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太陽を司る巨竜7
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木々を薙ぎ倒し周囲に土煙を上げながら、背中から激しく地面に叩きつけられたレイニールだったが、それでも炎を吐くのを止めない。ここまでくると、その執念の凄まじさに感服するばかりだ……。
向かい合ったまま近距離でレイニールの炎を受けた巨人は堪らずレイニール右足から左手を放すと、背中に背負っていた盾でレイニールの口から吐かれている炎を防ぐ。
徐々に上にいく炎を追って盾で顔を防いだ直後、それを待っていたと言わんばかりに、レイニールの体が金色に光って巨人の眼の前から一瞬レイニールの姿が消えた。
もちろん。消えたわけではなく、ただ小さなドラゴンの状態に変化しただけだ。
「我輩から一瞬でも目を離したお前の負けじゃ!!」
巨人の手を逃れたレイニールは空中で回転して体勢を立て直すと、再びその体を輝かせ巨竜の姿に戻って目標を失って動揺した様子の巨人に体を打ち付け、その巨体を地面に押し倒して今度はレイニールの方が巨人を押さえ込む。
レイニールに押さえ込まれた巨人が暴れる度に、レイニールが拳で殴り付けて黙らせる。
だが、巨大なドラゴンと巨人が暴れ回っていれば、周囲にいたプレイヤー達は逃げ惑うしか方法などない。
地面を逃げ惑うプレイヤー達を見て、レイニールは対峙している巨人の体をがっしりと掴むと、翼を激しく動かして空中に舞い上がる。
レイニールはこのまま戦っていたら、プレイヤーの中から犠牲を出すと分かっていたのだろう。そして、それは主である星が最も嫌がることであるのも同時に知っていた。だからこそ、このままこの場所で戦うよりも、この場を離れて戦った方が得策だと判断したのだ――。
そして空中にいるリントヴルムの背に乗ったエミルに叫ぶ。
「エミル! あやつがここに現れたということは、必ず近くに主がいるはず――主を探せ! おそらく。奴を倒すにはゲームマスター権限を持った主が必要なはずじゃ! それでは頼んだぞ!!」
頷くエミルの顔を見たレイニールは持ち上げた巨人を抱えたまま、その場を離れていった。
その後ろ姿を見送ったエミルは、すぐに地上にいる紅蓮達に向かって告げる。
「この場所に星ちゃんが必ずいるはずです。彼女でなければ――剣聖の力を使わなければ、あのドラゴンを止めることができません。全力であの子を探して下さい!」
「しかし、あれほど探していなかったということは、探すのには少し時間が掛かりますよ? それまで、あの上空のドラゴンが黙っていてくれるとは思えません」
紅蓮はエミルの言葉を聞いて、そう冷静に言葉を返した。
確かに彼女の言う通りだ。さっきまで、千代のプレイヤーを挙げて全力で星を捜索していたのだ。それでも見つからなかった星を、この数キロにも渡るほどの巨体を持ったドラゴンを上空に放置して捜索することなどできない。
だが、そんな彼女に向かってエミルは微かな笑みを浮かべると。
「――私が時間を稼ぎます。命に代えても……」
「それは賛同しかねます。時間稼ぎをするなら、貴女よりも私の方が適任です……私の不死の能力をお忘れですか?」
まあ、紅蓮ならば味方が危険に晒されると知れば、そう出てくることは分かっていた。
紅蓮の固有スキル『イモータル』はダメージが致死量に達しても、自動的にそれを感知してMAXまで回復する。
痛覚はカットできないが、それでも撃破されないということはゲーム世界では最大のアドバンテージと言える。
だが、それは有利に働くのは実力がきっこうしている相手の場合だ――それが己との実力差に幅が広がれば広がるほど、顕著に出てくる。
これがモニターなどでするゲームならば関係ない。問題なのはこのゲームには『痛覚』が存在するということだ。
本来は痛覚が一定値を超えれば気絶し強制ログアウトとなり、アバターも近くの街に戻る。しかし、外部との接続を切られている今の状況では、その全ての機能が作動しない。
つまり、ボス級の敵を痛覚レベルを軽減されているとはいえ、死に匹敵する苦痛を受けながら相手の攻撃をエンドレスで受け続けるというわけだ。
いくらゲーム世界であり、初期の身体能力やステータスなどが均等なアバターを使用しているとはいえ。その容姿は現実世界に依存するものだ――紅蓮のその小学生の様な華奢な体にいつ終わるか分からない苦痛を与えることはできない。
本人がいくらエミルよりも年上だと言っていても、それはあくまで自己申告によるものであり。その真相はリアルの彼女に直接会ってみなければ分からないのだ。
自分が囮役をやると買って出た紅蓮に向かって、エミルは首を横に振った。
