グリムストーリー

チム

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わがままな赤ずきん

このおかしな物語に終わりを

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 「えっ!?…おばあさん…なんで?」
 「なにを言ってるんだい、赤ずきんやい、早くこっちにおいで」
 「でも、おばあさんは…ベッドの中に…」
 「はやくこいって言ってるんだよ」
 「はぃ…」
 元のように赤ずきんは怯えていた。
 そして、おばあさんの方に歩き始めた。
 おばあさんの目の前に行くといきなり、おばあさんが、赤ずきん殴ろうと手を握った。
 その、手を赤ずきんが見ると。
 恐怖で、狼化しかけていた。
 「あぁ、お前のせいで私が今日恥ずかしい思いをしたじゃない」
 そう言うとおばあさんが赤ずきんを殴る……前に奏多が動き出しおばあさんを思いっきり殴った。
 「お前なぁ、なんで孫に手を出そうとしてんだよ」
 「なんで…ここに…あの狩人が」怒り狂ったようにおばあさんが発した。
 「そんなん関係ないだろ、お前のせいで赤ずきんがどれほど苦労したかわからないだろ」
 おばあさんが震えていた、俺を見ていや俺より後ろを見て。
 すぐに振り返るとそこには狼化した赤ずきんの姿が。
 おばあさんは、立ち上がり逃げようとした。
 「お前だけは、絶対逃がさない」そして、奏多がおばあさんを殴った。
 「おばあさん…怖い…おばあさん…怖い」赤ずきんが呟いていた。
 「大丈夫…もうおばあさんはいないから」赤ずきんの恐怖心を抑え込もうと奏多が赤ずきんを抱きしめた。
 赤ずきんの狼化が少しずつ解けてきた。
 だが、それからしばらく経ったが狼化が中々解けない。
 まだか…恐怖心を抑えるには他のことを思わせるしかないか…あぁ…もうあとから謝らないとな。
 そう思いながら、赤ずきんにキスをした。
 すると、赤ずきんが頬を染めて狼化が解けた。
 「ごめんな、赤ず…」すぐにあやまろうとしたが、言い終わる前に
 「待って先に私から言わせて…助けてくれて、ありがとうございます。それと…初めて会った人に言うことかどうかわからないけど…その…私の……お兄さんになってください」
 「えっ?」いや、物語を終わらせる鍵は恋心だと…
 「私を狼化から解いてくれたのはあなたが初めてでこれからも私の支えになってほしいから…だめ?」上目づかいで言ってきた。
 「おう、いいぜ」
 こういうのでもいっか。
 「それなら、赤ずきんって呼ぶのもなんだし、名前教えて?」
 「私の…名前は…あれ?私、名前」
 そっか物語上でも、名前ってないし。
 「なら、ルカっていうのはどうだ?」
 赤ずきんは、少し悩んでから
 「ルカ、うん。私それがいい」
 「わかったよ、ルカ。俺のことは奏多って呼んでくれ」
 「うん、わかった」
 話していると。
 「クエストが完了しました。この物語は無事、終了しました」
 どこからともなく声が聞こえた。
 やっと…終わったか。
 「ごめんな、ルカ少しの間お別れになるけど…また会いにくるからな」
 少しずつ奏多の身体が透け始めた。
 「わかったよ、奏多お兄ちゃん。それと、これ持って行って、何かの時にこれを使えば、私を呼べるから。お兄ちゃんのおかげで私、狼化コントロールできるようになったから今度は、私がお兄ちゃんを助けるね」
 赤ずきんから、カードを手渡された。
 「おう、ありがとな」
 そう言うと奏多の身体は完全に消えた。

 目を開けると。
 高速で、どこかを移動いた。
 これで、元の場所に戻るのか?
 疑問に思っていると。
 「おい、お前はやくこっちに手を伸ばせ」
 聞こえてきた方に手を伸ばすとそこから…
 
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