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犬宮賢と陰陽師
「――――私が攻めかな」
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今日は半袖に膝丈くらいの短パンを着て、心優は神社の外へと出た。
「おまたせ」
「あ、心優ちゃん! いきなりごめんね、またお買い物をお願いされちゃって…………」
またしてもルーズリーフ一枚にびっしり書かれているお買い物メモを見せられる。
心優は「あはは……」と、めんどくさいという気持ちを誤魔化した。
「まったく……。なんでこんな夜? 前も夜だったけど、明日じゃ駄目なの?」
「駄目みたい。早く行って来いって言われちゃった」
――――そんなことある?
普通、夜に女子二人を出かけたりさせたりしないでしょ。
しかも、こんな大荷物。男手が必要とまではいかないにしろ、いてくれた方が色々早く済む量だよ、これ……。
――――ブルッ
「寒いね…………」
「うん、風が冷たい。夏と言っても、夜はやっぱり油断できないね」
気温は高いけど、風が冷たい。
心優は腕を擦り、震える体を少しでも温めようとした。
「それじゃ、行こうか」
「う、うん」
巴も心優と同じ服装だが、一切寒さを感じさせない。
平然とした表情のまま、歩き出した。
――――私が寒がりなのかな。普通だと思っていたんだけど……。
置いて行かれないようについて行き、鳥居を潜り姿を消した。
そんな二人の背中を見ている二つの影が、本殿から現れる。
一人は、心優に最初声をかけた女性、名前は御子柴美鈴。
もう一人は、白い顎髭を揺らししている老人。
目元が隠れ、皺が深く刻まれている。
足腰が弱っているのか杖をつき、体を支えていた。
そんな老人は、鳥居から目を離さず隣にいる御子柴に声をかけた。
「美鈴よ、あの新人はどうだ?」
「業務はしっかりと行ってくれている為、特にに問題はないかと。巴とも仲良くしており、上手く信頼を築くことが出来ればこちら優位でことを進めることが出来ます」
「そうか。なら、巴にはもう少し頑張ってもらおうか」
「そうですね」
二人はそのような会話をすると、すぐに振り向き本殿の中へと姿を消した。
・
・
・
・
・
・
心優と巴は前回と同じように、街灯の少ない住宅街を歩いていた。
「本当に心優ちゃんは、夜道とかが苦手なんだね」
「うん……」
今日も今日とて、心優は巴の肩を掴みゆっくりと歩みを進めていた。
――――犬宮さんとかと一緒の時は、もう”何かが出て来る”と思い込んでいるから何とか我慢できるけど”出てくるかもしれない”って、なんか、予想出来ないから本当に怖い。
「こういう時の心優ちゃんは、本当に可愛い」
「…………馬鹿にしてる?」
「ま、まさか!! 普段の心優ちゃんからは想像できないから、ギャップ……? ってやつなのかな。可愛いなって思って!」
ニコニコと、後ろから肩を掴んでいる心優に笑いかける。
純粋な笑顔にため息を吐き、何も返せない。
「はぁ、もう、いいよ」
「え、ご、ごめんね! 嫌な気分にさせちゃったかな」
心優の気分が害してしまったと思い、巴は思わず足を止め慌てて謝った。
「全然大丈夫だよ、気にしてないし」
「よ、良かったぁ~」
そんな女子らしい会話をしていると、また歩みを再開。
いつも買い物している24時間スーパーにたどり着く。
中に入り、ルーズリーフ片手に目的の物を二人で探し、籠へと入れている。
最後に二人で忘れ物がないか確認し、レジへと向かった。
ルーズリーフに書かれている物だけを買っているはずなのに、籠が二つになって心優も巴も肩を落とす。
げんなりとした表情を浮かべ、エコバックに入れ込んだ。
「袋が三つになったね…………」
「そうだね。……えっと、私が二つ持つよ!」
そう言って、巴はエコバックを二つ持つ。
だが、今回は重たい物も多く、一歩も足が前に出ない。
顔を真っ赤にし、何とか歩みを進めるが遅い。
見ていられなくなった心優は、ヒョイッと巴から一つだけエコバックを取り歩き出した。
「え、あの……」
「どうしたの、巴ちゃん。早く帰ろうよ、休む時間が無くなっちゃうよ」
ちらっと肩越しに振り向き言うと、返答待たずに再度心優は歩き出す。
「…………心優ちゃんが男の子だったらモテてそう」
「え?」
ポカンと口を開け思わず止まっていると、巴はニコッと笑い隣を通り過ぎる。
「え、えぇ……? 私が、男……?」
立ち尽くしている心優の頭には、自分が男だった場合の映像が流れていた。
――――犬宮さん、ほら、俺が持ちますよ
――――あ、心優か。あ、ありがとう…………。
────いえ、犬宮さんに重たいものなどもたせられませんので。
「――――私が攻めかな」
「なんの話ですか?」
「な、何でもないよ巴ちゃん! い、行こうか!!」
鼻血を何とか気づかれないうちにふき取り、心優は笑顔でごまかし巴の後ろに駆け出す。
無事にスーパーを出て、二人は夜道を歩いていた。
その時は巴に縋る事が出来ないほどの荷物を持っている為、心優は体を震わせながら歩いている。
隣で巴が「こういう所は可愛いよね」と言っているが、心優の頭には恐怖を紛らせるために自分×犬宮が流れている為、聞こえてはいなかった。
「おまたせ」
「あ、心優ちゃん! いきなりごめんね、またお買い物をお願いされちゃって…………」
またしてもルーズリーフ一枚にびっしり書かれているお買い物メモを見せられる。
心優は「あはは……」と、めんどくさいという気持ちを誤魔化した。
「まったく……。なんでこんな夜? 前も夜だったけど、明日じゃ駄目なの?」
「駄目みたい。早く行って来いって言われちゃった」
――――そんなことある?
