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ベルゼ
「さぁ、人間様からの下克上の時間だ」
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「これで終わりだ」
ベルゼは瞬きする一瞬で音禰の目の前まで移動し、右手で音禰の頭を握りつぶそうと伸ばす。
「…………しぶとい人間だ」
ベルゼが伸ばした手は、何も掴めず行き場をなくす。目を細め、横を見た。
「おい、しっかりしやがれ。死にてぇのか」
「ご、ごめんなさい」
明人が音禰の肩を引き寄せ、後ろに下がりベルゼから距離を置いた。
「小賢しい」
「俺だからな」
明人の後ろに音禰を下げ、ベルゼを睨みつける。音禰は明人の肩越しに、ベルゼの近くに落ちてしまった弓を見た。取りに行くタイミングを計るように、彼女は明人とベルゼを交互に見る。
「おい、お前はここから動くな」
「え、でも…………」
「お前が動いたところで、今の状況は変えられねぇよ。弓は運悪くあいつの足元、格闘術を習得していないお前は自分を守事もできねぇだろ」
「そうかもしれないけど、それは相想も一緒じゃない」
「俺は慣れてる、問題ねぇよ」
「でも!!」
明人はベルゼの動きに警戒しつつ、音禰を説得しようとする。だが、彼女もここで引くわけにはいかないと首を縦に振らない。その事に、明人は困った様に眉を下げ後ろにいる音禰を見た。
「お前は、俺を信じてくれねぇのか?」
哀しく、今にも消えてしまいそうな声で、明人は問いかけた。その声と言葉に、音禰は言葉を詰まれせ俯く。
「そんな聞き方……ずるいよ…………」
「知ってる」
明人は薄く笑みを浮かべ、音禰の頭を撫でた。
「お前はここから動くなよ。絶対に」
今の言葉に返答はない。だが、もう動かなければベルゼが先行してしまう。そうなれば、明人達は四kr津ことに徹する事となり、何もで出来ない。
音禰の頭から手を離し、明人はベルゼに向かって歩き出す。なにも出来ないと悲観してしまった音禰は、近くに落ちていた空の小瓶に目が止まる。
「これって、私が最初。小瓶の中にあった想いの欠片を、悪魔にかけた時に使った小瓶だ」
少しだけ見下ろし見つめていると、何を思ったのか。眉を吊り上げ、音禰は小瓶を片手に立ち上がる。
足を肩幅に広げ、小瓶を持った手を振り上げた。
「っ」
「っ、!?」
ベルゼが瞬時に音禰の動きに反応し、明人も彼の目線に振り返った。
「お、音禰ぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!」
明人の声が反響し、響き渡る。それと同時に、音禰は明人に腕を引っ張られ地面に倒れ込んだ。
「っ、そう…………し…………?」
すぐに体を起こし、元居た場所を見ると。そこには、無数の黒い手によって、動きを封じ込められている、明人の姿。
両腕両足。頭、首、腰と。すべての関節などが封じ込められ、明人は顔を歪め歯を食いしばる。折れている腕も遠慮なく掴まれ、痛みが明人を襲っていた。
「愚かだな。その女くらい放っておけばいいものを」
ジャリ、ジャリと。足音を鳴らし、ベルゼは明人に近付いて行く。
音禰は体から力が抜け動けず、声すら出す事が出来ない。自分のせいで明人が捕らわれてしまった事に後悔の念が芽生え、それが彼女の身体を硬直させていた。
「女を庇ったのは、失敗だったな」
「うるせぇよ」
楽し気に明人を見るベルゼ。影を操作し、明人の首を掴んでいた手を離せる。息苦しさから開放されたのもつかの間、ベルゼが両手で明人の首を絞め始めた。
「がっ」
「相想!!」
音禰が震える体を無理やり立たせ、転びながらも明人に走り寄ろうとする。だが、二本の手が音禰の両足を掴み転ばせた。その間も、ベルゼが明人の首を絞め、口角を上げる。
「残念だったな人間よ!! お主は確かに厄介だったが、やはりただの人間。殺すなど容易い。今すぐここで死んでもらうぞ!!」
ベルゼは手に力を込め首の骨を折ろうした。ミシミシという音がなり、明人は必死に手を離させようと藻掻くが、体が無数の黒い手に掴まれているため身動きが取れず何も出来ない。
明人の顔が徐々に青くなり、意識が飛びそうになっている。音禰は足を掴んでいる手を無理やり離させようとするがびくともしない。
「終わりだ、つまらなくはなかったぞ」
「相想ぃぃぃいいいい!!!!!」
音禰が喉の裂けそうな叫び声をあげ手を伸ばすのと同時に、ベルゼが明人の首を掴み力を強めた。
──────ドゴンッ!!!
