異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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ギャンブルルーム

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 ノエルの発言を元に推測したリオネはさらに言葉を続けた。

「様々な娯楽施設の中でも特にお金を使うとなればギャンブルか買い物。もし何か買い物をしていたとすれば部屋に高価なものが置いてあるはずです。しかしそのようなものは見当たらなかった。ということはギャンブルにお金を使っていた可能性は十分にあります」
「まぁ、それはディートが乗船時にある程度の大金を持っていた前提の話だけどね。それでも調べる価値はあるかもしれないわ。とにかくギャンブルルームに行ってみる?」

 リオネに対しノエルはそう言いながら立ち上がる。
 これからの行動が定まったことで焦る気持ちが軽くなったリオネは未来を見据えるような真っ直ぐな目で頷いた。

「ええ、行きましょう」

 そして二人は食堂を出て三階にあるギャンブルルームに向かう。
 到着し中に入ると、昨日と同じように多くの人が集まり異様な熱気が溢れかえっていた。
 改めて見ると民家ほどの大きさの空間に幾つかの机を設置し、多くの人が机を取り囲むようにそれぞれのギャンブルを楽しんでいる。
 カードやルーレットなど様々な種類があり、机の上には通貨になっている金貨でも銀貨でもないコインが大量に置いてあった。
 どうやらコインを購入し賭けるシステムらしい。

「独特な空気ですね」

 ギャンブルルームに入室したリオネが周囲を眺めながら呟いた。
 するとノエルは目を輝かせて返答する。

「やっぱりいい雰囲気ね。欲望と破滅への気配が入り混じってるって感じ。戦場に似てるわ。自分だけは死なないだろう、負けないだろうと思って踏み入るのよ。好んで踏み入るのはジャンキーってやつ。まぁ、そんなこと言いながら戦場もギャンブルも私は嫌いじゃないけどね」
「ノエルもジャンキーじゃないですか。自分の身は大切にしましょうよ」

 呆れながらリオネはそう言い放つ。
 そんなリオネにノエルが問いかけた。

「あれ、リオネはこういう所に来たことないの」
「ないですよ。どんなギャンブルをしているのかも分かりません」
「それじゃあどこをどう調査していいか分からないじゃない。いいわ、簡単に説明するわね。ギャンブルには色々種類はあるんだけど大きく分けると二つ。胴元とプレイヤーが争うものとプレイヤー同士が争うものがあるわ」

 ギャンブルに関する説明をするノエル。だが、言葉の意味がわからずにリオネは首を傾げる。

「胴元?」
「胴元っていうのはギャンブルの主催者よ。この場合だと船が主催しているはずだから胴元はグランマリア号ってことになるわね。プレイヤーはお金を賭ける客のこと。えっとルーレットはわかる?」
「あれですよね」

 そう言いながらリオネはルーレットを開催している机を指さした。
 返答を聞いたノエルは頷きながら説明を続ける。

「そう、胴元の従業員がすり鉢状になっている盤に小さなボールを転がすの。盤の中心には一から三十六までの番号が書かれている窪みがある。プレイヤーはどこにボールが落ちるのかを予測してお金を賭けるのよ。これは胴元とプレイヤーが争うタイプのギャンブルと言えるわね。反対に一対一でお金をかけてプレイヤー同士で争うのがカードギャンブルかな。胴元と争うカードギャンブルもあるんだけどプレイヤー同士で争うものもあるの」
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