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第6話_寵辱の篭(R18)
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「…くっ…、…!」
[菟葵の異形]の株内へと引き込まれてしまった蒼矢は、なんとか意識を保っていた。
株の内部は細い触手が蜘蛛の巣のように張り巡らされていて、アズライトはその中心に出来たわずかな隙間に、宙吊りの状態で捕らえられていた。
株の内壁から伸びた触手が、足の爪先から太股の付け根まで螺旋状に辿り、股を大きく開かせる。
両腕は頭の後ろに束ねられ、余った触手が胸に巻きついてから後ろへ交差し、無理やり背中を反らされる。
逃れようと身じろぎをすると、動いた部分に更なる触手が絡まっていき、身体を這い進んでいく。
触手には、いぼ状の突起物が無数に並んでいて、戦闘スーツ越しに伝わってくるその形容しがたい質感がアズライトの全身を支配し、常に襲い来る圧迫感と不快感が、装具を呼び出す意思を遠ざける。
「…んっ…」
胸や太腿の付け根に巻きつく触手がうごめくと、引き結んでいた唇からわずかに声が漏れる。
細かく震える獲物の反応を感じ取っているのか、感度の高い部分を探るように、鎖骨や首筋、脇や下腹へ少しずつ流れていく。
「んぅ…っ…!」
太腿に絡む触手が尻の割れ目深くへ入り込み、アズライトは目を細め、眉を歪ませる。
反射的に腰が反り、動きに反応した触手が下腹部や尻を刺激する。
次第に息を弾ませる胸は、太い触手に圧迫されて張り出し、その中心にあるふたつの小さな乳首は、スーツにくっきりと浮き出て薄い布地を押し上げる。
身体の反応を抑えられず、アズライトの頬は上気し、引き結ぶ口の端から吐息が漏れる。
「…っ…!!」
やがて触手の動きは、"ある一点"に集中し始める。
全身に絡むものはそのままに、株の内壁から新たにいくつもの細い触手が形成され、アズライトの身体の中心である局部へ伸びていく。
この[菟葵の異形]はじめ、[異界のもの]たちが『現実世界』の人間を襲う目的は、"生命維持のための食事"である。
[彼ら]の糧となるのは、人間の主に体液――つまり血液や汗など、体内から分泌される液体であればなんでもいいのだが、最も少量で効果的な体液は、男性の精液だった。
[異界]とは全く異なる環境である『現実世界』に長時間体躯を晒すことは得策ではなく、[異界のもの]としても即時に効率よく"食事"をするために、多くの場合は若い成人男性を好んで襲う。
太股の間から伸びた触手が、局部を囲うように辿り、スーツの中におさめられた陰茎の形を浮きあがらせる。
突き出された局部に無数の細い触手が集まり、うごめきながら覆いつくす。
「んぅっ、く…!」
触手はうごめきながら局部を擦り、細かないぼで刺激を与え、次第に硬くなる陰茎を絶えず圧迫する。
局部を囲む太い触手は、陰茎の付け根から掴みむように巻きつき、全体を強く揉み込みながら上向きに引っ張り上げる。
「! ああんっ…!」
強い痛みと快感に襲われ、たまらずアズライトは喘ぎ声を漏らす。
びくりと身体が震え、亀頭部分のスーツが先走りで染みをつくる。
「っや、めろ…!!」
息を乱しながらアズライトが大きくもがくと、胴や胸に巻きつく触手が、その華奢な体躯を強く絞る。
「! あくぅっ…」
人外の凄まじい締めつけに、アズライトの面持ちが苦悶に歪む。
ひとしきり締め上げてすぐに緩められ、落差に気を失いかける。
抵抗する力を失ったアズライトを再び触手が巻き取り、無防備な陰茎を再び襲う。
「あ、んぅ…っ…」
先ほど受けた刺激で陰茎は勃起し、戦闘スーツをつき破らんばかりに押し上げていた。
細い触手の束は、スーツごと陰茎に巻きつき、勃起したそれを根元から扱く。
「あっん…! あぁ、あっ…」
アズライトは薄目を開け、途切れとぎれに喘ぎ声を漏らし続ける。
触手の擦る動きに合わせ、腰が前後に動く。
全身を這い回る触手も、獲物へ絶えず刺激を与え続けていた。
いぼがスーツを通して肌に吸い付き、乳首を、脇腹を、尻を弄ぶ。
