7 / 69
本編
第3話_無防備な麗人_2
しおりを挟む
二人は図書館へ入り、蒼矢は先に席について、次の講義で使う資料に目を通し始める。
蔓田は広大な館内に敷き詰められた膨大な数の書籍から、タイトルも見ず適当にピックアップし、しばらくして蒼矢の向かいの席についた。
書籍に目を通さないまま機械的にページをめくりながら、蔓田は蒼矢の様子を観察する。
「いつもこうして時間を費やしているのか?」
蔓田からの問いに、蒼矢が図書へ落としていた視線を合わせる。
「はい。講義と講義の間が空いた時は、大体」
「真面目だな」
「…そういうつもりじゃないんですが」
「ああいう人間に比べれば、よほどこの施設の意義に即した時間を過ごしているように感じるが」
窓の外を視線で示しながら、蔓田はそう返す。
窓からは、大声で笑いながら複数人でダラダラと道を歩いている他学部生や、整備された構内庭園をバックに写真を撮る一般人、遠くのグラウンドでなにをするでもなく戯れているどこぞのサークル集団など、色んな人々の様相が見える。
蒼矢はペンを置き、蔓田から視線を外して少しうつむいた。
「大学は学ぶだけの施設じゃありませんから、彼らが間違っていて、僕が合っているということはないと思います。…こうしている方が性に合っているから、ここにいるだけです」
内向的な性分である蒼矢は、どこか自分に言い聞かせるように答える。
少しの間沈黙が続き、蒼矢が顔を上げると、蔓田は蒼矢の顔をぐっと近距離で眺めていた。
「!」
驚いた蒼矢は、思わず机から手を放して身を引くが、蔓田の姿勢は変わらない。
「…お前、綺麗な顔をしているな」
「…えっ…?」
蔓田はそう言いながら、ずっと視線を送り続ける。
蒼矢の胸から上を一つひとつ観察するように、目線を細かく動かしている。
蒼矢はそんな蔓田の様子にわずかに異常さを感じたが、視線を外すことができない。
蔓田は広大な館内に敷き詰められた膨大な数の書籍から、タイトルも見ず適当にピックアップし、しばらくして蒼矢の向かいの席についた。
書籍に目を通さないまま機械的にページをめくりながら、蔓田は蒼矢の様子を観察する。
「いつもこうして時間を費やしているのか?」
蔓田からの問いに、蒼矢が図書へ落としていた視線を合わせる。
「はい。講義と講義の間が空いた時は、大体」
「真面目だな」
「…そういうつもりじゃないんですが」
「ああいう人間に比べれば、よほどこの施設の意義に即した時間を過ごしているように感じるが」
窓の外を視線で示しながら、蔓田はそう返す。
窓からは、大声で笑いながら複数人でダラダラと道を歩いている他学部生や、整備された構内庭園をバックに写真を撮る一般人、遠くのグラウンドでなにをするでもなく戯れているどこぞのサークル集団など、色んな人々の様相が見える。
蒼矢はペンを置き、蔓田から視線を外して少しうつむいた。
「大学は学ぶだけの施設じゃありませんから、彼らが間違っていて、僕が合っているということはないと思います。…こうしている方が性に合っているから、ここにいるだけです」
内向的な性分である蒼矢は、どこか自分に言い聞かせるように答える。
少しの間沈黙が続き、蒼矢が顔を上げると、蔓田は蒼矢の顔をぐっと近距離で眺めていた。
「!」
驚いた蒼矢は、思わず机から手を放して身を引くが、蔓田の姿勢は変わらない。
「…お前、綺麗な顔をしているな」
「…えっ…?」
蔓田はそう言いながら、ずっと視線を送り続ける。
蒼矢の胸から上を一つひとつ観察するように、目線を細かく動かしている。
蒼矢はそんな蔓田の様子にわずかに異常さを感じたが、視線を外すことができない。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
溺愛極道と逃げたがりのウサギ
イワキヒロチカ
BL
完全会員制クラブでキャストとして働く湊には、忘れられない人がいた。
想い合いながら、…想っているからこそ逃げ出すしかなかった初恋の相手が。
悲しい別れから五年経ち、少しずつ悲しみも癒えてきていたある日、オーナーが客人としてクラブに連れてきた男はまさかの初恋の相手、松平竜次郎その人で……。
※本編完結済。アフター&サイドストーリー更新中。
二人のその後の話は【極道とウサギの甘いその後+ナンバリング】、サイドストーリー的なものは【タイトル(メインになるキャラ)】で表記しています。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる