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本編
第8話_王室教師と-2
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ソウヤが護衛機として造られたアンドロイドではないことは、宮中から政府中枢の一部まで知れ渡っていた。
しかしながら元セクサロイドだという事実は、勘付いたサンチェス博士以外、納品された王家へまでも秘匿されていた。
見た目的に護衛機とは信じられ難いことへは甘んじる上で、秘書や給仕アンドロイドと推測されるのならば、それをわざわざ訂正する必要は無い。
また、あまり外聞が宜しくないだろう出自をひけらかしたところで、ソウヤにとって1ミリもメリットは無い。
そもそも、裏にどういう実態があろうともスペックはクリアしているので、なんら問題は無い。
などという、ミヤジマ博士の意向があってのことだった。
ソウヤは、王宮へ送り出される折に受けた博士の指示通り、外から聞かれた場合は身の上を隠したり誤魔化したりしていたが、その度に胸がぎくりと縮むような心地を覚えていた。
…なんだか後ろめたい…
…陛下やイツキにまで隠し事をしてるのが、申し訳ない…
そう内で懺悔するソウヤをよそに、イツキ王子はひとつ欠伸をし、目をこする。
「…甘いもの食べたら、眠くなってきちゃった」
そして、ふらりと立ち上がり、ベッドへ歩いていく。
「…! 殿下、まだ勉学の続きがあるのでは?」
「うん…一旦昼寝」
「昼寝は昼過ぎにとるもの、と私は存じ上げておりますが。これではむしろ"二度寝"でございます…!」
慌てて後ろから追いかけるソウヤだったが、王子はベッドへこてんと横になり、すぐに寝入ってしまった。
「殿下…!」
「大丈夫ですよ、もう少しで本日分を終える所でしたし。残りの部分は、課題としてお渡ししておきましょう」
「…いいのですか?」
「ええ。この程度、もはや慣れたものです。殿下はお休みになったことですし、あなたも座ったらいかがです?」
止めようとしたソウヤへユン氏はそう言い、のほほんとカップを傾けた。
部屋の主の許しなくソファへ腰掛けるのはいささか気が引けたものの、ソウヤは迷った末手招きするユン氏に従い、斜め向かいに浅く腰を落とす。
畏まるソウヤへ、ユン氏はにこやかに言葉を掛ける。
「…とても美味しく淹れてありますね。香りがよく立っている。こんなに素晴らしいお茶を用意出来るのに、口に出来ないとは…なんとも複雑な心境になりますね」
「いえ、そのようなことは。元より、私には"食べる"という行為が必要ありませんので…美味しく召し上がって頂けることが、何よりの幸せです」
「なるほど。羨ましいとか、そういう思考にも至らないわけですね。とてもユニークだと、ポジティブに受け止めさせて貰いましょう」
「はい…」
しかしながら元セクサロイドだという事実は、勘付いたサンチェス博士以外、納品された王家へまでも秘匿されていた。
見た目的に護衛機とは信じられ難いことへは甘んじる上で、秘書や給仕アンドロイドと推測されるのならば、それをわざわざ訂正する必要は無い。
また、あまり外聞が宜しくないだろう出自をひけらかしたところで、ソウヤにとって1ミリもメリットは無い。
そもそも、裏にどういう実態があろうともスペックはクリアしているので、なんら問題は無い。
などという、ミヤジマ博士の意向があってのことだった。
ソウヤは、王宮へ送り出される折に受けた博士の指示通り、外から聞かれた場合は身の上を隠したり誤魔化したりしていたが、その度に胸がぎくりと縮むような心地を覚えていた。
…なんだか後ろめたい…
…陛下やイツキにまで隠し事をしてるのが、申し訳ない…
そう内で懺悔するソウヤをよそに、イツキ王子はひとつ欠伸をし、目をこする。
「…甘いもの食べたら、眠くなってきちゃった」
そして、ふらりと立ち上がり、ベッドへ歩いていく。
「…! 殿下、まだ勉学の続きがあるのでは?」
「うん…一旦昼寝」
「昼寝は昼過ぎにとるもの、と私は存じ上げておりますが。これではむしろ"二度寝"でございます…!」
慌てて後ろから追いかけるソウヤだったが、王子はベッドへこてんと横になり、すぐに寝入ってしまった。
「殿下…!」
「大丈夫ですよ、もう少しで本日分を終える所でしたし。残りの部分は、課題としてお渡ししておきましょう」
「…いいのですか?」
「ええ。この程度、もはや慣れたものです。殿下はお休みになったことですし、あなたも座ったらいかがです?」
止めようとしたソウヤへユン氏はそう言い、のほほんとカップを傾けた。
部屋の主の許しなくソファへ腰掛けるのはいささか気が引けたものの、ソウヤは迷った末手招きするユン氏に従い、斜め向かいに浅く腰を落とす。
畏まるソウヤへ、ユン氏はにこやかに言葉を掛ける。
「…とても美味しく淹れてありますね。香りがよく立っている。こんなに素晴らしいお茶を用意出来るのに、口に出来ないとは…なんとも複雑な心境になりますね」
「いえ、そのようなことは。元より、私には"食べる"という行為が必要ありませんので…美味しく召し上がって頂けることが、何よりの幸せです」
「なるほど。羨ましいとか、そういう思考にも至らないわけですね。とてもユニークだと、ポジティブに受け止めさせて貰いましょう」
「はい…」
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