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最終決戦
記憶と発見
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「謝罪はいらないんだけどなぁ。君からの謝罪は何度も聞いているし、もう飽き飽きたよ。行動で示してよ、俺への忠誠心をさ」
『…………』
肩を落としながら言っている静稀に、絡新婦は顔を俯かせ何も言わない。黒い髪の隙間から見える口元には悔しさが滲み出ていた。
歯を食いしばり、なにかに耐えるような絡新婦。夏楓はそんな彼女をただ見つめるだけで、何も言わない。
「何? 何か言いたげみたいだけど、俺に何か言いたいの?」
『…………何もありません。申し訳ありません』
「だーかーらー、謝罪はいらないの。ほしいのは、忠誠心。君は俺を心から慕い、従い。完全なる俺の奴隷になる事。それが君達式神の存在する意味さ」
静樹から放たれた言葉に、紅音と夏楓は何も言えない。式神である氷柱女房も、目を開き驚いている。
「それじゃ、君には大事な命令をするよ。今拘束している女性を、殺してもらおうかな」
「っ!」
静樹から放たれた言葉は先程から予想外過ぎて、反応できている人がいない。口をあんぐりとさせ、ただただ彼を見る事しか出来なかった。
絡新婦は、もう何も言わず言われたことをしようと地面に転がっている夏楓へと近づいていく。
すぐに気を取り直し、夏楓は逃げようと地面を這うが意味はなく、簡単に近付かれてしまった。
「あの、貴方は本当に、こんなことがしたいの? あの人の式神で、貴方は幸せなの!?」
『主以外の質問に答えることは出来ないわ。悪いけれど、今ここで死んでもらいますよ』
糸が繋がっている右手を動かし、締め上げる。夏楓は苦し気な声を出し、咳き込んでしまった。
「グッ、ゴホッ、ゴホッ!!」
『抗わない方がいいですよ、今より苦しむことになる』
キュッ!
「ガッ! ハッ…………」
「やめろ!! 夏楓に酷い事をするな!!」
紅音が叫ぶと、絡新婦は一度手をピタッと止めた。そのまま何も言わず振り返り、紅音を見る。
「っ!!」
視られた紅音は一瞬にして、彼女の黒く闇に染まった瞳から目を離すことが出来なくなった。
『この人が終われば、次は貴方の番、首を長くして待っていて』
言うと、また咳き込んでいる夏楓へと視線を戻す。再度締め上げようと右手を動かした直後、絡新婦の足元に白い霧のようなものが漂い始めた。
足元に目を向ける絡新婦、静稀も不思議に思い、辺りを白く染め始めた霧を見回し始めた。
「これは、なんだ」
静樹の困惑の声と同時に、夏楓は震える体を起こし氷柱女房を見た。
「…………あ、紅音。氷柱女房に、ほ、うりきを送り込むのです。貴方の持っている札に…………」
夏楓のか細い声に、紅音はハッとなり手に持っていたお札を見る。体を動かすことは出来ないが、法力を送り込むことは出来る。だが、紅音は今まで法術というものを使ったことはない。
今回氷柱女房を出す事が出来たのは、琴葉があらかじめ法力を蓄えていたから。
今以上の力を使うとなれば、あらかじめ送り込んでいた琴葉の法力だけでは到底足りない。氷柱女房を出した術者、つまり紅音の法力も必要になる。
紅音はお札を見つめ、法力を送り込もうとするが、やり方すらよくわからないため、上手く出来ない。どうすればいいのか、どのように意識すればいいのか。何もわからない紅音にとって、法力を注ぎ込むことだけでも無理難題。
歯を食いしばり、何もできない自分に悲観する紅音。夏楓もどうすればいいのかわからず、口を閉ざしてしまった。
ここに琴平が居れば、また違ったかもしれない。少なからず、今のような、絶体絶命にはなっていないはず。
二人は、歯を食いしばるしか出来ない。
『紅音さん、法力は精神力と大きな差はありません。一技之長を扱うような気持ちで、注いでみてください』
氷柱女房から聞こえた声に驚き、紅音は目を大きく見開いた。周りを見るも、誰も氷柱女房の声に対しての反応を見せない。
氷柱女房が紅音にしか聞こえないように、脳へと直接呼びかけていた。
驚いている紅音に、もう一度声をかけ真っすぐな瞳を向けた。
『紅音さん、貴方は強い。確かに、法力の扱い方には慣れておりません。ですが、貴方なら大丈夫。必ずできますよ。今までの出来事を思い出してみてください。そこに必ず、貴方が必要とする情報があります』
諭すように言う氷柱女房に、紅音は直ぐに答える事が出来ず口を閉ざし続けた。だが、すぐにお札を握っている手に力が込められた。
すぐに顔を上げ、氷柱女房に向かって大きく頷く。
紅音の覚悟を目にした氷柱女房は、安心したように微笑み、夏楓へと目を向けた。
今はまだ体を強く絞められているだけだが、今以上に締め上げられてしまえば、彼女の身体は簡単に折れてしまう。時間はない。
「すぅ、はぁ」
紅音は大きく息を吸い、吐いた。目を閉じ、今までの記憶を蘇らせる。
今まで、闇命と過ごしてきた日々、今まであった出来事。日常風景なども、今の紅音の頭の中に思い浮かぶ。そんな映像の中には、必ず琴平がいる。
二人で笑ったり、苦しんだり。どんな出来事も、琴平と共に乗り越えてきた記憶が今、紅音の頭に蘇る。