あらゆる性感帯が襲われ、アズライトの身体が快感に揺れる。
身体の全てを犯され、昂りが頂点へと差しかかった時、亀頭を弄っていた触手が、スーツ越しに尿道を突き刺す。
「ああうっ…!!」
アズライトの身体は大きく跳ね、突き出された股間がびくびくと震える。
先端に突き刺さった触手が抜かれると、先端で溜まっていた精液が一気に溢れ出る。
陰茎を刺激していた触手の一つがその先端をホースのように形を変え、アズライトの陰茎に喰らいつき、漏れ出す白濁の液をすすり取っていく。
「っ、はぁ、あっ! ……んうっ…」
触手は陰嚢と陰茎をすっぽりと呑み込み、波打つように圧迫しながら吸い続ける。果てた後も動きは止まらず、アズライトに更なる射精を強要していく。
[異形]の攻めを受け入れるしかないアズライトは、息を荒げ艶声を漏らしながらも懸命に意識を保ち続けていた。
すると、彼のすぐ目の前の触手の隙間が膨れ、ずるっと何かが生え出てくる。触手と同じ色をした半透明なそれはゆっくりと人型に形作られ、アズライトの目の前に伸びてきた。
「不躾に私の寝床に潜りこむ鼠を捕えたつもりだったが…お前ではなかったな」
「…[侵略者]…!」
アズライトはわずかに声をあげ、虚ろな目で睨む。
現れた[侵略者]――[海華]は息を乱す獲物を足先から舐めるように観察し、その整った美貌の鼻先まで顔を近づけると、苦しげに半開きになる唇を指の腹で撫ぜた。
「触るな…っ、 っ!!」
逃れようとそむける細い首を掴み、軽く締めあげる。
「んっ…く……」
「どう甚振ってやろうかと思ったが、簡単に殺してしまうのは惜しいな。…これはなかなか愉しめそうだ」
[海華]はにやりと口角をあげると、力無く傾げるアズライトの顎を押さえ、その唇に吸いつき舌を挿入する。
「んぅ…っ」
アズライトは悶えるが、既に全身を犯され力が続かず、すぐに歯列を割られて舌を絡め取られてしまう。
[海華]は[異形]に吊られる痩躯に密着し、華奢でいてしなやかなその肉感を戦闘スーツ越しに確かめるように、触手の隙間を縫って手を滑らせていく。
「んんっ…、んぅっ! …んくっ…!」
温いその感触に、感度を増すアズライトの身体は跳ね、無意識にピクピクと反応し始める。それに呼応するように再び勃起し始めた陰茎は根元までしっかりと触手に咥えられ、収縮を繰り返す筒の中で射精が促されていく。
「っん……!! …っあ…」
二度目の絶頂を迎えたアズライトは[海華]から口を解放され、がくりと頭を垂れた。
ひとしきりアズライトの口腔を弄んだ[海華]は満足気に唾液を飲み干すと、ぐったりと触手に絡むその全身を眺める。[異界の者]たちの過激な凌辱にアズライトの身体は小刻みに震え、舐め回された艶やかな唇から荒く呼吸を弾ませていた。
[海華]は精液を吸い終えた触手を引き抜き、濡れる股間に手を触れる。戦闘スーツは吸いつかれていた形に盛り上がっていて、陰茎を強く撫であげると残りの精液が吐き出され、指に付いたそれを長い舌で舐めとった。
「こうも簡単にセイバーの精液を頂けるとはね…運が良かったか、こいつが特別容易いのか…」
嫌らしく口角を上げながら、[海華]は髪に隠れた獲物の顔を覗き見る。と、何かに気付いて動きを止める。
「…!」
落ちたと思っていたアズライトの両眼は、はっきりと[侵略者]を睨んでいた。
そして、周囲の温度が急激に下がっていく。彼に巻きつく無数の触手の表皮に霜が降り、その形質がみるみる硬くなり、先端から見る間に広がっていく。
凍りついていく[異形]は、自身の異変に虚を突かれたように一時動きを止めた後、轟音とともに激しくのたうち回りだす。
「…ほぅ」
[海華]は、ふいに繰り出してきたアズライトの『凍氷』の能力に薄く感嘆の声を漏らすと、身体を彼から遠ざけ始める。
触手から解放されたアズライトは目を剥くと、大剣の装具『氷柱』を顕現して両手に構え、凍った[異形]を足場に[海華]に飛びかかっていく。薙いだ一振りは[海華]にかわされて当たらず、[異形]の内壁をばっさり抉った。アズライトは空間を漂いながら逃げる[海華]を追い、二度目は切っ先を確実に身体へ食い込ませる。が、剣は貫かれず弾力のある組織に阻まれてしまう。しかし『氷柱』の強烈な凍気が次第にその表皮を変質させ、じわじわと凍りつかせていく。
