ガイアセイバーズ -GAIA SAVERS-

独楽 悠

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本編

第20話_晒される恥辱(R18)

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まともに動けなくなった前衛をその場に置き、[蔓]はゆっくりと後衛の方へと近付いていく。
エピドートの暴風と巨木の大群とで造られた戦場は、風と無数の枝がはるか上空まで巻きあがり、中で何が起きているか不鮮明になるほど混沌と化していた。
「!!」
[蔓]の接近にいち早く気付いたエピドートは、『雷嵐』を突き上げ、雷を召喚する。次々に電流の柱が降り注ぐが、巨木を消し炭にはできても、[蔓]へは直撃しようが全く効き目が無い。
「まだわからないのか? 俺に属性攻撃は効かない」
セイバー達の持ち得る属性のいずれも効果が無い。暴風の防壁も無意味。エピドートもサルファーも、[異形]の相手だけでキャパシティーを超えつつある。
アズライトの元まで、[蔓]の行く手を遮れるものは何もなかった。
「…アズライト、逃げろ!!」
瞬間、[蔓]はひと跳びでアズライトへ急接近した。後衛二人の頭上を飛び越えてアズライトの目の前に入り、咄嗟に防御姿勢を取った彼へ体当たりする。
「っああっ…!」
宿主の手から離れた『水面』はかき消え、後方へ弾き飛ばされたアズライトは地に転がり、動かなくなる。
[蔓]は悠然と彼に近付いていく。
「この野郎っ…蒼兄に近付くな!!」
「サルファー! 駄目だ、行くな!!」
二人目がけて飛びかかっていこうとするサルファーをエピドートが大声で必死に制する中、[蔓]は彼らに背を向けたまま、ぐったりと横たわるアズライトを真上から見下ろした。
「手間をかけさせたな、アズライト」
「っ…!!」
[蔓]はアズライトの頬に足を乗せ、顔を上げさせる。内外を犯された身体で『索敵』し続けたアズライトは、とうに体力の限界を過ぎていた。そのまま引きずり起こされ、無抵抗に吊り上げられる。
「セイバー共、さきほど俺は"属性攻撃は効かない"と言ったが、少し語弊がある。正確には"ほとんど"だ」
そう言いながら、首根っこを掴み上げたアズライトを自分の盾にするように立たせた。
「わかったところでお前達に手立てはないが、一応教えてやろう。俺に効く属性は、"氷"だけだ」
耳慣れない単語に、セイバー一同は反応できずに沈黙する。が、一呼吸置いてエピドートが、何かに気付いたように目を見開いた。
「理解できる奴がいたようだな。おそらくこの『水使い・・・』にも察しがついたことだろう」
「…『アズライト』の後発能力か…!」
五人のセイバーには、それぞれ固有の属性能力が備わっている。一人につき一属性で、ロードナイトなら『炎』、エピドートなら『風』の属性を持ち、それらに沿った属性攻撃や属性防御を習得していく。
そして、サルファーとオニキス以外の三人には、セイバーとしてある程度成熟すると別の属性が発現する"可能性"が用意されている。『後発能力』と呼ばれるそれは、セイバーとして活動する期間内で必ずしも発現するとは限らない。そして、今のセイバーズで発現しているのは、エピドートである葉月だけだった。
エピドートの後発属性は『大地』で、戦闘に直接絡む属性ではなく、アズライトで言うところの『索敵』と同様に、『回想』という固有能力を使うことができるようになる。
ビデオカメラとメモリーカードのような役目を担い、自分がセイバーである間の全ての戦闘データを記録し、先の世代に記憶として引き継いでいけるようになる。そして『回想』能力が発現すると同時に、先代までに記録されたデータが呼び起こされ、自分の世代に過去の戦闘経験を生かすことができるようになる。
その、エピドートが持つ『回想』の記憶に、ごくわずかではあるが過去世代のアズライトの戦闘記録が残っていた。
その汎用性から、エピドートは比較的後発能力を発現しやすい傾向にあったが、アズライトはそもそも最初から固有能力を使えるという特殊な立ち位置もあってセイバーとしての適合者の入口が狭いため、歴代の他セイバーに比べ空席が多く、そこから更に後発能力まで発現した者は数えるほどもいない。
