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犬宮賢と陰陽師
「黒くなってる?」
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無事に買い物メモに書かれていた物を買った二人は、寄り道せず真っすぐ神社へと戻る。
食品はすぐ冷蔵庫へ入れ込み、日用品は定位置へと置いていく。
全ての物を片付け終わり、二人はそれぞれ部屋へと戻った。
心優は自室に布団を敷き、部屋着に着換えた。
布団に倒れ込み、巴から聞いた話を思い出す。
「巴ちゃんの両親が首無しによって殺された。…………でも、首を斬る事は人間でも出来ると前の事件でわかったわけだし、確実に首無しという怪異がやったわけではない…………よね」
────こんな時、いつもなら黒田さんか犬宮さんに聞けばすぐに解決するんだけど、今は二人も大変な事態になっている。
探偵事務所に戻り確認するのも今の調子だと難しいだろうなぁ。
どうせ、明日も色んな雑用が回ってくる。抜け出すことは出来ない。
「ふあぁぁあ…………ねむ」
流石に疲れが溜まり、睡魔が心優を襲う。
今日はこれ以上考えても仕方がないと諦め、睡魔に抗うことなく眠りについた。
※
「心優ちゃん、そっちをお願いできる?」
「わかった」
心優は巫女として神社で働くようになってから一週間経った。
最初と比べると流れなどもわかり、雑用はスムーズに出来るようになっていた。
今は巴と共に洗濯物を神社の裏手にある広場で干している。
「心優ちゃんはまだ神社に来て一週間なのに、もう手慣れたもんだよね」
「元々やっていた仕事よりは覚えやすいのと、家でも家事はやっていたから」
────いや、今も探偵社では働いているけどね? やめてないけどね?
私は今潜入しているだけ、私は探偵社の一員だから!!
自分の言葉に対し言い訳をしつつ洗濯物を巴から受け取り、物干し竿に干す。
今日の天候は曇り、辺りは薄暗くジメジメしている。
乾きが悪そうだなぁと思っていると、心優を呼ぶ凛々しい声が聞こえた。
「真矢さん」
「っ、は、はい!」
咄嗟に振り向くと、そこには心優が最初に神社で出会った女性が立っていた。
巫女装束をみにつけ、心優を黒い瞳で見つめる。
艶やかな黒い髪は後ろで一つにまとめられ、風に乗り横へと靡いていた。
名前を呼ばれ振り向き、心優は何を言われるのかと目を丸くし待ち続けた。
平然としている彼女の隣には、顔を真っ青にしている巴が洗濯物を手にし固まっていた。
チラッと隣を見た心優は、なぜ顔を青くしているのか聞こうとしたが、それより先に女性の方が早く話し出してしまった。
「貴方、今日はこの後お時間あるかしら」
「あ、えっと。一応あるのですが、まだやる事が残っていまして…………」
まだ籠に残っている洗濯物を見ながら心優が言うと、巴が慌てたように立ち上がった。
「だ、大丈夫だよ心優ちゃん! あとは私がやっておくから!」
「でも、まだ多く残っているよ?」
洗濯物は後二回分は残っている。
二人でも大変なのに、一人でとなると時間が倍以上かかってしまう。
それに、巴は一人でやると効率が悪い。
時間が人の倍かかってしまうのを心優は知っていたため、困ってしまった。
二人の様子を見ていた女性は、表情一つ変えず口を開く。
「わかりました。では、また時間を改めます」
それだけを残し、女性はいなくなった。
残された二人は、なんの用だったのだろうかと顔を見合せ、首を傾げる。
「なんだったんだろう」
「わからない…………」
巴に聞いても分かるはずないことは心優にも分かっていたが、問いかけずには居られなかった。
――――意味深な瞳だったような気がする。あと、これはあくまで直感だけど。
なんか、悪いことでも企んでいるような……、そんな目だった気が……。
眉間に深い皺を寄せ考えていると、すごみのある表情になってしまい、巴が体を大きく震わせてしまった。
「み、心優ちゃん? どうしたの? こ、怖いよ……?」
