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本編
第4話_母の依頼と、父の助言-3
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そんな調子でおおいに脱線してから、結子の話はようやく本題へ戻ってくる。
『彼女、お子さんがひとりいるの。英国でできた子なんだけど、産んですぐに旦那様とは別れてしまって。日本に帰れば、親御さんはじめ支えて下さるご親族がいるから、帰国するって選択肢もあったんだけど…彼女自身英国の空気が好きで、お子さんのことも外国語が身近にある環境にいさせたいと思って、おひとりで育てる道を選んだんですって』
「はぁ…」
『それでも、一度でいいから自分が育った国の地を踏ませたいっていう思いもずっとあったみたいで。就職すると親子一緒の旅行は難しくなるでしょう? だから、お子さんが学生の内にって。それで、お互いの都合がつく日どりでチケットをチャーターしたんだけど、彼女に急に日程調整できない商談が入って…ふたり一緒には日本に来られなくなってしまったのよ』
ここで蒼矢は母の冒頭の"お願い"につながる内容を察し、少し目を見張る。
『それでね…蒼矢には、その子の日本滞在期間中、一緒にいてあげて欲しいの』
「え…」
『親子で過ごす予定だったのに、生まれて初めての国にお子さん一人ぼっちじゃどこへ行くにも不慣れだし、寂しいでしょう? お話聞いた手前、お母さんも親の立場から心配になっちゃって…それで、蒼矢の話を出したの』
「…」
『蒼矢なら、つき添い安心して任せられるでしょう? あちらにもあなたのお話したら、すごく喜んでくれて、是非って言って下さってるのよ』
蒼矢が反応に窮して黙っていると、結子は口調をやや緩め、重ねて口説く。
『滞在中ずっとって言ってるわけじゃないのよ? お友達も2日遅れで来日できるから、せめておひとりで過ごすことになる1日だけでもつき添ってあげて欲しいのよ。…引き受けてくれないかしら…?』
「…」
母の真摯なトーンからつむがれる説得に、蒼矢は一時沈黙してから聞こえない程度に短く息をつく。
「…日取りはいつなんでしょうか」
『…! 今週末よ! 日本には土曜日のお昼頃着く予定なんだけど、その日はお子さんも疲れてるだろうし、翌日の日曜日だけ一緒にいてくれればいいわ』
抑揚が乏しくも前向きな返答が得られ、声色を明るくする結子だったが、反して蒼矢はスケジュールを聞いて動揺し、言葉を詰まらせる。
「……」
『…? 蒼矢? 聞こえてる?』
「! あ、はい。…わかりました…予定、空けておきます」
『…ありがとう蒼矢…助かるわ。急な話で申し訳ないけど、お願いね。明るくてアクティブで、思いやりのあるとても良い子なの。人見知りしないけどひととの距離感も心得てる子だから、心配無用よ』
「はい」
『毎日お勉強忙しいと思うけど、たまの気分転換だと思って。あなたにとっても、きっといい経験になると思うわ』
『彼女、お子さんがひとりいるの。英国でできた子なんだけど、産んですぐに旦那様とは別れてしまって。日本に帰れば、親御さんはじめ支えて下さるご親族がいるから、帰国するって選択肢もあったんだけど…彼女自身英国の空気が好きで、お子さんのことも外国語が身近にある環境にいさせたいと思って、おひとりで育てる道を選んだんですって』
「はぁ…」
『それでも、一度でいいから自分が育った国の地を踏ませたいっていう思いもずっとあったみたいで。就職すると親子一緒の旅行は難しくなるでしょう? だから、お子さんが学生の内にって。それで、お互いの都合がつく日どりでチケットをチャーターしたんだけど、彼女に急に日程調整できない商談が入って…ふたり一緒には日本に来られなくなってしまったのよ』
ここで蒼矢は母の冒頭の"お願い"につながる内容を察し、少し目を見張る。
『それでね…蒼矢には、その子の日本滞在期間中、一緒にいてあげて欲しいの』
「え…」
『親子で過ごす予定だったのに、生まれて初めての国にお子さん一人ぼっちじゃどこへ行くにも不慣れだし、寂しいでしょう? お話聞いた手前、お母さんも親の立場から心配になっちゃって…それで、蒼矢の話を出したの』
「…」
『蒼矢なら、つき添い安心して任せられるでしょう? あちらにもあなたのお話したら、すごく喜んでくれて、是非って言って下さってるのよ』
蒼矢が反応に窮して黙っていると、結子は口調をやや緩め、重ねて口説く。
『滞在中ずっとって言ってるわけじゃないのよ? お友達も2日遅れで来日できるから、せめておひとりで過ごすことになる1日だけでもつき添ってあげて欲しいのよ。…引き受けてくれないかしら…?』
「…」
母の真摯なトーンからつむがれる説得に、蒼矢は一時沈黙してから聞こえない程度に短く息をつく。
「…日取りはいつなんでしょうか」
『…! 今週末よ! 日本には土曜日のお昼頃着く予定なんだけど、その日はお子さんも疲れてるだろうし、翌日の日曜日だけ一緒にいてくれればいいわ』
抑揚が乏しくも前向きな返答が得られ、声色を明るくする結子だったが、反して蒼矢はスケジュールを聞いて動揺し、言葉を詰まらせる。
「……」
『…? 蒼矢? 聞こえてる?』
「! あ、はい。…わかりました…予定、空けておきます」
『…ありがとう蒼矢…助かるわ。急な話で申し訳ないけど、お願いね。明るくてアクティブで、思いやりのあるとても良い子なの。人見知りしないけどひととの距離感も心得てる子だから、心配無用よ』
「はい」
『毎日お勉強忙しいと思うけど、たまの気分転換だと思って。あなたにとっても、きっといい経験になると思うわ』
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