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連載
二人目の動機
しおりを挟む「オースティンの動機?」
首を傾げるようにノエルが問いかけるとセブンスは文字を書き足す。
そこに書かれたのはジャンキーという文字だった。
書き終えたセブンスは説明を続ける。
「こいつは確定でディートから麻薬を買っている。オルタールの方はおそらく転売し利益を得るためだろうが、オースティンは自分で使用しているはずだ。早く売ってくれ、金ならいくらでも払う・・・・・・オースティンはそう話していた」
「いや、だから、その話を人前でしていたっていうの?」
再びノエルが問いかけるとセブンスは首を横に振ってから自分の唇を指さした。
「いいや、ディートとオースティンはギャンブルルームの壁際に立ち、小声で話をしていた。だが、俺は唇を読むことができる」
「唇を読む?」
言葉の意味がわからずリオネが首を傾げるとセブンスは得意げに微笑む。
「ああ、そうさ。俺は唇の動きだけで何を話しているのかわかる」
「待ってくださいよ、その時ルーレットのディーラーをしていたんですよね。ルーレットを回しながら、壁際で話している二人の唇を呼んでいたってことですよね。本当に読み取れていたんですか?」
セブンスの言葉が本当なのかどうか確認するリオネ。するとセブンスは右手を開き、左手の人差し指と中指を立てた。おそらく七を表しているのだろう。
「俺の名前はセブンス。同時に七つの行動をこなす男さ」
「・・・・・・何それ、全く意味がわからないわ」
呆れ顔でノエルがそう話すとセブンスは不思議そうな表情で聞き返した。
「あれ? 今のは決め台詞なんだけどな。まぁ簡単に言えば俺は自分を操ることができるんだよ。この魔法をセブンス・マリオネットと呼んでいる。自分の行動をあらかじめ設定して動かす魔法だ。そしてそれは七つまで設定することができる。セブンス・マリオネットを使って俺はルーレットを回しながら客の行動やギャンブルルーム全体を見渡しているのさ」
つまりセブンスはあらかじめルーレットを回すように自分に魔法をかけ、その間自由に動かせる目と頭を使い情報を得ているのだと言う。突然話に出てきた特殊な魔法だったが、彼が持っていた情報を考えるとノエルたちは納得することができた。
「なるほど、その魔法と自身の能力で同時に行動をこなすことができているのね」
「ああ、ちなみにセブンスの名前に因んで付き合っている女も七人いる」
「最低」
怪訝な表情を浮かべてノエルが言い放つ。
しかしセブンスは一切気にせずに微笑んだ。
「全員を幸せにしているんだ。問題ないだろ」
「アンタの恋愛観はどうでもいいわ。オースティンとディートが会話していたのを唇で読み取ったのはわかったわよ。それでオースティンが麻薬を購入し使用しているって確信したわけね。それならオースティンも動機が生まれる」
状況を理解するようにノエルはそう言葉にする。
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