「あ。いや、大丈夫だよ。ご、ごめんね」
慌てたように取り繕い、洗濯物を干し始める。
まだ色々気になる部分はあるが、巴は心優に手を差し出されてしまい、籠の中に入っている洗濯物を渡すしか出来なくなってしまった。
ここからは、普通に雑談をしながら今日の業務を終了させた。
・
・
・
・
・
・
心優は部屋に戻りスマホを手に取り、座布団に腰を下ろした。
画面には犬宮へ送る為のメール画面が表示されている。
「…………えっと。『今日も特に変わったことがありませんでした。業務の中で色々調べられないか隙を見つけますが、一人で行動できず難しいです』――――と」
――――はぁ、本当に一人で行動できない。いつも誰かしらと共に行動させられるんだよなぁ。色々探りを入れたくても出来ない。
それに、業務も新人に任せる量じゃないし……。
私、まだ一週間しか経っていないのに、なぜここまでの仕事を任されないといけないのか。
巴ちゃんの仕事も、なぜか私と共にやるようにって言われているみたいだし。
「はぁぁぁぁぁぁぁ、今日も疲れたあぁぁぁ。犬宮さんを見る事が出来ないのも妄想が膨れなくて悲しいぃぃいよぉぉぉおおお」
テーブルに項垂れ、嘆く心優のスマホが突如響く。
画面を見ると、巴からの着信だった。
「珍しいなぁ――――もしもし、どうしたの、巴ちゃん」
『あ、心優ちゃん。疲れているところごめんね、またお買い物に付き合ってくれないかなって思って』
――――あー、なるほど。
また私は暗闇を歩かないといけないのか。
私はまた恥をさらさないといけないのか。
遠い目を浮かべていると名前が呼ばれ、ハッとなり笑ってごまかした。
「だ、大丈夫、大丈夫だよ。これからすぐ?」
『うん。私は神社の前で待っているから、来てくれると嬉しいな』
「わかった、今行くね」
『ありがとう!』
そこで通話が終わらせ、心優はスマホを握りながら天井を見上げた。
行きたくない気持ちを押し込め、心優は「よっこいしょ」と立ち上がる。
「はぁ、行かないと――――あ、やばっ!」
立ち上がった拍子にポケットの中に入れていたお守りが落ちてしまい、慌てて拾い上げる。その時、ちょっとした違和感に気づいた。
「あ、あれ? なんか、黒くなってる?」
お守りの角が少しだけ黒くなっていた。
下の方、よく見ないとわからない程度に。
まじまじ見てみるけど何かが付着しているのだろうと思い、心優はあまり気にせずポケットの中に入れた。
――――よくわからないけど、言いつけは守っておいた方がいいかも。
少しも手放さず、持っておこう。
食品はすぐ冷蔵庫へ入れ込み、日用品は定位置へと置いていく。
全ての物を片付け終わり、二人はそれぞれ部屋へと戻った。
心優は自室に布団を敷き、部屋着に着換えた。
布団に倒れ込み、巴から聞いた話を思い出す。
「巴ちゃんの両親が首無しによって殺された。…………でも、首を斬る事は人間でも出来ると前の事件でわかったわけだし、確実に首無しという怪異がやったわけではない…………よね」
────こんな時、いつもなら黒田さんか犬宮さんに聞けばすぐに解決するんだけど、今は二人も大変な事態になっている。
探偵事務所に戻り確認するのも今の調子だと難しいだろうなぁ。
どうせ、明日も色んな雑用が回ってくる。抜け出すことは出来ない。
「ふあぁぁあ…………ねむ」
流石に疲れが溜まり、睡魔が心優を襲う。
今日はこれ以上考えても仕方がないと諦め、睡魔に抗うことなく眠りについた。
※
「心優ちゃん、そっちをお願いできる?」
「わかった」
心優は巫女として神社で働くようになってから一週間経った。
最初と比べると流れなどもわかり、雑用はスムーズに出来るようになっていた。
今は巴と共に洗濯物を神社の裏手にある広場で干している。
「心優ちゃんはまだ神社に来て一週間なのに、もう手慣れたもんだよね」
「元々やっていた仕事よりは覚えやすいのと、家でも家事はやっていたから」
────いや、今も探偵社では働いているけどね? やめてないけどね?
私は今潜入しているだけ、私は探偵社の一員だから!!