普通、夜に女子二人を出かけたりさせたりしないでしょ。
しかも、こんな大荷物。男手が必要とまではいかないにしろ、いてくれた方が色々早く済む量だよ、これ……。
――――ブルッ
「寒いね…………」
「うん、風が冷たい。夏と言っても、夜はやっぱり油断できないね」
気温は高いけど、風が冷たい。
心優は腕を擦り、震える体を少しでも温めようとした。
「それじゃ、行こうか」
「う、うん」
巴も心優と同じ服装だが、一切寒さを感じさせない。
平然とした表情のまま、歩き出した。
――――私が寒がりなのかな。普通だと思っていたんだけど……。
置いて行かれないようについて行き、鳥居を潜り姿を消した。
そんな二人の背中を見ている二つの影が、本殿から現れる。
一人は、心優に最初声をかけた女性、名前は御子柴美鈴。
もう一人は、白い顎髭を揺らししている老人。
目元が隠れ、皺が深く刻まれている。
足腰が弱っているのか杖をつき、体を支えていた。
そんな老人は、鳥居から目を離さず隣にいる御子柴に声をかけた。
「美鈴よ、あの新人はどうだ?」
「業務はしっかりと行ってくれている為、特にに問題はないかと。巴とも仲良くしており、上手く信頼を築くことが出来ればこちら優位でことを進めることが出来ます」
「そうか。なら、巴にはもう少し頑張ってもらおうか」
「そうですね」
二人はそのような会話をすると、すぐに振り向き本殿の中へと姿を消した。
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心優と巴は前回と同じように、街灯の少ない住宅街を歩いていた。
「本当に心優ちゃんは、夜道とかが苦手なんだね」
「うん……」
今日も今日とて、心優は巴の肩を掴みゆっくりと歩みを進めていた。
――――犬宮さんとかと一緒の時は、もう”何かが出て来る”と思い込んでいるから何とか我慢できるけど”出てくるかもしれない”って、なんか、予想出来ないから本当に怖い。
「こういう時の心優ちゃんは、本当に可愛い」
「…………馬鹿にしてる?」
「ま、まさか!! 普段の心優ちゃんからは想像できないから、ギャップ……? ってやつなのかな。可愛いなって思って!」
ニコニコと、後ろから肩を掴んでいる心優に笑いかける。
純粋な笑顔にため息を吐き、何も返せない。
「はぁ、もう、いいよ」
「え、ご、ごめんね! 嫌な気分にさせちゃったかな」
心優の気分が害してしまったと思い、巴は思わず足を止め慌てて謝った。
「全然大丈夫だよ、気にしてないし」
「よ、良かったぁ~」
そんな女子らしい会話をしていると、また歩みを再開。
いつも買い物している24時間スーパーにたどり着く。
中に入り、ルーズリーフ片手に目的の物を二人で探し、籠へと入れている。
最後に二人で忘れ物がないか確認し、レジへと向かった。
ルーズリーフに書かれている物だけを買っているはずなのに、籠が二つになって心優も巴も肩を落とす。
げんなりとした表情を浮かべ、エコバックに入れ込んだ。
「袋が三つになったね…………」
「そうだね。……えっと、私が二つ持つよ!」
そう言って、巴はエコバックを二つ持つ。
だが、今回は重たい物も多く、一歩も足が前に出ない。
顔を真っ赤にし、何とか歩みを進めるが遅い。
見ていられなくなった心優は、ヒョイッと巴から一つだけエコバックを取り歩き出した。
「え、あの……」
「どうしたの、巴ちゃん。早く帰ろうよ、休む時間が無くなっちゃうよ」
ちらっと肩越しに振り向き言うと、返答待たずに再度心優は歩き出す。
「…………心優ちゃんが男の子だったらモテてそう」
「え?」
ポカンと口を開け思わず止まっていると、巴はニコッと笑い隣を通り過ぎる。
「え、えぇ……? 私が、男……?」
立ち尽くしている心優の頭には、自分が男だった場合の映像が流れていた。
――――犬宮さん、ほら、俺が持ちますよ
――――あ、心優か。あ、ありがとう…………。
────いえ、犬宮さんに重たいものなどもたせられませんので。
「――――私が攻めかな」
「なんの話ですか?」
「な、何でもないよ巴ちゃん! い、行こうか!!」
鼻血を何とか気づかれないうちにふき取り、心優は笑顔でごまかし巴の後ろに駆け出す。
無事にスーパーを出て、二人は夜道を歩いていた。
その時は巴に縋る事が出来ないほどの荷物を持っている為、心優は体を震わせながら歩いている。
隣で巴が「こういう所は可愛いよね」と言っているが、心優の頭には恐怖を紛らせるために自分×犬宮が流れている為、聞こえてはいなかった。
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