694 / 815
太陽を司る巨竜3
しおりを挟む
だが、この世界はゲームであり現実ではない。地面はある程度の深さはあるが、良くても20から30メートル程度で、それより先は土ではく数字の羅列する虚無の空間。
とはいえ。そうしなければ、世界に広がる地表に広がる広大なフィールドを含め、多くのプレイヤーによって、データ量が膨大になり過ぎてサーバーを維持することができなくなる。
もちろん。それでは地下に入り組んだダンジョンなどは作れない。
だからこそ、例外を設けている。その条件とは地表に建物があるか、地下に伸びる建物の直上に出入り口を設置することだ。これにより限定的に地下の仕様が追加され、地下にも建物を伸ばすことが可能になるのだ。
だが、ここにはその建物も出入り口もない。つまり、エミルや紅蓮の考えていることは、何も発見できない時点で真っ向から否定されていることになるのである。
だとしても。この森以外に建物を隠すとすると、その難易度は格段に上がる。
千代に死霊系のモンスターが多いのはその土地にある。街の周囲は殆どが平地か、その他にも荒野が広がっている。
つまり、生命が生息できる環境にはかけ離れている。その為、地面から這い出てくるゾンビやスケルトンと言ったモンスターの巣窟になってしまっていた。そんな場所の地下に何かを造るなど、見つけて下さいと言っているようなものだろう。
エミルの側にきた紅蓮は、難しい表現をしながらエミルに告げた。
「こんなに探して手掛かりがないのも変ですが――気が付いていますか? これだけの人員を動員していると言うのに、敵がなんの動きを見せないというのはおかしいとは思いませんか?」
「ええ、そうですよね。やっぱり紅蓮さんもこの場所には敵の拠点がないと感じているんですね」
だが、そのエミルの言葉に紅蓮は首を横に振った。
「――違います。敵の拠点は間違いなく、この辺りにあるはずです。私が彼なら、近くに敵が現れれば撃退に全力を尽くす。それができないのは、単純に近くに敵の拠点があるからです。もしも、今撃退に部隊を出せば、こちらにその場所に入り口があると教えるようなものです。だから、私達がいなくなるのを待っているのでしょう」
「確かに……でも、前みたいに魔法陣で召喚すれば……」
そのエミルの疑問に、紅蓮がすぐに答えた。
「そうですね。使えれば、使っているでしょう。ですが、私ならあの召喚用の魔法陣を自分の近くに出せるようには設定しません」
「どうして?」
彼女の言葉に不思議そうに首を傾げたエミル。
それを見て、紅蓮はため息混じりに言葉を続ける。
「自分の周囲に使用できると言うことはリスクになります。それはおそらく、あの魔法陣はモンスター専用の移動システムではない。だから、貴女の前で彼女も移動できた……つまりです。あの魔法陣はモンスターを生み出しすものではなく、入って出るだけの簡単な転移システムなんですよ。おそらくは、私達でも誰でも使用できる――ただ、それには何らかの段取りが必要になる」
「ちょ、ちょっと待って! それはつまり、あの男にしか使えない特別なシステムじゃないってこと!?」
頷いた紅蓮はエミルの顔を見上げた。
「――プレイヤーには一人一人に個体判別用にシリアルナンバーが設定されています。私なら01貴女なら02の様に、個人を個別に判別できるようになっていて、それが数百万人単位で決まっています。それはモンスターも同じなのです。ただ違うのは種族を問わず、数に応じてその数字がランダムで設定され、撃破されるとそのシリアルナンバーも消失します」
「――ッ!?」
彼女の言葉を聞いて、何かに気が付いた様に目を見開いたエミル。
そんな彼女の様子に紅蓮は満足そうに、口元に微かな笑みを浮かべた。
「そうか! プレイヤーの判別は可能だとしても、ランダムでシステムが勝手にシリアルナンバーを設定し、その削除も行うモンスターの方が特定のモンスターだけをテレポートさせるのは不可能って事ね! だから紅蓮さん達は、魔法陣は特定の対象を選択していないと判断したのね」
「そうです。つまり、我々プレイヤーより複雑なナンバリングシステムを使用しているモンスターを転移させた時点で、あの魔法陣は特定の方法さえ分かれば誰でも使用できるものだと判断できます。そして、今までの狼の覆面の彼は、そういう不安要素を片っ端から排除しているいわゆる完璧主義者です。そんな彼が相手に利用されるかもしれないシステムを、自身の周囲に使用できるようにしているはずがありません」
確かに紅蓮の言う通りかもしれない。このゲーム内に運営サイドのプレイヤーは、ライラなどがすでに確認されている。
しかし、それ以外が動いていないと考えるのは、不用心というものだろう。だが、もちろんそんなことを考えていない彼ではないのは今までの出来事を考えていれば良く分かる。
エミルも彼女の意見には納得しているのか深く頷いていると、そこに漆黒の馬に乗ったバロンとフィリスがやってきた。
前に乗っているバロンの表情は不機嫌そのものと言った感じで、それを一緒に乗っているフィリスがなだめているという様子だ。
とはいえ。そうしなければ、世界に広がる地表に広がる広大なフィールドを含め、多くのプレイヤーによって、データ量が膨大になり過ぎてサーバーを維持することができなくなる。
もちろん。それでは地下に入り組んだダンジョンなどは作れない。