そんな記憶の中、一つ、気になる物を発見。すぐに鮮明に思い出せるように集中した。
その記憶は、琴平が闇命の父親である煌命に、修行を付けてもらっている映像だった。
『…………』
肩を落としながら言っている静稀に、絡新婦は顔を俯かせ何も言わない。黒い髪の隙間から見える口元には悔しさが滲み出ていた。
歯を食いしばり、なにかに耐えるような絡新婦。夏楓はそんな彼女をただ見つめるだけで、何も言わない。
「何? 何か言いたげみたいだけど、俺に何か言いたいの?」
『…………何もありません。申し訳ありません』
「だーかーらー、謝罪はいらないの。ほしいのは、忠誠心。君は俺を心から慕い、従い。完全なる俺の奴隷になる事。それが君達式神の存在する意味さ」
静樹から放たれた言葉に、紅音と夏楓は何も言えない。式神である氷柱女房も、目を開き驚いている。
「それじゃ、君には大事な命令をするよ。今拘束している女性を、殺してもらおうかな」
「っ!」
静樹から放たれた言葉は先程から予想外過ぎて、反応できている人がいない。口をあんぐりとさせ、ただただ彼を見る事しか出来なかった。
絡新婦は、もう何も言わず言われたことをしようと地面に転がっている夏楓へと近づいていく。
すぐに気を取り直し、夏楓は逃げようと地面を這うが意味はなく、簡単に近付かれてしまった。
「あの、貴方は本当に、こんなことがしたいの? あの人の式神で、貴方は幸せなの!?」
『主以外の質問に答えることは出来ないわ。悪いけれど、今ここで死んでもらいますよ』
糸が繋がっている右手を動かし、締め上げる。夏楓は苦し気な声を出し、咳き込んでしまった。
「グッ、ゴホッ、ゴホッ!!」
『抗わない方がいいですよ、今より苦しむことになる』
キュッ!
「ガッ! ハッ…………」
「やめろ!! 夏楓に酷い事をするな!!」
紅音が叫ぶと、絡新婦は一度手をピタッと止めた。そのまま何も言わず振り返り、紅音を見る。
「っ!!」
視られた紅音は一瞬にして、彼女の黒く闇に染まった瞳から目を離すことが出来なくなった。
『この人が終われば、次は貴方の番、首を長くして待っていて』
言うと、また咳き込んでいる夏楓へと視線を戻す。再度締め上げようと右手を動かした直後、絡新婦の足元に白い霧のようなものが漂い始めた。
足元に目を向ける絡新婦、静稀も不思議に思い、辺りを白く染め始めた霧を見回し始めた。
「これは、なんだ」
静樹の困惑の声と同時に、夏楓は震える体を起こし氷柱女房を見た。
「…………あ、紅音。氷柱女房に、ほ、うりきを送り込むのです。貴方の持っている札に…………」
夏楓のか細い声に、紅音はハッとなり手に持っていたお札を見る。体を動かすことは出来ないが、法力を送り込むことは出来る。だが、紅音は今まで法術というものを使ったことはない。
今回氷柱女房を出す事が出来たのは、琴葉があらかじめ法力を蓄えていたから。
今以上の力を使うとなれば、あらかじめ送り込んでいた琴葉の法力だけでは到底足りない。氷柱女房を出した術者、つまり紅音の法力も必要になる。
紅音はお札を見つめ、法力を送り込もうとするが、やり方すらよくわからないため、上手く出来ない。どうすればいいのか、どのように意識すればいいのか。何もわからない紅音にとって、法力を注ぎ込むことだけでも無理難題。
歯を食いしばり、何もできない自分に悲観する紅音。夏楓もどうすればいいのかわからず、口を閉ざしてしまった。
ここに琴平が居れば、また違ったかもしれない。少なからず、今のような、絶体絶命にはなっていないはず。
二人は、歯を食いしばるしか出来ない。
『紅音さん、法力は精神力と大きな差はありません。一技之長を扱うような気持ちで、注いでみてください』
氷柱女房から聞こえた声に驚き、紅音は目を大きく見開いた。周りを見るも、誰も氷柱女房の声に対しての反応を見せない。
氷柱女房が紅音にしか聞こえないように、脳へと直接呼びかけていた。
驚いている紅音に、もう一度声をかけ真っすぐな瞳を向けた。
『紅音さん、貴方は強い。確かに、法力の扱い方には慣れておりません。ですが、貴方なら大丈夫。必ずできますよ。今までの出来事を思い出してみてください。そこに必ず、貴方が必要とする情報があります』
諭すように言う氷柱女房に、紅音は直ぐに答える事が出来ず口を閉ざし続けた。だが、すぐにお札を握っている手に力が込められた。
すぐに顔を上げ、氷柱女房に向かって大きく頷く。
紅音の覚悟を目にした氷柱女房は、安心したように微笑み、夏楓へと目を向けた。
今はまだ体を強く絞められているだけだが、今以上に締め上げられてしまえば、彼女の身体は簡単に折れてしまう。時間はない。
「すぅ、はぁ」
紅音は大きく息を吸い、吐いた。目を閉じ、今までの記憶を蘇らせる。
今まで、闇命と過ごしてきた日々、今まであった出来事。日常風景なども、今の紅音の頭の中に思い浮かぶ。そんな映像の中には、必ず琴平がいる。
二人で笑ったり、苦しんだり。どんな出来事も、琴平と共に乗り越えてきた記憶が今、紅音の頭に蘇る。
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