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架唯
「ずっと友達だから」
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「ん、あれ、ここどこ?」
奏恵は目を開けると、真っ白な空間に立たされていた。
なんの目印もなく、壁や床もどこにあるのか分からない。まるで空間の中心に浮いているように見える。
「えっと……、なんでこんな所に──」
周りを見回し難しい顔を浮かべる。何をすればいいのか考えるが、まずここがどこなのかがわからないため、むやみに動く事が出来ない。すると、何も無い空間からいきなり女性の声で名前を呼ばれた。
「奏恵」
名前を呼ぶ声はちょうど奏恵の真後ろから。バッと勢いよく振り向き、名前を呼んだ人の姿を確認する。
そこには、悲しげな表情を浮かべている架唯が立っていた。いや、膝から下が透けて見えないため正確には浮いている状態だ。
「架唯……」
いきなり死んだはずの友人が現れた事により、驚きと恐怖で奏恵は何も言葉が出ない。口元に手を持っていきわなわなと肩を震わせている。
「奏恵、私ずっと────」
「来ないで!!!!」
架唯が奏恵に手を伸ばすと、いきなり大きな声で拒否した。眉間に皺を寄せ目を見開いている。
頭が困惑しており、正常な判断が出来ていない。
「奏恵、ごめん。私、ずっと謝りたくて……」
奏恵へと伸ばした行き場の無い手を胸に持っていき、架唯はポツポツと話し出した。
「私、奏恵に思ってない事言っちゃって……。今思えば本当にくだらない事だと思うの」
架唯は顔を俯かせ声がどんどん小さくなる。
「私が奏恵の大事にしていた本のページを破っちゃって……。でも、その時は本当に申し訳ないと思って――……」
「そんなの、今はどうでもいいよ……」
架唯の言葉を最後まで聞かずに、怒りの籠った声が白い空間に響いた。
その声に、ゆっくりと顔を上げる架唯の目には涙が浮かんでいる。
「本なんてどうでもいいの。そんな事、今はどうでもいい」
「なら、何を……」
奏恵の言葉を架唯は理解できず、頭を悩ませる。目を泳がせ、口をパクパクと動かしていた。
「私はそれに怒っているんじゃないの」
怒りの籠った声。だが、それだけではなく悲しげで少し涙声になっている。
「私が怒っているのは、貴方が勝手に死んじゃった事よ!!」
涙声で、怒りに任せ叫ぶ。訴えるように叫び、涙など気にせず想いを伝える。
「どうして死ななければならなかったの!? 私は貴方に謝れていない!! 思ってもない事を言ってしまったのに!! 私が全部悪いのに!! それなのにどうして!!」
白い空間に悲痛の叫びが響き渡る。架唯はその声を聞き、なんて返そうか悩んでいる。何と声をかけるのが正解なのか、どのような行動が適切なのか。だが、このまま聞いているだけではだめだと思い、口を大きく開いた。
「貴方は何も悪くない!!」
奏恵の叫び声が鳴り響く中、被さるように架唯の叫びが響いた。
「私が本を破ってしまった。貴方はそれに怒り、私も引っ込みつかなくなってしまいその場から逃げ――――車に轢かれた。何も悪くない。奏恵は何も悪くないよ!!」
「違う!! 私があの時怒らなければ!! 許していればこんな事にはなっていなかった!! 私があの時に──」
肩を震わせ涙をこぼす奏恵に、小屋に行ったことを隠しながら架唯はまだ言葉を続ける。
「元はと言えば私が本を破いてしまったから。それは変わらない。そして、私が死んでしまった事実も変わらない」
架唯の落ち着いた言葉に何も言えず、奏恵は肩で息をしながら彼女は見ているだけ。
「私はこんな言い争いをしたくてここにいるんじゃない。私は謝りたかったの。本を破いてしまったこと。それとお願いしたかったの、私の事忘れないでって……」
自身の胸に手を持っていき不安げに奏恵を見る。その瞳は微かに、揺らいでいた。
その言葉を聞いた彼女は溢れ出てくる涙などお構い無しにその場から走り出し、架唯に抱きついた。
「ばっっっっかじゃないの!! 忘れられるわけ……、ないじゃんアホ!!」
ギュッと抱きしめる奏恵の腕は震えており、架唯はその言葉を聞いた瞬間、彼女の背中に手を回した。
「うん、うん!! ごめんね奏恵。ありがとう! 本当にありがとう!!!」
二人の謝罪と泣き声が白い空間にコダマする。全ての想いを吐き出した架唯の姿が、どんどん薄くなってきていた。
「か、架唯。体が……」
「多分、未練が無くなったから成仏するんじゃないかな」
「いっ、いやだ! 行かないで!! 私まだ架唯と一緒に──」
「大丈夫だよ。奏恵は一人じゃない。また、クラスの人と一緒に楽しく過ごして」
架唯は、奏恵の言葉を途中で遮り、優しく伝えた。
「私、多分見守る事は出来ないと思うけど、祈る事なら出来るから。ずっと、奏恵が楽しく過ごせるように祈ってるから。だから、もう泣かないで?」
奏恵から少し離れ、涙を指で拭き架唯は笑顔を向けた。その言葉に答えるように、奏恵も自分で涙をゴシゴシと拭った後、同じく笑顔を向けた。
「ずっと忘れないから」
「ずっと祈ってるから」
「「私達、ずっと友達だから」」
二人の誓いに反応するように、いきなり周りが光だし二人を包み込んだ。