「っ、なんだ」
何かがぶつかり崩れたような音が洞窟の奥から聞こえた。それと同時に土埃が舞い、ベルゼは思わず手を離す。明人は力が入らず項垂れた。
「ゴホッゴホッゲホッ……たくっ、遅せぇよ。この、のろま」
ベルゼにも聞こえないほど小さな声で呟く。そんな明人の口元はなぜか上がっており、笑みが浮かんでいた。
音が聞こえた最奥から、コツッ……コツッ……という。人が歩く音が静かなった洞窟に響く。
「なんだ、結構ぎりぎりじゃねぇか。もう少し遅かったらもしかすっとやばかったか?」
そこにはカクリを脇に抱え、怒りの炎を目に宿した真陽留がベルゼを睨みながら立っていた。
「いないと思ったら……。今までどこに居た、魔蛭よ」
「お前みたいな悪魔に言う義理はない。お前は僕達が全力で殺してやる!!!」
顔を赤くし、ベルゼに向かって怒鳴り散らす。だが、そんな怒りの声など彼にとっては全く興味のないもの。何か喚いているなぐらいの感覚だった。
つまらないと言うように目を細め、真陽留の方を見続ける。
「もう貴様は要らぬ。使えんガラクタが勝手に反発するでない」
「確かに僕は使えないガラクタかもしれない。でも、ガラクタはガラクタなりに役に立ちたいと思うんだよ。人のため、人の大事な物の為に、動きたいと思うんだ」
真陽留は脇に抱えているカクリを一目見下ろしながら言い、明人の方へと歩き出す。
「こいつ、まだ気絶してるが息はある。可能性はゼロじゃねぇよ」
「分かっとるわ」
明人は何とか掴まれている手から逃れようと動くが、無駄だった。真陽留はそんな姿の彼を見て立ち止まった。冷静に周りを見て、状況を把握しする。すると、ベルゼから少しだけ距離が離れている音禰を見つけた。
「音禰」
「真陽留……」
ベルゼから目を逸らし、音禰へと駆け寄りカクリを彼女の近くに優しく下ろした。
「少し、預かっててくれ」
優しく微笑み、真陽留は再度ベルゼを見た。肩幅に足を広げたかと思うと、右手を強く握り、肘を後ろに下げる。代わりに左手を前に出し、左足を持ち上げた。
「げっ!」
明人は何が起きるのかを察し、苦虫をつぶしたような表情になる。ベルゼは何をしようとしているのか察する事が出来ず、眉を顰め見ているのみ。
「明人、歯を食いしばれよ!!!」
力の込められた言葉と共に、ダンッと地面を踏み、引いた右手を思いっきり前へと突き出した。すると、前方に人を飛ばせるほどの勢いはある突風が吹き荒れた。
「何をっ――――」
ベルゼはもろに食らい立っている事が出来ず後方へと跳んでしまった。明人は衝撃に備え目を閉じ、顔を逸らす。黒い手はベルゼが吹っ飛ばされた事により明人を掴む力が緩まり、その隙に体を捻り抜け出した。
地面に転がり、頭を支える。折れている腕が痛く、起き上がる際少しでも衝撃が行かないように気を付けた。
「大丈夫か」
「大丈夫に見えるのなら、お前の目は節穴だな。今更眼科に行ったところで意味もなさそうだ。お前の視力は終わったな、お疲れさん」
「助けてもらっといてその言い方かよ…………」
「お前が遅いからこんな事になったんだ。自分を棚に上げるな」
「…………スイマセンデシタ」
もうキリがないと思い、真陽留は項垂れ謝罪する。明人はそんな彼の様子など見えていないかのように、普段と変わらない口調で問いかけた。
「少しの時間、任せていいんだな?」
「っ、あぁ、問題ない。あいつは、僕がやらなければならない」
真陽留は憤怒の炎を瞳に宿し、壁に背中を預けているベルゼへと近付く。
「驚いたな。まさかこんな力を持っていたとは。だが、それでも貴様では我には叶わん。死ぬだけだ」
「死ぬのはお前だ。ベルゼ」
その場で軽く跳んだり、手首や足首を曲げたりして。真陽留はいつでも行けるように準備する。
「さぁ、人間様からの下克上の時間だ」
真陽留は決意を表すように宣言すると、ベルゼへと向かって走り出した。
ベルゼは瞬きする一瞬で音禰の目の前まで移動し、右手で音禰の頭を握りつぶそうと伸ばす。
「…………しぶとい人間だ」
ベルゼが伸ばした手は、何も掴めず行き場をなくす。目を細め、横を見た。