「いいね、それ」
激しい怒気のこもったアズライトの攻撃と形相を、[海華]は涼しい顔つきで受け止めていた。
そしてぬるりと切っ先から抜け、背面から伸びでた触手に取り込まれると、内壁へと溶け込んでいく。
「待て!!」
追うアズライトは怒りに任せて『氷柱』を大きく振りかぶり、[海華]が消え入った壁に切り込む。切り口は瞬時に凍りついて組織が瓦解し、[異形]の防御形態が崩れていく。
「!? うぉ」
依然外側から硬い外壁を攻撃し続けていたロードナイトとオニキスの目にも異変が届く。[異形]のものであろう悲鳴が轟き、振動と共に硬く固まった触手が再びうごめきだす。驚いて見張る視界に、内側から大きく分断された壁の隙間から、冷気をまとい『氷柱』を携えたアズライトが飛び出てくる。着地して踵を返し、再び[異形]の中へと向かいかけたが体力の限界を迎え、装具はかき消えて身体が崩れ落ちた。
「アズライト!!」
二人はすぐさま駆け寄るが、アズライトは視線を[異形]へと向けていた。
「っ…中に…[侵略者]が…!」
「――!!」
「ロード、護ってろ」
オニキスは『暗虚』に闇の力を溜め、躊躇なく切り口から内部へ突入していく。ロードナイトは動けなくなったアズライトを抱きあげてサルファーの地点まで後退し、彼の動向を見守る。しばらく沈黙が降りた後…完全に凍った[異形]の塊から、オニキスが軽快に抜け出てきた。
固唾を呑むロードナイトに、近付いてくるオニキスは首を横に振った。
「――いねぇ、逃げられた。…残ったこいつはただの抜け殻だ」
「…やられたな…」
ロードナイトは息を吐き出して緊張の糸を解き、アズライトへ目を落とす。
腕に支えられ身体を預けるアズライトは、頬を紅く染め、弱々しく呼吸していた。その傍らで、背中に手酷い打撃を受けたサルファーが、いまだ気を失ったままうつ伏せに横たわっていた。
双方を見、ロードナイトは深く息をつくと、頭を垂れた。
「…戻るか」
重い空気を断つように、オニキスが髪をかき上げながら声をかけた。
[菟葵の異形]の株内へと引き込まれてしまった蒼矢は、なんとか意識を保っていた。
株の内部は細い触手が蜘蛛の巣のように張り巡らされていて、アズライトはその中心に出来たわずかな隙間に、宙吊りの状態で捕らえられていた。
株の内壁から伸びた触手が、足の爪先から太股の付け根まで螺旋状に辿り、股を大きく開かせる。
両腕は頭の後ろに束ねられ、余った触手が胸に巻きついてから後ろへ交差し、無理やり背中を反らされる。
逃れようと身じろぎをすると、動いた部分に更なる触手が絡まっていき、身体を這い進んでいく。
触手には、いぼ状の突起物が無数に並んでいて、戦闘スーツ越しに伝わってくるその形容しがたい質感がアズライトの全身を支配し、常に襲い来る圧迫感と不快感が、装具を呼び出す意思を遠ざける。
「…んっ…」
胸や太腿の付け根に巻きつく触手がうごめくと、引き結んでいた唇からわずかに声が漏れる。
細かく震える獲物の反応を感じ取っているのか、感度の高い部分を探るように、鎖骨や首筋、脇や下腹へ少しずつ流れていく。
「んぅ…っ…!」
太腿に絡む触手が尻の割れ目深くへ入り込み、アズライトは目を細め、眉を歪ませる。
反射的に腰が反り、動きに反応した触手が下腹部や尻を刺激する。
次第に息を弾ませる胸は、太い触手に圧迫されて張り出し、その中心にあるふたつの小さな乳首は、スーツにくっきりと浮き出て薄い布地を押し上げる。
身体の反応を抑えられず、アズライトの頬は上気し、引き結ぶ口の端から吐息が漏れる。
「…っ…!!」
やがて触手の動きは、"ある一点"に集中し始める。
全身に絡むものはそのままに、株の内壁から新たにいくつもの細い触手が形成され、アズライトの身体の中心である局部へ伸びていく。
この[菟葵の異形]はじめ、[異界のもの]たちが『現実世界』の人間を襲う目的は、"生命維持のための食事"である。
[彼ら]の糧となるのは、人間の主に体液――つまり血液や汗など、体内から分泌される液体であればなんでもいいのだが、最も少量で効果的な体液は、男性の精液だった。
