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太陽を司る巨竜4
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エミル達が理由を聞くよりも早く、不機嫌そうなバロンが苛立ちながら紅蓮に告げる。
「早く周りの雑魚どもに、この場所から離れる様に指示を出せ! デュランの野郎が俺様に『死にたくなければ、この場所から早く離れた方がいい』なんてほざきやがった」
「それはどういう……」
エミルが聞き返そうとした直後、紅蓮が周囲のプレイヤーがざわめき出したのを見て素早く白雪を呼び付けて避難の指示を出すと、周囲のプレイヤー達に向けて声を大にして叫んだ。
「皆さん! 各自の判断で撤退を開始して下さい!」
彼女の声に周りのプレイヤー達も『撤退』と叫んで異変に気付いていない者に知らせる。
地面がひび割れじわじわと盛り上がり、地面の中から巨大な何かが姿を現す。
赤い鎧の様な皮膚は、巨大な壁の様にプレイヤー達を寸断するが、まだ大部分が地面に隠れており全長を知るには全く足りない。
突如現れた物体に動揺しながら、影虎の出した飛竜や自身の召喚した馬で、素早く距離を取る。
ここら辺の対応力の高さは、さすがは高レベルプレイヤーの多い千代のプレイヤー達だ。始まりの街なら、殆どのプレイヤーが対応できずに、大半が撃破されてしまっていたに違いない。
すると、出現したその赤い鎧のような生物の皮膚から突如として炎が吹き上がった。火山の噴火の様に一気に燃え上がる炎のその物凄い勢いに、プレイヤー達は更に距離を取る。エミルや紅蓮はライトアーマードラゴンと雲に乗って、空中からその様子を固唾を呑んで見守っている。
だが、出現した赤い鎧の様な皮膚から炎を噴き出した生物は活動を止めた。まるで山火事の様に激しく燃え上がる炎に、その場にいたプレイヤー達もただその光景を見ているしかない。
しかし、その中で逸早く動いたのは紅蓮だった。雲に乗ってエミルの横に並んでいた紅蓮は、背中に背負っていた鞘から刀を抜き、辺りにいる者達に叫ぶ。
「敵が活動を停止している今が好機です。一気に畳み掛けましょう!」
彼女は知っていたのだろう。この姿を現したあの巨体と真っ向から戦って、自分達の出すであろう損害を。だからこそ、出てきた直後で活動が鈍い今が一番のチャンスであると……。
紅蓮の言葉に我を取り戻したプレイヤー達が声を上げ、一斉に攻撃を開始した。各ギルドのギルドマスター達が自分のギルドメンバーに指示を出し、我先にと切り込んでいく。
しかし、その皮膚からごうごうと吹き出す炎に、なかなか決定打を与えられない。いや、あまりにも巨大過ぎるその体にはダメージを与えられているのかさえ怪しいものだ。
エミルもリントヴルムを出して攻撃に参加する。地上ではデイビッドは武器スキルのアマテラス。
ミレイニはアレキサンダーの炎とギルガメシュの風を巻き起こす能力を合わせ、巨大な炎の渦を発生させて攻撃している。
三人が属性攻撃をしているのだが、それとは対照的にエリエは炎の勢いの合間を見極め、手数の多い攻撃を一瞬に叩き込む。
手数の多さと突きの正確さは、全プレイヤーの中でもエリエの右に出る者はいないだろう。何故なら、このゲームには現実世界での身体能力も大きく関係しているからだ――。
メルディウスも炎の中に勇猛果敢に飛び込んでは、ベルセルクを振り抜いて大きな爆発を起こして飛び出してくる。出た直後に小虎がヒールストーンでHPを回復して、全く躊躇なく炎の中に再び飛び込んで行く姿はまさに狂戦士そのものと言った感じだった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
ギルドマスターの炎に飛び込み何度も攻撃する姿に、感化されたギルドの参謀的な存在の剛も地面に埋まっている岩を抱きかかえるようにして持ち上げた。
それを頭上に掲げると、勢い良く炎を纏う生物にぶん投げる。その巨大な岩石が直撃した直後、少し動いた気がする。
だが、それはおかしい。システム上では、その場に存在するオブジェクトは武器に使用してもそのダメージは最低値の『1』でしかなく、そのダメージはどんなに速度を上げても増えることはない。
しかし、それを可能にするのが彼の持つ固有スキル『怪力』である。その能力はシンプルで、存在するオブジェクトを武器へと変質させる能力。その為、通常なら針で刺された程度のダメージしかないオブジェクトが強力な武器に変わる。
これと同じような効果を持つ、メルキュールのギルドマスターのダイロスが使う固有スキル『豪腕』の能力は似ているが同一ではない。剛の『怪力』がダメージが最低値のオブジェクトに使えるのとは違って、ダイロスの『豪腕』は武器の威力を一撃だけ強化するスキルなのだ。
そんな剛とメルディウスに触発され、ギルドのメンバーが次々に弓などの遠距離武器で攻撃する。しかし、その殆どが激しく燃え上がる炎に阻まれ、効果的なダメージを与えているような感じはない。
「早く周りの雑魚どもに、この場所から離れる様に指示を出せ! デュランの野郎が俺様に『死にたくなければ、この場所から早く離れた方がいい』なんてほざきやがった」
「それはどういう……」
エミルが聞き返そうとした直後、紅蓮が周囲のプレイヤーがざわめき出したのを見て素早く白雪を呼び付けて避難の指示を出すと、周囲のプレイヤー達に向けて声を大にして叫んだ。
「皆さん! 各自の判断で撤退を開始して下さい!」
彼女の声に周りのプレイヤー達も『撤退』と叫んで異変に気付いていない者に知らせる。
地面がひび割れじわじわと盛り上がり、地面の中から巨大な何かが姿を現す。
赤い鎧の様な皮膚は、巨大な壁の様にプレイヤー達を寸断するが、まだ大部分が地面に隠れており全長を知るには全く足りない。
突如現れた物体に動揺しながら、影虎の出した飛竜や自身の召喚した馬で、素早く距離を取る。
ここら辺の対応力の高さは、さすがは高レベルプレイヤーの多い千代のプレイヤー達だ。始まりの街なら、殆どのプレイヤーが対応できずに、大半が撃破されてしまっていたに違いない。
すると、出現したその赤い鎧のような生物の皮膚から突如として炎が吹き上がった。火山の噴火の様に一気に燃え上がる炎のその物凄い勢いに、プレイヤー達は更に距離を取る。エミルや紅蓮はライトアーマードラゴンと雲に乗って、空中からその様子を固唾を呑んで見守っている。
だが、出現した赤い鎧の様な皮膚から炎を噴き出した生物は活動を止めた。まるで山火事の様に激しく燃え上がる炎に、その場にいたプレイヤー達もただその光景を見ているしかない。
しかし、その中で逸早く動いたのは紅蓮だった。雲に乗ってエミルの横に並んでいた紅蓮は、背中に背負っていた鞘から刀を抜き、辺りにいる者達に叫ぶ。
「敵が活動を停止している今が好機です。一気に畳み掛けましょう!」
彼女は知っていたのだろう。この姿を現したあの巨体と真っ向から戦って、自分達の出すであろう損害を。だからこそ、出てきた直後で活動が鈍い今が一番のチャンスであると……。
紅蓮の言葉に我を取り戻したプレイヤー達が声を上げ、一斉に攻撃を開始した。各ギルドのギルドマスター達が自分のギルドメンバーに指示を出し、我先にと切り込んでいく。
しかし、その皮膚からごうごうと吹き出す炎に、なかなか決定打を与えられない。いや、あまりにも巨大過ぎるその体にはダメージを与えられているのかさえ怪しいものだ。
エミルもリントヴルムを出して攻撃に参加する。地上ではデイビッドは武器スキルのアマテラス。
ミレイニはアレキサンダーの炎とギルガメシュの風を巻き起こす能力を合わせ、巨大な炎の渦を発生させて攻撃している。
三人が属性攻撃をしているのだが、それとは対照的にエリエは炎の勢いの合間を見極め、手数の多い攻撃を一瞬に叩き込む。
手数の多さと突きの正確さは、全プレイヤーの中でもエリエの右に出る者はいないだろう。何故なら、このゲームには現実世界での身体能力も大きく関係しているからだ――。
メルディウスも炎の中に勇猛果敢に飛び込んでは、ベルセルクを振り抜いて大きな爆発を起こして飛び出してくる。出た直後に小虎がヒールストーンでHPを回復して、全く躊躇なく炎の中に再び飛び込んで行く姿はまさに狂戦士そのものと言った感じだった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
ギルドマスターの炎に飛び込み何度も攻撃する姿に、感化されたギルドの参謀的な存在の剛も地面に埋まっている岩を抱きかかえるようにして持ち上げた。
それを頭上に掲げると、勢い良く炎を纏う生物にぶん投げる。その巨大な岩石が直撃した直後、少し動いた気がする。
だが、それはおかしい。システム上では、その場に存在するオブジェクトは武器に使用してもそのダメージは最低値の『1』でしかなく、そのダメージはどんなに速度を上げても増えることはない。
しかし、それを可能にするのが彼の持つ固有スキル『怪力』である。その能力はシンプルで、存在するオブジェクトを武器へと変質させる能力。その為、通常なら針で刺された程度のダメージしかないオブジェクトが強力な武器に変わる。
これと同じような効果を持つ、メルキュールのギルドマスターのダイロスが使う固有スキル『豪腕』の能力は似ているが同一ではない。剛の『怪力』がダメージが最低値のオブジェクトに使えるのとは違って、ダイロスの『豪腕』は武器の威力を一撃だけ強化するスキルなのだ。
そんな剛とメルディウスに触発され、ギルドのメンバーが次々に弓などの遠距離武器で攻撃する。しかし、その殆どが激しく燃え上がる炎に阻まれ、効果的なダメージを与えているような感じはない。
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