「それはできないわ。紅蓮さんの攻撃は手数の多さで圧倒する。言うなれば、ゲームシステムの最低値ダメージを利用した戦闘方法で、一撃のダメージは私には遠く及ばない」
刀の柄に手を掛けて一気に不機嫌になった紅蓮の体を纏う雰囲気に、エミルは両手を前に突き出して静止するよう促す。
向かい合ったまま近距離でレイニールの炎を受けた巨人は堪らずレイニール右足から左手を放すと、背中に背負っていた盾でレイニールの口から吐かれている炎を防ぐ。
徐々に上にいく炎を追って盾で顔を防いだ直後、それを待っていたと言わんばかりに、レイニールの体が金色に光って巨人の眼の前から一瞬レイニールの姿が消えた。
もちろん。消えたわけではなく、ただ小さなドラゴンの状態に変化しただけだ。
「我輩から一瞬でも目を離したお前の負けじゃ!!」
巨人の手を逃れたレイニールは空中で回転して体勢を立て直すと、再びその体を輝かせ巨竜の姿に戻って目標を失って動揺した様子の巨人に体を打ち付け、その巨体を地面に押し倒して今度はレイニールの方が巨人を押さえ込む。
レイニールに押さえ込まれた巨人が暴れる度に、レイニールが拳で殴り付けて黙らせる。
だが、巨大なドラゴンと巨人が暴れ回っていれば、周囲にいたプレイヤー達は逃げ惑うしか方法などない。
地面を逃げ惑うプレイヤー達を見て、レイニールは対峙している巨人の体をがっしりと掴むと、翼を激しく動かして空中に舞い上がる。
レイニールはこのまま戦っていたら、プレイヤーの中から犠牲を出すと分かっていたのだろう。そして、それは主である星が最も嫌がることであるのも同時に知っていた。だからこそ、このままこの場所で戦うよりも、この場を離れて戦った方が得策だと判断したのだ――。
そして空中にいるリントヴルムの背に乗ったエミルに叫ぶ。
「エミル! あやつがここに現れたということは、必ず近くに主がいるはず――主を探せ! おそらく。奴を倒すにはゲームマスター権限を持った主が必要なはずじゃ! それでは頼んだぞ!!」
頷くエミルの顔を見たレイニールは持ち上げた巨人を抱えたまま、その場を離れていった。
その後ろ姿を見送ったエミルは、すぐに地上にいる紅蓮達に向かって告げる。
「この場所に星ちゃんが必ずいるはずです。彼女でなければ――剣聖の力を使わなければ、あのドラゴンを止めることができません。全力であの子を探して下さい!」
「しかし、あれほど探していなかったということは、探すのには少し時間が掛かりますよ? それまで、あの上空のドラゴンが黙っていてくれるとは思えません」
紅蓮はエミルの言葉を聞いて、そう冷静に言葉を返した。
確かに彼女の言う通りだ。さっきまで、千代のプレイヤーを挙げて全力で星を捜索していたのだ。それでも見つからなかった星を、この数キロにも渡るほどの巨体を持ったドラゴンを上空に放置して捜索することなどできない。
だが、そんな彼女に向かってエミルは微かな笑みを浮かべると。
「――私が時間を稼ぎます。命に代えても……」
「それは賛同しかねます。時間稼ぎをするなら、貴女よりも私の方が適任です……私の不死の能力をお忘れですか?」
まあ、紅蓮ならば味方が危険に晒されると知れば、そう出てくることは分かっていた。
紅蓮の固有スキル『イモータル』はダメージが致死量に達しても、自動的にそれを感知してMAXまで回復する。
痛覚はカットできないが、それでも撃破されないということはゲーム世界では最大のアドバンテージと言える。
だが、それは有利に働くのは実力がきっこうしている相手の場合だ――それが己との実力差に幅が広がれば広がるほど、顕著に出てくる。
これがモニターなどでするゲームならば関係ない。問題なのはこのゲームには『痛覚』が存在するということだ。
本来は痛覚が一定値を超えれば気絶し強制ログアウトとなり、アバターも近くの街に戻る。しかし、外部との接続を切られている今の状況では、その全ての機能が作動しない。
つまり、ボス級の敵を痛覚レベルを軽減されているとはいえ、死に匹敵する苦痛を受けながら相手の攻撃をエンドレスで受け続けるというわけだ。
いくらゲーム世界であり、初期の身体能力やステータスなどが均等なアバターを使用しているとはいえ。その容姿は現実世界に依存するものだ――紅蓮のその小学生の様な華奢な体にいつ終わるか分からない苦痛を与えることはできない。
本人がいくらエミルよりも年上だと言っていても、それはあくまで自己申告によるものであり。その真相はリアルの彼女に直接会ってみなければ分からないのだ。
自分が囮役をやると買って出た紅蓮に向かって、エミルは首を横に振った。
「それはできないわ。紅蓮さんの攻撃は手数の多さで圧倒する。言うなれば、ゲームシステムの最低値ダメージを利用した戦闘方法で、一撃のダメージは私には遠く及ばない」
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