だからこそ、例外を設けている。その条件とは地表に建物があるか、地下に伸びる建物の直上に出入り口を設置することだ。これにより限定的に地下の仕様が追加され、地下にも建物を伸ばすことが可能になるのだ。
だが、ここにはその建物も出入り口もない。つまり、エミルや紅蓮の考えていることは、何も発見できない時点で真っ向から否定されていることになるのである。
だとしても。この森以外に建物を隠すとすると、その難易度は格段に上がる。
千代に死霊系のモンスターが多いのはその土地にある。街の周囲は殆どが平地か、その他にも荒野が広がっている。
つまり、生命が生息できる環境にはかけ離れている。その為、地面から這い出てくるゾンビやスケルトンと言ったモンスターの巣窟になってしまっていた。そんな場所の地下に何かを造るなど、見つけて下さいと言っているようなものだろう。
エミルの側にきた紅蓮は、難しい表現をしながらエミルに告げた。
「こんなに探して手掛かりがないのも変ですが――気が付いていますか? これだけの人員を動員していると言うのに、敵がなんの動きを見せないというのはおかしいとは思いませんか?」
「ええ、そうですよね。やっぱり紅蓮さんもこの場所には敵の拠点がないと感じているんですね」
だが、そのエミルの言葉に紅蓮は首を横に振った。
「――違います。敵の拠点は間違いなく、この辺りにあるはずです。私が彼なら、近くに敵が現れれば撃退に全力を尽くす。それができないのは、単純に近くに敵の拠点があるからです。もしも、今撃退に部隊を出せば、こちらにその場所に入り口があると教えるようなものです。だから、私達がいなくなるのを待っているのでしょう」
「確かに……でも、前みたいに魔法陣で召喚すれば……」
そのエミルの疑問に、紅蓮がすぐに答えた。
「そうですね。使えれば、使っているでしょう。ですが、私ならあの召喚用の魔法陣を自分の近くに出せるようには設定しません」
「どうして?」
彼女の言葉に不思議そうに首を傾げたエミル。
それを見て、紅蓮はため息混じりに言葉を続ける。
「自分の周囲に使用できると言うことはリスクになります。それはおそらく、あの魔法陣はモンスター専用の移動システムではない。だから、貴女の前で彼女も移動できた……つまりです。あの魔法陣はモンスターを生み出しすものではなく、入って出るだけの簡単な転移システムなんですよ。おそらくは、私達でも誰でも使用できる――ただ、それには何らかの段取りが必要になる」
「ちょ、ちょっと待って! それはつまり、あの男にしか使えない特別なシステムじゃないってこと!?」
頷いた紅蓮はエミルの顔を見上げた。
「――プレイヤーには一人一人に個体判別用にシリアルナンバーが設定されています。私なら01貴女なら02の様に、個人を個別に判別できるようになっていて、それが数百万人単位で決まっています。それはモンスターも同じなのです。ただ違うのは種族を問わず、数に応じてその数字がランダムで設定され、撃破されるとそのシリアルナンバーも消失します」
「――ッ!?」
彼女の言葉を聞いて、何かに気が付いた様に目を見開いたエミル。
そんな彼女の様子に紅蓮は満足そうに、口元に微かな笑みを浮かべた。
「そうか! プレイヤーの判別は可能だとしても、ランダムでシステムが勝手にシリアルナンバーを設定し、その削除も行うモンスターの方が特定のモンスターだけをテレポートさせるのは不可能って事ね! だから紅蓮さん達は、魔法陣は特定の対象を選択していないと判断したのね」
「そうです。つまり、我々プレイヤーより複雑なナンバリングシステムを使用しているモンスターを転移させた時点で、あの魔法陣は特定の方法さえ分かれば誰でも使用できるものだと判断できます。そして、今までの狼の覆面の彼は、そういう不安要素を片っ端から排除しているいわゆる完璧主義者です。そんな彼が相手に利用されるかもしれないシステムを、自身の周囲に使用できるようにしているはずがありません」
確かに紅蓮の言う通りかもしれない。このゲーム内に運営サイドのプレイヤーは、ライラなどがすでに確認されている。
しかし、それ以外が動いていないと考えるのは、不用心というものだろう。だが、もちろんそんなことを考えていない彼ではないのは今までの出来事を考えていれば良く分かる。
エミルも彼女の意見には納得しているのか深く頷いていると、そこに漆黒の馬に乗ったバロンとフィリスがやってきた。
前に乗っているバロンの表情は不機嫌そのものと言った感じで、それを一緒に乗っているフィリスがなだめているという様子だ。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
改大和型戦艦一番艦「若狭」抜錨す
みにみ
歴史・時代
史実の第二次世界大戦が起きず、各国は技術力を誇示するための
「第二次海軍休日」崩壊後の無制限建艦競争に突入した
航空機技術も発達したが、それ以上に電子射撃装置が劇的に進化。
航空攻撃を無力化する防御陣形が確立されたことで、海戦の決定打は再び「巨大な砲」へと回帰した。
そんな中⑤計画で建造された改大和型戦艦「若狭」 彼女が歩む太平洋の航跡は
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる