異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?

澤檸檬

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親衛隊解体

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 国王の自室を訪れたウィローに告げられたのは、覆すことのできない決定事項だった。

「国王親衛隊は解体とする。これは正式な決定だ」

 無情に伝えられた国王エクレールの言葉に、ウィローは言葉を失う。
 それはあまりにも早すぎる決断だった。まだ事件が起きてから半日も経っていない、議論をする時間すらなかったはずだ。そもそも国王が報告から即断すること自体異例である。
 ウィローが黙っていると国王は言葉を続けた。

「第四部隊は多くの同志を失い、悲しみに暮れている。ウィロー、お前を審問にかけろという声も多い。そのような状態が続けば、軍が機能しなくなるのも時間の問題だ」
「・・・・・・おっしゃることは重々理解できます。ですが、我々親衛隊は・・・・・・」

 それが不敬な行為だとわかっていながらウィローが言葉を漏らす。それとほぼ同時に部屋の扉が開いた。

「受け入れろ、ウィロー」

 部屋に入ってきた男は挨拶もなく、そう言い放つ。服の上からでも筋肉がわかる程の締まった長身、後ろで束ねた黒い長髪。四十代半ばとは思えぬほどの貫禄を感じるこの男の名前は、ヴェルフェール・メゾーニ。バレンドット国軍を統べる元帥だ。
 ウィローにとって上官に当たる。

「ヴェルフェール元帥・・・・・・」

 ウィローが名前を呼ぶとヴェルフェールは呆れたような表情で口を開いた。

「これは国王様の温情だ。国王様が親衛隊の解体を宣言すれば、それ以上罰されることはない。そうでなければ隊長であるお前は審問にかけられ、最悪の場合首から上がなくなるぞ」

 ヴェルフェールの言っていることは理解できる。大きな収穫なく十一人の死者を出しているウィローには何らかの処罰が下されるだろう。その上で、親衛隊の裏切り行為が疑われている状況では、極刑の可能性も否定できなかった。
 わかっている。わかっているが、簡単に受けれられるものではない。

「ですが・・・・・・このままでは」

 口籠るウィロー。するとヴェルフェールは彼の肩を軽く叩いて、優しく微笑んだ。

「わかっている。お前が一番納得できないことくらい、国王様も俺もわかっているさ。だからこそ、親衛隊を解体するんだ」

 そう言ってからヴェルフェールは国王に視線をやる。

「国王様、先ほど話していた件、実行してもよろしいでしょうか?」
「ああ、よい」

 許可を得たヴェルフェールは改めてウィローに話の続きを聞かせた。

「ウィロー、お前はこの国を出ろ」
「い、一体どういう・・・・・・」

 意味を理解できずにウィローが聞き返す。

「言葉通りだ。既に親衛隊が武器の流れを追っていると知られているだろう。この国の中で調査を続けることは難しい。その上、もう一度罪を被せられれば、庇ってやることも・・・・・・だからこそ、親衛隊の兵を連れて国を出るんだ。この事件を追い続けるために」
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