[異界]とは全く異なる環境である『現実世界』に長時間体躯を晒すことは得策ではなく、[異界のもの]としても即時に効率よく"食事"をするために、多くの場合は若い成人男性を好んで襲う。
太股の間から伸びた触手が、局部を囲うように辿り、スーツの中におさめられた陰茎の形を浮きあがらせる。
突き出された局部に無数の細い触手が集まり、うごめきながら覆いつくす。
「んぅっ、く…!」
触手はうごめきながら局部を擦り、細かないぼで刺激を与え、次第に硬くなる陰茎を絶えず圧迫する。
局部を囲む太い触手は、陰茎の付け根から掴みむように巻きつき、全体を強く揉み込みながら上向きに引っ張り上げる。
「! ああんっ…!」
強い痛みと快感に襲われ、たまらずアズライトは喘ぎ声を漏らす。
びくりと身体が震え、亀頭部分のスーツが先走りで染みをつくる。
「っや、めろ…!!」
息を乱しながらアズライトが大きくもがくと、胴や胸に巻きつく触手が、その華奢な体躯を強く絞る。
「! あくぅっ…」
人外の凄まじい締めつけに、アズライトの面持ちが苦悶に歪む。
ひとしきり締め上げてすぐに緩められ、落差に気を失いかける。
抵抗する力を失ったアズライトを再び触手が巻き取り、無防備な陰茎を再び襲う。
「あ、んぅ…っ…」
先ほど受けた刺激で陰茎は勃起し、戦闘スーツをつき破らんばかりに押し上げていた。
細い触手の束は、スーツごと陰茎に巻きつき、勃起したそれを根元から扱く。
「あっん…! あぁ、あっ…」
アズライトは薄目を開け、途切れとぎれに喘ぎ声を漏らし続ける。
触手の擦る動きに合わせ、腰が前後に動く。
全身を這い回る触手も、獲物へ絶えず刺激を与え続けていた。
いぼがスーツを通して肌に吸い付き、乳首を、脇腹を、尻を弄ぶ。
あらゆる性感帯が襲われ、アズライトの身体が快感に揺れる。
身体の全てを犯され、昂りが頂点へと差しかかった時、亀頭を弄っていた触手が、スーツ越しに尿道を突き刺す。
「ああうっ…!!」
アズライトの身体は大きく跳ね、突き出された股間がびくびくと震える。
先端に突き刺さった触手が抜かれると、先端で溜まっていた精液が一気に溢れ出る。
陰茎を刺激していた触手の一つがその先端をホースのように形を変え、アズライトの陰茎に喰らいつき、漏れ出す白濁の液をすすり取っていく。
「っ、はぁ、あっ! ……んうっ…」
触手は陰嚢と陰茎をすっぽりと呑み込み、波打つように圧迫しながら吸い続ける。果てた後も動きは止まらず、アズライトに更なる射精を強要していく。
[異形]の攻めを受け入れるしかないアズライトは、息を荒げ艶声を漏らしながらも懸命に意識を保ち続けていた。
すると、彼のすぐ目の前の触手の隙間が膨れ、ずるっと何かが生え出てくる。触手と同じ色をした半透明なそれはゆっくりと人型に形作られ、アズライトの目の前に伸びてきた。
「不躾に私の寝床に潜りこむ鼠を捕えたつもりだったが…お前ではなかったな」
「…[侵略者]…!」
アズライトはわずかに声をあげ、虚ろな目で睨む。
現れた[侵略者]――[海華]は息を乱す獲物を足先から舐めるように観察し、その整った美貌の鼻先まで顔を近づけると、苦しげに半開きになる唇を指の腹で撫ぜた。
「触るな…っ、 っ!!」
逃れようとそむける細い首を掴み、軽く締めあげる。
「んっ…く……」
「どう甚振ってやろうかと思ったが、簡単に殺してしまうのは惜しいな。…これはなかなか愉しめそうだ」
[海華]はにやりと口角をあげると、力無く傾げるアズライトの顎を押さえ、その唇に吸いつき舌を挿入する。
「んぅ…っ」
アズライトは悶えるが、既に全身を犯され力が続かず、すぐに歯列を割られて舌を絡め取られてしまう。
[海華]は[異形]に吊られる痩躯に密着し、華奢でいてしなやかなその肉感を戦闘スーツ越しに確かめるように、触手の隙間を縫って手を滑らせていく。
「んんっ…、んぅっ! …んくっ…!」
温いその感触に、感度を増すアズライトの身体は跳ね、無意識にピクピクと反応し始める。それに呼応するように再び勃起し始めた陰茎は根元までしっかりと触手に咥えられ、収縮を繰り返す筒の中で射精が促されていく。
