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犬宮賢とヤクザ
「怪異を怒らせた」
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「――――えっ」
今、雫の目に映っている光景は、とてもすぐには信じられないものだった。
「な、何がどうなって……」
彼女の目の前には、床に伸びている男性二人と、奪い取った拳銃を持ち、二人を見下ろしている心優の姿。
最古は無傷で、いつもと変わらずニコニコ顔を浮かべていた。
「ふぅ、さすがに焦りましたが、こうすれば良かったんですね」
はぁ、体が動いてよかった。
相手が拳銃を持っていたり、後ろに最古君がいるとかで少し焦ったけど、今まで通りで良かったんだもんね。
相手が動き出す前に動けば問題はない。
「さて、貴方を守る人はいなくなったみたいね。まだ隠しているのなら出してもいいわよ、さっきみたく投げ飛ばしてあげるから」
心優は自分の身を自分で守るために身につけた格闘術を披露し、指をボキボキと鳴らし挑発した。
先程、心優は拳銃を構えた男性二人が引き金を引く直前、視界から外れるようにしゃがみ走り出した。
一瞬のうちに視界から心優が消えたため、二人は動揺。
その隙に下から拳銃を蹴り上げ武器を奪い、流れるように男性二人をぶん投げ終了。
その動きが一瞬と言ってもいいほど素早く、自身は弱い、そう言っていた雫は体が動かず、言葉すら発すること出来なかった。
「あら、どうしたの? さっきまでの強気の態度はどこに行ってしまったのかな」
「――――ちっ、しょうがないわね。今日はここで引いてあげる。さすがに予想外、貴方がここまで動けるなんて思わなかったわ」
恐怖に満ち、青くした表情を後ろに向け、逃げるように下がる。
だが、ここで逃がしてあげるほど、心優は甘くない。
ザッと地面を強く蹴り、驚愕の表情を浮かべる雫の首元を片手で掴み、後ろに倒した。
「がはっ!!」
苦しげな声を出し、背中を打ち付ける。
雫の視界が定まらない中心優は何も言わず、無表情のまま彼女を見下ろした。
――――よし、こいつの首は抑えているし、体は私が跨っているから動かせないはず。
視線も定まっていないし、このまま色々聞かせてもらおう。
「ねぇ、犬宮さんを利用したのはわかった。次に聞きたいことがあるの、答えてくれるよね? 」
「な、なによ……」
「新谷岳弥さんの殺害方法よ。どのように殺したの? 使ったものは何? あと、他にも貴方が答えることが出来る情報があるのなら、包み隠さず吐きなさい」
首をキュッと抑え脅すように言うと、雫は絞まったような声を漏らし、体を震えさせた。
このままでは殺される。
そう感じさえるような心優の視線に、雫の口は自然と開く。
「わ、たしを道具のように、扱って。私を、ストレス解消に使っていたのが、許せなくて……。だから、相談、を……」
「相談? それは誰に?」
「い、言えない…………」
誰かを聞くと途端に涙を流し、心優に対してではなく、また他の事に対して怯え始めた。
視線だけでも心優から離そうと横へ向かせ、「言えない、言えない」と呟き続ける。
これは、ただ事ではない。
瞬時に感じ取った心優は、また違う質問を口にした。
「なら、方法は? 死因は失血死、首を斬られたことにより死亡。私みたいに鍛えて言うのならまだしも、貴方は見たところそこまで鍛えてはいない、どのように男性の首を切ったの?」
質問を変えると、怯えていた雫は「それなら……」と、視線を逸らしながら口を開いた。
「……………………それは、ワイヤーを――――っ!!」
「ワイヤー」と口にした瞬間、雫は突如目を見開き言葉を止めた。
何が起きたのか問いかけるが、答えは返ってこない。
再度問いかけるも意味はない。
目を見開き、口をわなわなと震えるのみ。
そのうち、「い、いやだ、いやだ」と、うわ言のように呟き始めた。