自分の言葉に対し言い訳をしつつ洗濯物を巴から受け取り、物干し竿に干す。
今日の天候は曇り、辺りは薄暗くジメジメしている。
乾きが悪そうだなぁと思っていると、心優を呼ぶ凛々しい声が聞こえた。
「真矢さん」
「っ、は、はい!」
咄嗟に振り向くと、そこには心優が最初に神社で出会った女性が立っていた。
巫女装束をみにつけ、心優を黒い瞳で見つめる。
艶やかな黒い髪は後ろで一つにまとめられ、風に乗り横へと靡いていた。
名前を呼ばれ振り向き、心優は何を言われるのかと目を丸くし待ち続けた。
平然としている彼女の隣には、顔を真っ青にしている巴が洗濯物を手にし固まっていた。
チラッと隣を見た心優は、なぜ顔を青くしているのか聞こうとしたが、それより先に女性の方が早く話し出してしまった。
「貴方、今日はこの後お時間あるかしら」
「あ、えっと。一応あるのですが、まだやる事が残っていまして…………」
まだ籠に残っている洗濯物を見ながら心優が言うと、巴が慌てたように立ち上がった。
「だ、大丈夫だよ心優ちゃん! あとは私がやっておくから!」
「でも、まだ多く残っているよ?」
洗濯物は後二回分は残っている。
二人でも大変なのに、一人でとなると時間が倍以上かかってしまう。
それに、巴は一人でやると効率が悪い。
時間が人の倍かかってしまうのを心優は知っていたため、困ってしまった。
二人の様子を見ていた女性は、表情一つ変えず口を開く。
「わかりました。では、また時間を改めます」
それだけを残し、女性はいなくなった。
残された二人は、なんの用だったのだろうかと顔を見合せ、首を傾げる。
「なんだったんだろう」
「わからない…………」
巴に聞いても分かるはずないことは心優にも分かっていたが、問いかけずには居られなかった。
――――意味深な瞳だったような気がする。あと、これはあくまで直感だけど。
なんか、悪いことでも企んでいるような……、そんな目だった気が……。
眉間に深い皺を寄せ考えていると、すごみのある表情になってしまい、巴が体を大きく震わせてしまった。
「み、心優ちゃん? どうしたの? こ、怖いよ……?」
「あ。いや、大丈夫だよ。ご、ごめんね」
慌てたように取り繕い、洗濯物を干し始める。
まだ色々気になる部分はあるが、巴は心優に手を差し出されてしまい、籠の中に入っている洗濯物を渡すしか出来なくなってしまった。
ここからは、普通に雑談をしながら今日の業務を終了させた。
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心優は部屋に戻りスマホを手に取り、座布団に腰を下ろした。
画面には犬宮へ送る為のメール画面が表示されている。
「…………えっと。『今日も特に変わったことがありませんでした。業務の中で色々調べられないか隙を見つけますが、一人で行動できず難しいです』――――と」
――――はぁ、本当に一人で行動できない。いつも誰かしらと共に行動させられるんだよなぁ。色々探りを入れたくても出来ない。
それに、業務も新人に任せる量じゃないし……。
私、まだ一週間しか経っていないのに、なぜここまでの仕事を任されないといけないのか。
巴ちゃんの仕事も、なぜか私と共にやるようにって言われているみたいだし。
「はぁぁぁぁぁぁぁ、今日も疲れたあぁぁぁ。犬宮さんを見る事が出来ないのも妄想が膨れなくて悲しいぃぃいよぉぉぉおおお」
テーブルに項垂れ、嘆く心優のスマホが突如響く。
画面を見ると、巴からの着信だった。
「珍しいなぁ――――もしもし、どうしたの、巴ちゃん」
『あ、心優ちゃん。疲れているところごめんね、またお買い物に付き合ってくれないかなって思って』
――――あー、なるほど。
また私は暗闇を歩かないといけないのか。
私はまた恥をさらさないといけないのか。
遠い目を浮かべていると名前が呼ばれ、ハッとなり笑ってごまかした。
「だ、大丈夫、大丈夫だよ。これからすぐ?」
『うん。私は神社の前で待っているから、来てくれると嬉しいな』
「わかった、今行くね」
『ありがとう!』
そこで通話が終わらせ、心優はスマホを握りながら天井を見上げた。
行きたくない気持ちを押し込め、心優は「よっこいしょ」と立ち上がる。
「はぁ、行かないと――――あ、やばっ!」
立ち上がった拍子にポケットの中に入れていたお守りが落ちてしまい、慌てて拾い上げる。その時、ちょっとした違和感に気づいた。
「あ、あれ? なんか、黒くなってる?」
お守りの角が少しだけ黒くなっていた。
下の方、よく見ないとわからない程度に。
まじまじ見てみるけど何かが付着しているのだろうと思い、心優はあまり気にせずポケットの中に入れた。
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少しも手放さず、持っておこう。
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