オンライン・メモリーズ ~VRMMOの世界に閉じ込められた。内気な小学生の女の子が頑張るダークファンタジー~

北条氏成

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太陽を司る巨竜3

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 だが、この世界はゲームであり現実ではない。地面はある程度の深さはあるが、良くても20から30メートル程度で、それより先は土ではく数字の羅列する虚無の空間。

 とはいえ。そうしなければ、世界に広がる地表に広がる広大なフィールドを含め、多くのプレイヤーによって、データ量が膨大になり過ぎてサーバーを維持することができなくなる。

 もちろん。それでは地下に入り組んだダンジョンなどは作れない。
 だからこそ、例外を設けている。その条件とは地表に建物があるか、地下に伸びる建物の直上に出入り口を設置することだ。これにより限定的に地下の仕様が追加され、地下にも建物を伸ばすことが可能になるのだ。

 だが、ここにはその建物も出入り口もない。つまり、エミルや紅蓮の考えていることは、何も発見できない時点で真っ向から否定されていることになるのである。

 だとしても。この森以外に建物を隠すとすると、その難易度は格段に上がる。
 千代に死霊系のモンスターが多いのはその土地にある。街の周囲は殆どが平地か、その他にも荒野が広がっている。

 つまり、生命が生息できる環境にはかけ離れている。その為、地面から這い出てくるゾンビやスケルトンと言ったモンスターの巣窟になってしまっていた。そんな場所の地下に何かを造るなど、見つけて下さいと言っているようなものだろう。

 エミルの側にきた紅蓮は、難しい表現をしながらエミルに告げた。

「こんなに探して手掛かりがないのも変ですが――気が付いていますか? これだけの人員を動員していると言うのに、敵がなんの動きを見せないというのはおかしいとは思いませんか?」
「ええ、そうですよね。やっぱり紅蓮さんもこの場所には敵の拠点がないと感じているんですね」

 だが、そのエミルの言葉に紅蓮は首を横に振った。

「――違います。敵の拠点は間違いなく、この辺りにあるはずです。私が彼なら、近くに敵が現れれば撃退に全力を尽くす。それができないのは、単純に近くに敵の拠点があるからです。もしも、今撃退に部隊を出せば、こちらにその場所に入り口があると教えるようなものです。だから、私達がいなくなるのを待っているのでしょう」
「確かに……でも、前みたいに魔法陣で召喚すれば……」

 そのエミルの疑問に、紅蓮がすぐに答えた。

「そうですね。使えれば、使っているでしょう。ですが、私ならあの召喚用の魔法陣を自分の近くに出せるようには設定しません」
「どうして?」

 彼女の言葉に不思議そうに首を傾げたエミル。

 それを見て、紅蓮はため息混じりに言葉を続ける。

「自分の周囲に使用できると言うことはリスクになります。それはおそらく、あの魔法陣はモンスター専用の移動システムではない。だから、貴女の前で彼女も移動できた……つまりです。あの魔法陣はモンスターを生み出しすものではなく、入って出るだけの簡単な転移システムなんですよ。おそらくは、私達でも誰でも使用できる――ただ、それには何らかの段取りが必要になる」
「ちょ、ちょっと待って! それはつまり、あの男にしか使えない特別なシステムじゃないってこと!?」

 頷いた紅蓮はエミルの顔を見上げた。

「――プレイヤーには一人一人に個体判別用にシリアルナンバーが設定されています。私なら01貴女なら02の様に、個人を個別に判別できるようになっていて、それが数百万人単位で決まっています。それはモンスターも同じなのです。ただ違うのは種族を問わず、数に応じてその数字がランダムで設定され、撃破されるとそのシリアルナンバーも消失します」
「――ッ!?」

 彼女の言葉を聞いて、何かに気が付いた様に目を見開いたエミル。

 そんな彼女の様子に紅蓮は満足そうに、口元に微かな笑みを浮かべた。

「そうか! プレイヤーの判別は可能だとしても、ランダムでシステムが勝手にシリアルナンバーを設定し、その削除も行うモンスターの方が特定のモンスターだけをテレポートさせるのは不可能って事ね! だから紅蓮さん達は、魔法陣は特定の対象を選択していないと判断したのね」
「そうです。つまり、我々プレイヤーより複雑なナンバリングシステムを使用しているモンスターを転移させた時点で、あの魔法陣は特定の方法さえ分かれば誰でも使用できるものだと判断できます。そして、今までの狼の覆面の彼は、そういう不安要素を片っ端から排除しているいわゆる完璧主義者です。そんな彼が相手に利用されるかもしれないシステムを、自身の周囲に使用できるようにしているはずがありません」

 確かに紅蓮の言う通りかもしれない。このゲーム内に運営サイドのプレイヤーは、ライラなどがすでに確認されている。
 しかし、それ以外が動いていないと考えるのは、不用心というものだろう。だが、もちろんそんなことを考えていない彼ではないのは今までの出来事を考えていれば良く分かる。

 エミルも彼女の意見には納得しているのか深く頷いていると、そこに漆黒の馬に乗ったバロンとフィリスがやってきた。
 前に乗っているバロンの表情は不機嫌そのものと言った感じで、それを一緒に乗っているフィリスがなだめているという様子だ。
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