞み、体がだるい。でも、なにか、手を貸さないと…………。

『あんたは空の札を準備して』
「え、空…………? もしかして…………」
『そのもしかしてだよ。七人ミサキを僕の式神にする』

 ……………………マジかよ。
 いや、まさか七人ミサキを式神なんて。誰かやったことあるのか? マジで見た事ないぞ。こんなのありか? 
 いや、件を式神にしたんだ。七人ミサキを式神にするのもアリなのか。

 闇命君が式神に出来るというのなら、俺は従うしかない。空の式神を出し、いつでも 悪業罰示神をできるように準備。

 紅音達の方を見ると――――え。

 七人ミサキに向かって行った二人の動きが、もはや俺が今まで見てきたどんな動きよりも俊敏で、キレていて。おそらく、今の二人に勝てる人はいないだろうという動きを見せていた。

 まず、紅音が先に七人ミサキの先頭に食って掛かった。

 手に持っていた氷の薙刀を両手で持ち、目の前まで移動。錫杖を振りかざしてきた七人ミサキの攻撃を、膝を折り回避した。
 薙刀の柄部分で足払いをし、動きが制限。刹那、立ち上がり左肩から右脇腹まで斬り裂いた。

 黒い靄が噴射、一人の七人ミサキが倒れた。同時に、夏楓が二人目に手を伸ばす。

 錫杖を振り上げる手前、右の手首を掴みひねりあげた。妖といえど痛みはあり、ひるんだ隙に懐へと入り込む。そのまま、掴んだ手首に力を込め、投げ捨てる。

 二人の動きを目の当たりにし、残りの五人は一斉に二人へと飛び掛かる。だが、それを待っていたかのように紅音達は動き出した。

 二人は目を合わせ、お互いの動きを確認。紅音は右、夏楓は左に走り次々と倒してしまった。

 投げられたり、斬られた七人ミサキは地面に倒れ苦し気に震える体で立ち上がろうとする。そんな七人を、紅音達は蔑むような、冷ややかな目で見下ろしていた。

 お、女って、恐ろしい…………。

『何やってんの!!! 今だよ!!』
「あ、う、うん!!」

 七人ミサキが動き始める前に式神にしないと!!

「『現世を放浪するモノ、名を七人ミサキ。我を主とし、我の下僕となり、屈服せよ。汝の名のもとに──急急如律令』」

 札を指に挟め、法力を注ぎ込む。すると、俺の言葉に反応するように光り出した。 その光は徐々にまばゆさが増し、七人ミサキを包み込もうと広がり始める。

 件の時と同じだ。徐々に七人ミサキは光に包まれ、姿を晦ませる。件の時のようにこのまま吸い込むことが出来れば、今回は終わりだ。

 集中を切らさないよう、目を閉じ余計な情報を遮断。
 件より力が強いのか、うまく札に吸い込むことが出来ない。やばい、早くしないと闇命君の身体が持たない。

 いや、焦るな。焦れば、うまくいくものもいかない。大丈夫、出来る。集中すれば、出来る。

 さっきまで吸い込まれないように悶えていた七人ミサキだったが、俺の力が増し、徐々に札に吸い込まれていく。

 七人ミサキを包み込んだ光は、俺が持っているお札に吸い込まれ。重く、苦しい声で最後の抵抗。だが、意味はなく、無事に七人ミサキを札に吸い込むことが出来た。

「はぁ、はぁ…………」

 出来た、これで――……

「っ、優夏!!!!」

 琴平が叫ぶように俺の名前を呼んだが、意識を保つことが出来なかった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...