何が起きたのか、なぜいきなりここまで怯えだしたのか。
「ちょ――――っ!!」
首から手を離し起き上がらせようとすると、後ろから肩を掴まれ引っ張られる。
ぽすっと、柔らかく温かいものが背中に当たり上を見ると、見覚えのある顔。
苦し気に自力で起き上がっている雫を、軽蔑するような瞳で見ていた。
「…………犬宮さん?」
心優を抱き留めていたのは、息を切らし険しい顔を浮かべている犬宮だった。
頬には切り傷があり、血が流れている。
「嫌な予感がするなと思って来てみれば、なにこれ……。なんで、こっちからも怪異の気配を感じるの」
グイッと血を拭い、呟く。
――――怪異の気配? どういう事だろう。
ここには最古君と私、雫さんの三人。
怪異なんて、犬宮さんくらい。
困惑しながら後ろから肩を掴む犬宮を見上げていると、雫が震える体に鞭を打ち、心優達とは反対側へと走ってしまった。
「あ、い、いいですか?」
「構わないよ。もう、あいつに用はないから」
「用は、ない?」
「うん。だって、今回の依頼は終わった」
え、何が終わったのだろうか。
なにも終わってはいなっ――いや、終わった、のか。
今回の依頼は新谷岳弥の浮気調査。
だが、ターゲットである岳弥は死んでしまい調査不可能。
殺害したのは、新谷雫。
これ以上の事は、犬宮達でも出来る訳がないし、する事もない。
「…………なら、これ以上はもう、何もしないんですか?」
「いや、今回は怪異が絡んでいる。ここで新谷雫からの依頼は終わりだけど、怪異は何とかしないと」
「そんなに、危険な怪異なんですか?」
「危険というか、めんどくさい、かな」
めんどくさい。
これは、依頼を受けた時にも言っていた事。
犬宮も黒田も、こうなることがわかっていたのだろうか。だから、渋い顔を浮かべていたのだろうか。
「ほっておくと、今回のような依頼がまた来るかもしれないし。黒田が変に動いてしまったせいで完全に俺達は目を付けられた。完全に解決しないと、今後の生活に支障が出るかも」
「黒田さんが、何をしたんですか?」
「怪異を怒らせた」
「っ、え?」
怒らせた? どゆこと??
今、雫の目に映っている光景は、とてもすぐには信じられないものだった。
「な、何がどうなって……」
彼女の目の前には、床に伸びている男性二人と、奪い取った拳銃を持ち、二人を見下ろしている心優の姿。
最古は無傷で、いつもと変わらずニコニコ顔を浮かべていた。
「ふぅ、さすがに焦りましたが、こうすれば良かったんですね」
はぁ、体が動いてよかった。
相手が拳銃を持っていたり、後ろに最古君がいるとかで少し焦ったけど、今まで通りで良かったんだもんね。
相手が動き出す前に動けば問題はない。
「さて、貴方を守る人はいなくなったみたいね。まだ隠しているのなら出してもいいわよ、さっきみたく投げ飛ばしてあげるから」
心優は自分の身を自分で守るために身につけた格闘術を披露し、指をボキボキと鳴らし挑発した。
先程、心優は拳銃を構えた男性二人が引き金を引く直前、視界から外れるようにしゃがみ走り出した。
一瞬のうちに視界から心優が消えたため、二人は動揺。
その隙に下から拳銃を蹴り上げ武器を奪い、流れるように男性二人をぶん投げ終了。
その動きが一瞬と言ってもいいほど素早く、自身は弱い、そう言っていた雫は体が動かず、言葉すら発すること出来なかった。
「あら、どうしたの? さっきまでの強気の態度はどこに行ってしまったのかな」
「――――ちっ、しょうがないわね。今日はここで引いてあげる。さすがに予想外、貴方がここまで動けるなんて思わなかったわ」
恐怖に満ち、青くした表情を後ろに向け、逃げるように下がる。
だが、ここで逃がしてあげるほど、心優は甘くない。
ザッと地面を強く蹴り、驚愕の表情を浮かべる雫の首元を片手で掴み、後ろに倒した。
「がはっ!!」
苦しげな声を出し、背中を打ち付ける。
雫の視界が定まらない中心優は何も言わず、無表情のまま彼女を見下ろした。