「おい、しっかりしやがれ。死にてぇのか」
「ご、ごめんなさい」
明人が音禰の肩を引き寄せ、後ろに下がりベルゼから距離を置いた。
「小賢しい」
「俺だからな」
明人の後ろに音禰を下げ、ベルゼを睨みつける。音禰は明人の肩越しに、ベルゼの近くに落ちてしまった弓を見た。取りに行くタイミングを計るように、彼女は明人とベルゼを交互に見る。
「おい、お前はここから動くな」
「え、でも…………」
「お前が動いたところで、今の状況は変えられねぇよ。弓は運悪くあいつの足元、格闘術を習得していないお前は自分を守事もできねぇだろ」
「そうかもしれないけど、それは相想も一緒じゃない」
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「でも!!」
明人はベルゼの動きに警戒しつつ、音禰を説得しようとする。だが、彼女もここで引くわけにはいかないと首を縦に振らない。その事に、明人は困った様に眉を下げ後ろにいる音禰を見た。
「お前は、俺を信じてくれねぇのか?」
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「そんな聞き方……ずるいよ…………」
「知ってる」
明人は薄く笑みを浮かべ、音禰の頭を撫でた。
「お前はここから動くなよ。絶対に」
今の言葉に返答はない。だが、もう動かなければベルゼが先行してしまう。そうなれば、明人達は四kr津ことに徹する事となり、何もで出来ない。
音禰の頭から手を離し、明人はベルゼに向かって歩き出す。なにも出来ないと悲観してしまった音禰は、近くに落ちていた空の小瓶に目が止まる。
「これって、私が最初。小瓶の中にあった想いの欠片を、悪魔にかけた時に使った小瓶だ」
少しだけ見下ろし見つめていると、何を思ったのか。眉を吊り上げ、音禰は小瓶を片手に立ち上がる。
足を肩幅に広げ、小瓶を持った手を振り上げた。
「っ」
「っ、!?」
ベルゼが瞬時に音禰の動きに反応し、明人も彼の目線に振り返った。
「お、音禰ぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!」
明人の声が反響し、響き渡る。それと同時に、音禰は明人に腕を引っ張られ地面に倒れ込んだ。
「っ、そう…………し…………?」
すぐに体を起こし、元居た場所を見ると。そこには、無数の黒い手によって、動きを封じ込められている、明人の姿。
両腕両足。頭、首、腰と。すべての関節などが封じ込められ、明人は顔を歪め歯を食いしばる。折れている腕も遠慮なく掴まれ、痛みが明人を襲っていた。
「愚かだな。その女くらい放っておけばいいものを」
ジャリ、ジャリと。足音を鳴らし、ベルゼは明人に近付いて行く。
音禰は体から力が抜け動けず、声すら出す事が出来ない。自分のせいで明人が捕らわれてしまった事に後悔の念が芽生え、それが彼女の身体を硬直させていた。
「女を庇ったのは、失敗だったな」
「うるせぇよ」
楽し気に明人を見るベルゼ。影を操作し、明人の首を掴んでいた手を離せる。息苦しさから開放されたのもつかの間、ベルゼが両手で明人の首を絞め始めた。
「がっ」
「相想!!」
音禰が震える体を無理やり立たせ、転びながらも明人に走り寄ろうとする。だが、二本の手が音禰の両足を掴み転ばせた。その間も、ベルゼが明人の首を絞め、口角を上げる。
「残念だったな人間よ!! お主は確かに厄介だったが、やはりただの人間。殺すなど容易い。今すぐここで死んでもらうぞ!!」
ベルゼは手に力を込め首の骨を折ろうした。ミシミシという音がなり、明人は必死に手を離させようと藻掻くが、体が無数の黒い手に掴まれているため身動きが取れず何も出来ない。
明人の顔が徐々に青くなり、意識が飛びそうになっている。音禰は足を掴んでいる手を無理やり離させようとするがびくともしない。
「終わりだ、つまらなくはなかったぞ」
「相想ぃぃぃいいいい!!!!!」
音禰が喉の裂けそうな叫び声をあげ手を伸ばすのと同時に、ベルゼが明人の首を掴み力を強めた。
──────ドゴンッ!!!