『頂くぞ、お前の。この世での未練』
明人の言葉を最後に二人は目を瞑り、架唯はそのまま姿を消した。
「でも、やっぱり────」
奏恵は目を開けると、真っ白な空間に立たされていた。
なんの目印もなく、壁や床もどこにあるのか分からない。まるで空間の中心に浮いているように見える。
「えっと……、なんでこんな所に──」
周りを見回し難しい顔を浮かべる。何をすればいいのか考えるが、まずここがどこなのかがわからないため、むやみに動く事が出来ない。すると、何も無い空間からいきなり女性の声で名前を呼ばれた。
「奏恵」
名前を呼ぶ声はちょうど奏恵の真後ろから。バッと勢いよく振り向き、名前を呼んだ人の姿を確認する。
そこには、悲しげな表情を浮かべている架唯が立っていた。いや、膝から下が透けて見えないため正確には浮いている状態だ。
「架唯……」
いきなり死んだはずの友人が現れた事により、驚きと恐怖で奏恵は何も言葉が出ない。口元に手を持っていきわなわなと肩を震わせている。
「奏恵、私ずっと────」
「来ないで!!!!」
架唯が奏恵に手を伸ばすと、いきなり大きな声で拒否した。眉間に皺を寄せ目を見開いている。
頭が困惑しており、正常な判断が出来ていない。
「奏恵、ごめん。私、ずっと謝りたくて……」
奏恵へと伸ばした行き場の無い手を胸に持っていき、架唯はポツポツと話し出した。
「私、奏恵に思ってない事言っちゃって……。今思えば本当にくだらない事だと思うの」
架唯は顔を俯かせ声がどんどん小さくなる。
「私が奏恵の大事にしていた本のページを破っちゃって……。でも、その時は本当に申し訳ないと思って――……」
「そんなの、今はどうでもいいよ……」
架唯の言葉を最後まで聞かずに、怒りの籠った声が白い空間に響いた。
その声に、ゆっくりと顔を上げる架唯の目には涙が浮かんでいる。
「本なんてどうでもいいの。そんな事、今はどうでもいい」
「なら、何を……」
奏恵の言葉を架唯は理解できず、頭を悩ませる。目を泳がせ、口をパクパクと動かしていた。
「私はそれに怒っているんじゃないの」
怒りの籠った声。だが、それだけではなく悲しげで少し涙声になっている。
「私が怒っているのは、貴方が勝手に死んじゃった事よ!!」
涙声で、怒りに任せ叫ぶ。訴えるように叫び、涙など気にせず想いを伝える。
「どうして死ななければならなかったの!? 私は貴方に謝れていない!! 思ってもない事を言ってしまったのに!! 私が全部悪いのに!! それなのにどうして!!」
白い空間に悲痛の叫びが響き渡る。架唯はその声を聞き、なんて返そうか悩んでいる。何と声をかけるのが正解なのか、どのような行動が適切なのか。だが、このまま聞いているだけではだめだと思い、口を大きく開いた。
「貴方は何も悪くない!!」
奏恵の叫び声が鳴り響く中、被さるように架唯の叫びが響いた。
「私が本を破ってしまった。貴方はそれに怒り、私も引っ込みつかなくなってしまいその場から逃げ――――車に轢かれた。何も悪くない。奏恵は何も悪くないよ!!」
「違う!! 私があの時怒らなければ!! 許していればこんな事にはなっていなかった!! 私があの時に──」
肩を震わせ涙をこぼす奏恵に、小屋に行ったことを隠しながら架唯はまだ言葉を続ける。
「元はと言えば私が本を破いてしまったから。それは変わらない。そして、私が死んでしまった事実も変わらない」
架唯の落ち着いた言葉に何も言えず、奏恵は肩で息をしながら彼女は見ているだけ。
「私はこんな言い争いをしたくてここにいるんじゃない。私は謝りたかったの。本を破いてしまったこと。それとお願いしたかったの、私の事忘れないでって……」
自身の胸に手を持っていき不安げに奏恵を見る。その瞳は微かに、揺らいでいた。
その言葉を聞いた彼女は溢れ出てくる涙などお構い無しにその場から走り出し、架唯に抱きついた。
「ばっっっっかじゃないの!! 忘れられるわけ……、ないじゃんアホ!!」
ギュッと抱きしめる奏恵の腕は震えており、架唯はその言葉を聞いた瞬間、彼女の背中に手を回した。
「うん、うん!! ごめんね奏恵。ありがとう! 本当にありがとう!!!」
二人の謝罪と泣き声が白い空間にコダマする。全ての想いを吐き出した架唯の姿が、どんどん薄くなってきていた。
「か、架唯。体が……」
「多分、未練が無くなったから成仏するんじゃないかな」
「いっ、いやだ! 行かないで!! 私まだ架唯と一緒に──」
「大丈夫だよ。奏恵は一人じゃない。また、クラスの人と一緒に楽しく過ごして」
架唯は、奏恵の言葉を途中で遮り、優しく伝えた。
「私、多分見守る事は出来ないと思うけど、祈る事なら出来るから。ずっと、奏恵が楽しく過ごせるように祈ってるから。だから、もう泣かないで?」
奏恵から少し離れ、涙を指で拭き架唯は笑顔を向けた。その言葉に答えるように、奏恵も自分で涙をゴシゴシと拭った後、同じく笑顔を向けた。
「ずっと忘れないから」
「ずっと祈ってるから」
「「私達、ずっと友達だから」」
二人の誓いに反応するように、いきなり周りが光だし二人を包み込んだ。
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