ガイアセイバーズ9 -萌える若葉を摘む獣-

独楽 悠

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本編

第10話_看過-6

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「っ…!!」

仰向けにソファに倒れ込み、つぶった目を開けたレツのすぐ目の前には、依然不機嫌そうに眉をひそめる麗しい面差しがあった。

押し倒した蒼矢ソウヤは、肩を掴んだまま顔を近付け、唇を重ねる。

「! んぅ…」

状況に頭がついていけずに烈は戸惑うものの、蒼矢のふいなキスに応えて吸い返す。

しばらく唇を合わせてからふと離れた蒼矢は、烈を至近距離から見つめた。
大きな瞳を細め、わずかに呼吸を乱し頬を上気させた面差しに、まだ免疫の乏しい烈は一気に緊張する。

蒼矢から漂うどこか妖艶な色香は、烈に数か月前の記憶を思い出させた。

……あれ? なんか今と同じようなこと、ちょっと前にもあったような……

呼び起されたのは数か月前、接敵した[侵略者]に毒針を刺されて精神を操られた蒼矢が、事情をなにも知らない自分の前に現れた時の記憶だった。
当時完全に意識を支配されていた彼は、着衣が乱れ、普段からは想像もつかない艶っぽい誘い言葉を紡ぎ、危うい空気をかもし出していたが…

…あの時、蒼矢意識なかったんだよな…? "なにも覚えてない"って言ってたよな…!?

…じゃあ、今のこれはなに!? まんま一緒じゃん…!!

烈は記憶に新しい過去と今を比べ、自分の中の情報が錯綜し始め、どちらが正しいのか、はたまたどちらも真実なのか、判別できなくなる。

「…そ…や…っ、…ぁの」

混乱する頭と高鳴る鼓動を一旦落ち着かせようとするが、言いかけた言葉を塞ぐように、再び蒼矢の唇が重なる。

「っ…んふ…」

先ほどより深く激しいキスに、烈は身体の中が昂り始めるのを感じた。
衝動に駆られて思わず彼の腰に手をあてがうと、またがる姿勢になっていた蒼矢は身体を落とし、更に密着して腕を烈の首に絡める。

欲望を好きなように満たしていく蒼矢を、烈はなすがままに受けいれる。
蒼矢の息づかいは短い間隔で繰り返され、時々漏れる喘ぐような吐息が、烈の耳を犯す。
身体の上をすべる薄い胸は細かく上下し、疲弊しながらも求めようとする彼の激しい熱情に、頭も身もとろけそうになる。

時間をかけずして、烈の中心はじんじんと熱を帯びていく。

唇が離れたタイミングで、烈は流されそうになる感情を戻して蒼矢を持ち上げ、自分の太腿の上に乗せる。

「…蒼矢、…そろそろ」
「まだ始めたばかりだろ」

納得がいっていないのか、身体を引き離された蒼矢はそう返し、烈の上衣をめくりあげようとする。
烈はその腕をやんわりと掴み、やや頬を染めながら続けた。

「…いやほんとに、…これ以上は、もう」

そう遠慮がちに漏らす烈の視線は、蒼矢の顔から開いた胸元へ泳いだ末に、真下の方へ動いていく。
それに誘導されるように蒼矢も目線を移していき、誇張した烈の大きな股間に行きつくと、はっと目を見張る。

「…またの機会にしねぇか? 今お前満身創痍だろうし、俺も結構疲れてるし」
「……」

そう諭されても、消化不良らしい蒼矢は、不服そうな眼差しを送り続ける。
しかしやはり、烈の昂りをおさめる気持ちの準備まではできていなかったのか、少し間をおいてから諦めたように頭を落とした。

烈は肩肘をついて身を起こし、蒼矢の頬に手をあてる。

「ごめんな。今は体を一日も早く治すことに専念して欲しいからさ。…な」

烈の柔和な声色の説得を聞き、蒼矢は少しばかり口を尖らせ視線を脇にそらしながらも、小さく頷いた。

名残惜し気に、蒼矢は軽くキスを落とす。
烈はその華奢な背中に手を回して優しくさすると、起こして正面から見つめた。

「明日も様子見に来るから」
「…」
「わかった、毎日来る」
「…うん」

そう約束を交わし、ふたりは今度はお互いが満たされるまで、長いキスをした。
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