「っ、なんだ」
何かがぶつかり崩れたような音が洞窟の奥から聞こえた。それと同時に土埃が舞い、ベルゼは思わず手を離す。明人は力が入らず項垂れた。
「ゴホッゴホッゲホッ……たくっ、遅せぇよ。この、のろま」
ベルゼにも聞こえないほど小さな声で呟く。そんな明人の口元はなぜか上がっており、笑みが浮かんでいた。
音が聞こえた最奥から、コツッ……コツッ……という。人が歩く音が静かなった洞窟に響く。
「なんだ、結構ぎりぎりじゃねぇか。もう少し遅かったらもしかすっとやばかったか?」
そこにはカクリを脇に抱え、怒りの炎を目に宿した真陽留がベルゼを睨みながら立っていた。
「いないと思ったら……。今までどこに居た、魔蛭よ」
「お前みたいな悪魔に言う義理はない。お前は僕達が全力で殺してやる!!!」
顔を赤くし、ベルゼに向かって怒鳴り散らす。だが、そんな怒りの声など彼にとっては全く興味のないもの。何か喚いているなぐらいの感覚だった。
つまらないと言うように目を細め、真陽留の方を見続ける。
「もう貴様は要らぬ。使えんガラクタが勝手に反発するでない」
「確かに僕は使えないガラクタかもしれない。でも、ガラクタはガラクタなりに役に立ちたいと思うんだよ。人のため、人の大事な物の為に、動きたいと思うんだ」
真陽留は脇に抱えているカクリを一目見下ろしながら言い、明人の方へと歩き出す。
「こいつ、まだ気絶してるが息はある。可能性はゼロじゃねぇよ」
「分かっとるわ」
明人は何とか掴まれている手から逃れようと動くが、無駄だった。真陽留はそんな姿の彼を見て立ち止まった。冷静に周りを見て、状況を把握しする。すると、ベルゼから少しだけ距離が離れている音禰を見つけた。
「音禰」
「真陽留……」
ベルゼから目を逸らし、音禰へと駆け寄りカクリを彼女の近くに優しく下ろした。
「少し、預かっててくれ」
優しく微笑み、真陽留は再度ベルゼを見た。肩幅に足を広げたかと思うと、右手を強く握り、肘を後ろに下げる。代わりに左手を前に出し、左足を持ち上げた。
「げっ!」
明人は何が起きるのかを察し、苦虫をつぶしたような表情になる。ベルゼは何をしようとしているのか察する事が出来ず、眉を顰め見ているのみ。
「明人、歯を食いしばれよ!!!」
力の込められた言葉と共に、ダンッと地面を踏み、引いた右手を思いっきり前へと突き出した。すると、前方に人を飛ばせるほどの勢いはある突風が吹き荒れた。
「何をっ――――」
ベルゼはもろに食らい立っている事が出来ず後方へと跳んでしまった。明人は衝撃に備え目を閉じ、顔を逸らす。黒い手はベルゼが吹っ飛ばされた事により明人を掴む力が緩まり、その隙に体を捻り抜け出した。
地面に転がり、頭を支える。折れている腕が痛く、起き上がる際少しでも衝撃が行かないように気を付けた。
「大丈夫か」
「大丈夫に見えるのなら、お前の目は節穴だな。今更眼科に行ったところで意味もなさそうだ。お前の視力は終わったな、お疲れさん」
「助けてもらっといてその言い方かよ…………」
「お前が遅いからこんな事になったんだ。自分を棚に上げるな」
「…………スイマセンデシタ」
もうキリがないと思い、真陽留は項垂れ謝罪する。明人はそんな彼の様子など見えていないかのように、普段と変わらない口調で問いかけた。
「少しの時間、任せていいんだな?」
「っ、あぁ、問題ない。あいつは、僕がやらなければならない」
真陽留は憤怒の炎を瞳に宿し、壁に背中を預けているベルゼへと近付く。
「驚いたな。まさかこんな力を持っていたとは。だが、それでも貴様では我には叶わん。死ぬだけだ」
「死ぬのはお前だ。ベルゼ」
その場で軽く跳んだり、手首や足首を曲げたりして。真陽留はいつでも行けるように準備する。
「さぁ、人間様からの下克上の時間だ」
真陽留は決意を表すように宣言すると、ベルゼへと向かって走り出した。
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