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本編

第13話_見守る眼差し-7

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食べ終わった食器と氷のうを片付けに蒼矢ソウヤが部屋を出ていくと、葉月ハヅキ啓介ケイスケにテーピングを施しながら、ふたりへ尋ねる。

「さっきはあの子にはぐらかされた気がしたんだけど、実際のところ大丈夫なのかな? 大学生活は」
「!」

問われたふたりは顔を見合わせ、啓介に促されたリョウが口を開いた。

「…髙城タカシロは本当に誤魔化したわけじゃないんです。解決はしてると思います。…一応」

そう断ってから、諒は葉月へごく簡単に、端的に事のあらましを伝えた。
状況を把握した葉月は、少し眉を寄せながら腕を袂にしまった。

「…成程。関係は切れたけど、最後にちょっとひと騒動があったんだね」
「はい。…このまま何も無ければいいと思ってるんですが」
「そうだね。君たち側にはほぼ非は無いわけだから、余程のことが無い限りはこれきりになると願いたいね」

得心して感想を述べつつも、葉月は憂うような面差しを浮かべる。

「入学早々、騒がしくなったもんだね。…やっぱり、穏やかな日常はなかなか送れないね、彼は」
「…というと?」
「蒼矢は人よりちょっと受難体質というか、本人が望んでなくてもなにかとトラブルに巻き込まれやすくて…」
「ああ…なんとなくわかります。周りが勝手に騒いじゃう感じですね」
「武道習ってるのも、そういう理由があるんすかね?」
「うん、そうだね。僕の道場では古武術を基にした護身術を主に教えてて、彼も最初はそれが目的で入門してくれたんだけど、筋が良いから実戦に近い格闘術も個別に教えたりもしてるよ。…もちろん、本当に何かあった時のために、だけどね」
「もう長いんすか?」
「通ってくれ始めてからもうすぐ3年になるね。自分の教え子が少しずつ上達していくのももちろんだけど、単純に背格好が成長していくのを見守るのも感慨深いよ。勝手に親になったような気分になって、密かに嬉しく思ってるんだ。…本人には内緒だよ」
「良い関係っすね!」
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