――――よし、こいつの首は抑えているし、体は私が跨っているから動かせないはず。
視線も定まっていないし、このまま色々聞かせてもらおう。
「ねぇ、犬宮さんを利用したのはわかった。次に聞きたいことがあるの、答えてくれるよね? 」
「な、なによ……」
「新谷岳弥さんの殺害方法よ。どのように殺したの? 使ったものは何? あと、他にも貴方が答えることが出来る情報があるのなら、包み隠さず吐きなさい」
首をキュッと抑え脅すように言うと、雫は絞まったような声を漏らし、体を震えさせた。
このままでは殺される。
そう感じさえるような心優の視線に、雫の口は自然と開く。
「わ、たしを道具のように、扱って。私を、ストレス解消に使っていたのが、許せなくて……。だから、相談、を……」
「相談? それは誰に?」
「い、言えない…………」
誰かを聞くと途端に涙を流し、心優に対してではなく、また他の事に対して怯え始めた。
視線だけでも心優から離そうと横へ向かせ、「言えない、言えない」と呟き続ける。
これは、ただ事ではない。
瞬時に感じ取った心優は、また違う質問を口にした。
「なら、方法は? 死因は失血死、首を斬られたことにより死亡。私みたいに鍛えて言うのならまだしも、貴方は見たところそこまで鍛えてはいない、どのように男性の首を切ったの?」
質問を変えると、怯えていた雫は「それなら……」と、視線を逸らしながら口を開いた。
「……………………それは、ワイヤーを――――っ!!」
「ワイヤー」と口にした瞬間、雫は突如目を見開き言葉を止めた。
何が起きたのか問いかけるが、答えは返ってこない。
再度問いかけるも意味はない。
目を見開き、口をわなわなと震えるのみ。
そのうち、「い、いやだ、いやだ」と、うわ言のように呟き始めた。
何が起きたのか、なぜいきなりここまで怯えだしたのか。
「ちょ――――っ!!」
首から手を離し起き上がらせようとすると、後ろから肩を掴まれ引っ張られる。
ぽすっと、柔らかく温かいものが背中に当たり上を見ると、見覚えのある顔。
苦し気に自力で起き上がっている雫を、軽蔑するような瞳で見ていた。
「…………犬宮さん?」
心優を抱き留めていたのは、息を切らし険しい顔を浮かべている犬宮だった。
頬には切り傷があり、血が流れている。
「嫌な予感がするなと思って来てみれば、なにこれ……。なんで、こっちからも怪異の気配を感じるの」
グイッと血を拭い、呟く。
――――怪異の気配? どういう事だろう。
ここには最古君と私、雫さんの三人。
怪異なんて、犬宮さんくらい。
困惑しながら後ろから肩を掴む犬宮を見上げていると、雫が震える体に鞭を打ち、心優達とは反対側へと走ってしまった。
「あ、い、いいですか?」
「構わないよ。もう、あいつに用はないから」
「用は、ない?」
「うん。だって、今回の依頼は終わった」
え、何が終わったのだろうか。
なにも終わってはいなっ――いや、終わった、のか。
今回の依頼は新谷岳弥の浮気調査。
だが、ターゲットである岳弥は死んでしまい調査不可能。
殺害したのは、新谷雫。
これ以上の事は、犬宮達でも出来る訳がないし、する事もない。
「…………なら、これ以上はもう、何もしないんですか?」
「いや、今回は怪異が絡んでいる。ここで新谷雫からの依頼は終わりだけど、怪異は何とかしないと」
「そんなに、危険な怪異なんですか?」
「危険というか、めんどくさい、かな」
めんどくさい。
これは、依頼を受けた時にも言っていた事。
犬宮も黒田も、こうなることがわかっていたのだろうか。だから、渋い顔を浮かべていたのだろうか。
「ほっておくと、今回のような依頼がまた来るかもしれないし。黒田が変に動いてしまったせいで完全に俺達は目を付けられた。完全に解決しないと、今後の生活に支障が出るかも」
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