「っん……!! …っあ…」
二度目の絶頂を迎えたアズライトは[海華]から口を解放され、がくりと頭を垂れた。
ひとしきりアズライトの口腔を弄んだ[海華]は満足気に唾液を飲み干すと、ぐったりと触手に絡むその全身を眺める。[異界の者]たちの過激な凌辱にアズライトの身体は小刻みに震え、舐め回された艶やかな唇から荒く呼吸を弾ませていた。
[海華]は精液を吸い終えた触手を引き抜き、濡れる股間に手を触れる。戦闘スーツは吸いつかれていた形に盛り上がっていて、陰茎を強く撫であげると残りの精液が吐き出され、指に付いたそれを長い舌で舐めとった。
「こうも簡単にセイバーの精液を頂けるとはね…運が良かったか、こいつが特別容易いのか…」
嫌らしく口角を上げながら、[海華]は髪に隠れた獲物の顔を覗き見る。と、何かに気付いて動きを止める。
「…!」
落ちたと思っていたアズライトの両眼は、はっきりと[侵略者]を睨んでいた。
そして、周囲の温度が急激に下がっていく。彼に巻きつく無数の触手の表皮に霜が降り、その形質がみるみる硬くなり、先端から見る間に広がっていく。
凍りついていく[異形]は、自身の異変に虚を突かれたように一時動きを止めた後、轟音とともに激しくのたうち回りだす。
「…ほぅ」
[海華]は、ふいに繰り出してきたアズライトの『凍氷』の能力に薄く感嘆の声を漏らすと、身体を彼から遠ざけ始める。
触手から解放されたアズライトは目を剥くと、大剣の装具『氷柱』を顕現して両手に構え、凍った[異形]を足場に[海華]に飛びかかっていく。薙いだ一振りは[海華]にかわされて当たらず、[異形]の内壁をばっさり抉った。アズライトは空間を漂いながら逃げる[海華]を追い、二度目は切っ先を確実に身体へ食い込ませる。が、剣は貫かれず弾力のある組織に阻まれてしまう。しかし『氷柱』の強烈な凍気が次第にその表皮を変質させ、じわじわと凍りつかせていく。
「いいね、それ」
激しい怒気のこもったアズライトの攻撃と形相を、[海華]は涼しい顔つきで受け止めていた。
そしてぬるりと切っ先から抜け、背面から伸びでた触手に取り込まれると、内壁へと溶け込んでいく。
「待て!!」
追うアズライトは怒りに任せて『氷柱』を大きく振りかぶり、[海華]が消え入った壁に切り込む。切り口は瞬時に凍りついて組織が瓦解し、[異形]の防御形態が崩れていく。
「!? うぉ」
依然外側から硬い外壁を攻撃し続けていたロードナイトとオニキスの目にも異変が届く。[異形]のものであろう悲鳴が轟き、振動と共に硬く固まった触手が再びうごめきだす。驚いて見張る視界に、内側から大きく分断された壁の隙間から、冷気をまとい『氷柱』を携えたアズライトが飛び出てくる。着地して踵を返し、再び[異形]の中へと向かいかけたが体力の限界を迎え、装具はかき消えて身体が崩れ落ちた。
「アズライト!!」
二人はすぐさま駆け寄るが、アズライトは視線を[異形]へと向けていた。
「っ…中に…[侵略者]が…!」
「――!!」
「ロード、護ってろ」
オニキスは『暗虚』に闇の力を溜め、躊躇なく切り口から内部へ突入していく。ロードナイトは動けなくなったアズライトを抱きあげてサルファーの地点まで後退し、彼の動向を見守る。しばらく沈黙が降りた後…完全に凍った[異形]の塊から、オニキスが軽快に抜け出てきた。
固唾を呑むロードナイトに、近付いてくるオニキスは首を横に振った。
「――いねぇ、逃げられた。…残ったこいつはただの抜け殻だ」
「…やられたな…」
ロードナイトは息を吐き出して緊張の糸を解き、アズライトへ目を落とす。
腕に支えられ身体を預けるアズライトは、頬を紅く染め、弱々しく呼吸していた。その傍らで、背中に手酷い打撃を受けたサルファーが、いまだ気を失ったままうつ伏せに横たわっていた。
双方を見、ロードナイトは深く息をつくと、頭を垂れた。
「…戻るか」
重い空気を断つように、オニキスが髪をかき上げながら声をかけた。
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