そんなアズライトに発現する可能性のある後発能力の属性が、[蔓]の唯一の弱点"氷"の能力である『凍氷トウヒョウ』だった。
[蔓]は片腕でアズライトの顔をもたげ、自分を見上げるように振り向かせる。アズライトは力無くそれに従うが、長い睫毛の奥に見える眼差しには、静かな殺意が込められていた。
「…悔しいか? 残念だが、お前はどうやっても俺には勝てない。お前に出来ることは、俺に身体を捧げることだけだ」
そう言うと、唇を吸い上げる。
「ん…、んくっ…」
抗えずに[蔓]を受け入れたアズライトの口元から唾液が溢れ出し、何度も喉が動いていく。
「まずい、催淫薬が…!!」
エピドートは異変に気付き青ざめるが、下手に動くことができない。
たっぷりと体液を流し込むと、[蔓]は他セイバー四人の方へ一瞥をくれてやった。
「セイバー共、アズライトが乱れ快感に溺れる姿を、お前たちにも見せてやる」
「…っあ…んっ…、 …あぁ…っ…」
直後、[蔓]の口から解放されたアズライトはその腕に身体をもたれ、喘ぐような熱い吐息を漏らし始めた。
一度に多量の体液を吸収し、アズライトの身体は急激に犯されていく。戦闘スーツに胸の突起がくっきりと張り出し、硬さを増す局部が内側からスーツを押し始める。
「あっ…ああぁっ、あはっ…」
「早いな。もう溜まったか?」
[蔓]は、身体の反応に任せて腰を突き上げるアズライトの局部に手をかけると、力任せに揉み上げた。
「あっう…!!」
アズライトはスーツの中で勢い良く射精した。ほとばしる自身に、全身が激しく痙攣する。
「勿体無かったな。まぁ、今後いくらでも味わえる」
「あ、んぅ…、んっ…んんっ」
[蔓]はその快感に震える唇を再び塞ぐと、セイバー達へ見せつけるように身体を犯し始める。片手はなおも勃起し続ける陰茎をスーツ越しに扱き、もう片方の手はもり上がった乳首を嬲り始めた。アズライトは尽きかけた力で[蔓]の腕を掴んで引き剥がそうとするが、やがて二度目の射精を強いられると瞳からから光が失せ、両腕がだらりと垂れ下がる。
「……!」
セイバー達は、アズライトの凌辱を見させられながら、その場でじっと耐えていた。
サルファーは、そのまさかの展開にしばらく表情を固まらせていたが、次第に憤怒の顔貌へ変わり、歯を剥き出して唸りながら、[蔓]を睨んでいた。エピドートがその身体を、ほとんど羽交い締めにするように抑え込んでいる。
顔を腫らしたオニキスは直視できず、怒りと悔恨の表情を見せながら、顔をそむけていた。
ロードナイトは、唇をかみしめながらアズライトを見つめ続けていた。
「…ーっ!!」
しかし、目の前で繰り広げられている光景に、足を踏み出せないでいた。
自分の想像をはるかに超えた強淫が行われていたという現実に、助け出したいと思う気持ちより、衝撃と戸惑いが勝ってしまっていた。
自分は、何を見させられているんだろうか。…何でこの足は動けないのか。
あまりに情けない自分の思考回路に、ロードナイトは涙が出そうだった。
「さて、今度こそ『お前たち』とはけりをつけよう」
巨木をひとつ呼び、アズライトを磔にすると、[蔓]は胸部のスーツを大きく切り裂いた。いたぶられて紅く染まった小さな乳首と、左胸に浮かぶ水滴文様の刻印が露わになる。
「石を破壊するだけでは、能力が消えたことにはならないということだな。…セイバーの状態で石もろとも力を奪うのが最適か。さしずめ、刻印を使い物にならなくすれば良い」
そう言うと刻印に手を当て、一気に高熱を放出させた。急に襲い来る焼けるような痛みに、朦朧としていたアズライトは目を見開き、叫び声をあげる。
「っ!! ぁ、あっ…ああぁっ!!」
「っ…やめろ! 離れろ!!」
アズライトの悲鳴に呼ばれるように、ロードナイトの足が動きだした。すぐ後にオニキスが続く。
しかしその行く手を塞ぐように、大量の巨木が立ちはだかる。
加えて、[蔓]によって痛めつけられた二人の身体は、思うように動けない。
「邪魔だ、どけ!!」
「くそっ…!!」
向かいたい先で、アズライトが身体をしならせ、最期の抵抗を見せている。
「っ蒼矢……!!」
ロードナイトが、アズライトの名を吼えた。
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