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太陽を司る巨竜2
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以前の始まりの街では、殆どのプレイヤー達が自分の身の安全を優先してマスターの奇襲作戦に協力してくれたのは、事前に打ち合わせしていた始まりの街の各ギルドメンバーと少数のプレイヤーしかいなかった。
まあ、こんな状況下であれば協力しなかった彼等を責められはしないが、その記憶がエミルの脳裏に焼き付いてしまった。それが疑心暗鬼となり目の前にいる千代のプレイヤー達を信じられなくさせていた。しかし、そんな彼女の不安はすぐに払拭されることになる。
集まったプレイヤーの一人が、エミルに向かって尋ねた。
「剣聖はどこで消えたのか教えてくれ!」
その声を皮切りに、その場に集まったプレイヤー達から次々に声が上がる。
「俺達も助けられてるだけじゃない! 今度は俺達が剣聖を救うんだ!」「今なら戦える! 剣聖を助け出して今度こそ一緒に戦うんだ!」「早く教えてくれ! もう待てねぇーよ!」
その皆の反応に驚いた様子で、エミルは目を丸く見開いて呆然としている。
隣に来た紅蓮がエミルに告げた。
「最後に彼女が居た場所だけ教えて下さい。後の事は我々に任せて下さい」
「そうだ。我々もこんな時くらいしか役に立ってん」
紅蓮のその言葉に賛同したのは漆黒の大剣を背中に付けたドラゴンの兜の男だった。
その横にいる三つ編みの少女もにっこりと笑ってエミルに向かって言った。
「私達は一緒に戦った仲間です。まあ、千代の戦いでは役には立ちませんでしたが、必ずあの女の子を見つけます!」
始まりの街を代表するギルドの一つメルキュールのダイロスとリアンが声を上げると、その後ろに居た者達も声を上げる。
「私達も忘れてもらっては困るわ! この頃出番がなくて退屈だったのよね!」
「もうリカは……僕達も協力しますよ。皆もそうだよね! 今までの借りを返そう!」
始まりの街のギルド、POWER,Sのリカとカムイのその言葉にギルドメンバー達も声を上げて応えた。こうなると、他の始まりの街のギルドも負けてられないと名乗りを上げる。
メンバー全員がスキンヘッドの坊主集団。始まりの街のギルド成仏善寺のギルドマスター、サブギルドマスターの無善、浄歳が手を胸の前で合わせ合掌したポーズのまま前に出る。
「我々も仏の導きに従い。善を成しましょうぞ!」
「何度も救われた恩を、ここで返しましょうぞ!」
そんな2人の言葉に後ろの者達も合掌して「恩を返し、善をなしましょうぞ」と声を揃えて一礼する。
その直後、ギルドマスター、サブギルドマスターを始まりの街の奇襲作戦でなくした始まりの街の武闘派ギルドLEOの代表2人も後ろに並ぶメンバー達に言った。
「野郎共! リーダーが生きてたらこう言うはずだ! 借りは死んでも返せ! それが男の生き様だと!」
「お前等! ギルドの名において、なんとしても儂等が誰よりも先に見つけるぞ!!」
ゲインとウォーニスが叫ぶと、後ろにいたギルドメンバー達も負けじと雄叫びを上げた。
彼等と同じくギルドマスターのトールを失い。デュラン達と街の生き残りと共に後から合流したギルドであり、始まりの街を最後まで防衛していたギルドでもあるエルフ専門ギルドのネオアーク。
「……我々も借りを返す」
「はい! ギルドマスターが命がけで守ったあの子を救出しましょう!」
そんな彼等もトールの補佐役で無口な革鎧に青い短髪で黄色い瞳のエルフ。ハイルの短い言葉に賛同して声を上げ、拳を突き上げるエルフ達。
そして言わずもがな、星に『剣聖』の二つ名を付けた千代の者達も、星の奪還に向けて熱意を燃やしていた。紅蓮もそれ以上は何も言うことなく、ただただエミルの返事を待っている。
「ありがとう。みんな……」
涙ぐむエミルは、その涙を振り切る様に腕を横に振り抜き力強く叫ぶ。
「私があの子の最後の場所に案内します! 相手は人の命をなんとも思っていない狂人です。皆さん覚悟はいいですね!」
それに応えて力強く声を上げるのを見て嬉しそうに頷くと、エミルは「行きましょう!」と身を翻して外に出た。
外では影虎が多くの大型の飛竜を待機させていた。
「タクシーはいるか? こいつの方が馬より速いぞ」
得意げにそう言った彼はニヤリと笑う。それを見たエミルもにっこりと微笑んで「当然タダよね?」と尋ねると、彼も「もちろん」と短く告げて手で飛竜の背へと導く。
その場にいた者達を出来る限り乗せて森に向けて飛び立った飛竜を追って、残りの者達も馬で森に向かって走り出す。
星を捜索する為に集まったのは数万人が、一斉に森に向かって大移動を始めると、少し遅れて街から更に数万人規模の漆黒の兵団が現れた。
その兵団の先頭には漆黒の重鎧を着た男と少女を乗せた馬が走っていて、むすっとした仏頂面の兄の後ろで、少女が満面の笑みを浮かべて手を振っていた。
森に着いたエミル達はすぐに辺りを隈なく捜索するが、何の手掛かりも掴めないうちにすでに数時間が経過した。
空と陸から数万人を動員して隈なく探しているが、 文字通りに草の根を分けて森の中を駆け回っていてもそれらしい者も建物もない。定期的に湧いてくる森の中に生息するモンスターを狩るだけだ。
街から息巻いて出てきたものの、これでは皆の士気も下がってきてしまう。すぐには見つからないとは思っていたエミルも、空と陸から探して手掛かりがないと探す場所が間違っているか、地下にでも大規模な施設があるのではないかと考えてしまう。しかし、その考えは千代のプレイヤー達をまとめる紅蓮も思っているようだ――。
まあ、こんな状況下であれば協力しなかった彼等を責められはしないが、その記憶がエミルの脳裏に焼き付いてしまった。それが疑心暗鬼となり目の前にいる千代のプレイヤー達を信じられなくさせていた。しかし、そんな彼女の不安はすぐに払拭されることになる。
集まったプレイヤーの一人が、エミルに向かって尋ねた。
「剣聖はどこで消えたのか教えてくれ!」
その声を皮切りに、その場に集まったプレイヤー達から次々に声が上がる。
「俺達も助けられてるだけじゃない! 今度は俺達が剣聖を救うんだ!」「今なら戦える! 剣聖を助け出して今度こそ一緒に戦うんだ!」「早く教えてくれ! もう待てねぇーよ!」
その皆の反応に驚いた様子で、エミルは目を丸く見開いて呆然としている。
隣に来た紅蓮がエミルに告げた。
「最後に彼女が居た場所だけ教えて下さい。後の事は我々に任せて下さい」
「そうだ。我々もこんな時くらいしか役に立ってん」
紅蓮のその言葉に賛同したのは漆黒の大剣を背中に付けたドラゴンの兜の男だった。
その横にいる三つ編みの少女もにっこりと笑ってエミルに向かって言った。
「私達は一緒に戦った仲間です。まあ、千代の戦いでは役には立ちませんでしたが、必ずあの女の子を見つけます!」
始まりの街を代表するギルドの一つメルキュールのダイロスとリアンが声を上げると、その後ろに居た者達も声を上げる。
「私達も忘れてもらっては困るわ! この頃出番がなくて退屈だったのよね!」
「もうリカは……僕達も協力しますよ。皆もそうだよね! 今までの借りを返そう!」
始まりの街のギルド、POWER,Sのリカとカムイのその言葉にギルドメンバー達も声を上げて応えた。こうなると、他の始まりの街のギルドも負けてられないと名乗りを上げる。
メンバー全員がスキンヘッドの坊主集団。始まりの街のギルド成仏善寺のギルドマスター、サブギルドマスターの無善、浄歳が手を胸の前で合わせ合掌したポーズのまま前に出る。
「我々も仏の導きに従い。善を成しましょうぞ!」
「何度も救われた恩を、ここで返しましょうぞ!」
そんな2人の言葉に後ろの者達も合掌して「恩を返し、善をなしましょうぞ」と声を揃えて一礼する。
その直後、ギルドマスター、サブギルドマスターを始まりの街の奇襲作戦でなくした始まりの街の武闘派ギルドLEOの代表2人も後ろに並ぶメンバー達に言った。
「野郎共! リーダーが生きてたらこう言うはずだ! 借りは死んでも返せ! それが男の生き様だと!」
「お前等! ギルドの名において、なんとしても儂等が誰よりも先に見つけるぞ!!」
ゲインとウォーニスが叫ぶと、後ろにいたギルドメンバー達も負けじと雄叫びを上げた。
彼等と同じくギルドマスターのトールを失い。デュラン達と街の生き残りと共に後から合流したギルドであり、始まりの街を最後まで防衛していたギルドでもあるエルフ専門ギルドのネオアーク。
「……我々も借りを返す」
「はい! ギルドマスターが命がけで守ったあの子を救出しましょう!」
そんな彼等もトールの補佐役で無口な革鎧に青い短髪で黄色い瞳のエルフ。ハイルの短い言葉に賛同して声を上げ、拳を突き上げるエルフ達。
そして言わずもがな、星に『剣聖』の二つ名を付けた千代の者達も、星の奪還に向けて熱意を燃やしていた。紅蓮もそれ以上は何も言うことなく、ただただエミルの返事を待っている。
「ありがとう。みんな……」
涙ぐむエミルは、その涙を振り切る様に腕を横に振り抜き力強く叫ぶ。
「私があの子の最後の場所に案内します! 相手は人の命をなんとも思っていない狂人です。皆さん覚悟はいいですね!」
それに応えて力強く声を上げるのを見て嬉しそうに頷くと、エミルは「行きましょう!」と身を翻して外に出た。
外では影虎が多くの大型の飛竜を待機させていた。
「タクシーはいるか? こいつの方が馬より速いぞ」
得意げにそう言った彼はニヤリと笑う。それを見たエミルもにっこりと微笑んで「当然タダよね?」と尋ねると、彼も「もちろん」と短く告げて手で飛竜の背へと導く。
その場にいた者達を出来る限り乗せて森に向けて飛び立った飛竜を追って、残りの者達も馬で森に向かって走り出す。
星を捜索する為に集まったのは数万人が、一斉に森に向かって大移動を始めると、少し遅れて街から更に数万人規模の漆黒の兵団が現れた。
その兵団の先頭には漆黒の重鎧を着た男と少女を乗せた馬が走っていて、むすっとした仏頂面の兄の後ろで、少女が満面の笑みを浮かべて手を振っていた。
森に着いたエミル達はすぐに辺りを隈なく捜索するが、何の手掛かりも掴めないうちにすでに数時間が経過した。
空と陸から数万人を動員して隈なく探しているが、 文字通りに草の根を分けて森の中を駆け回っていてもそれらしい者も建物もない。定期的に湧いてくる森の中に生息するモンスターを狩るだけだ。
街から息巻いて出てきたものの、これでは皆の士気も下がってきてしまう。すぐには見つからないとは思っていたエミルも、空と陸から探して手掛かりがないと探す場所が間違っているか、地下にでも大規模な施設があるのではないかと考えてしまう。しかし、その考えは千代のプレイヤー達をまとめる紅蓮も思っているようだ――。
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