ガイアセイバーズ8 -地中に潜む捕食者-

独楽 悠

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本編

第8話_地中からの怪異-1

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会計をすませてティーサロンを出た蒼矢ソウヤとカレンは、次の行程まで再び海岸沿いの遊歩道を歩き、数分ほどで港へ隣接した商業施設へたどり着く。

赤いレンガで出来た建物周辺にはコンクリートスペースが広がっていて、丁度キャンプ用品を展示したり体験できたりするイベントが開催されていた。
アウトドアやキャンプ用の大型車両がつどい、ところどころにテントやタープなどが建てられ、大量のキッチンカーがそれらをとり囲うように、ずらっと一列に並んでいる。

「…素敵!」

イベントが開催されていることまでは把握していなかったのか、カレンは人々であふれかえるその光景と芳しいグルメの匂いに目を輝かせた。
本来は建物内のテナントを巡る予定だったが、ふたりは自然とイベント会場の方へ足が引きこまれていった。

「天気が良くてよかったわ」
「そうだね」
「ソウヤはキャンプやBBQは好き?」
「ほとんどやらないから、わからないな。君は普段からよくするの?」
「うん、週末には大学の友達とグランピングへ行ったり、ママの会社のBBQパーティに呼んでもらったりもするわ」
「へぇ…」
「英国ではBBQは日常よ! スーパーには串に刺した味付け済の肉が並んでるし、グリルでハンバーガーを作ったりもするの。ユイコさんを招待して、うちの庭でBBQしたこともあるのよっ」
「そうなんだ」

穏やかに相槌をうつ蒼矢へ嬉々として話して聞かせてから、カレンは鼻をすんすんと動かしながらキッチンカーの方へ視線をただよわせる。

「…見て、英国でも食べるような串焼き肉が売ってるわ。いい匂いね…美味しそう!」
「さっき食べたばかりで、まだお腹に入るの?」
「全然いけるわよ! デザートとはまた別に、お肉が入る別腹もあるのよ」

そう言ってウィンクすると、カレンはキッチンカーへ歩み寄っていく。

「…あ、会計は俺が…」
「いいの、払ってもらってばかりじゃわるいもの。安心して、日本円持ってるから」

ついていこうとした蒼矢を足止めして、カレンはひとりでカウンターでオーダーし始める。
やがて購入をすませた彼女は、少し頬を膨らませて戻ってくる。
手にのせられた紙トレーには、楊枝のささったブロック肉が盛られていた。

「失礼しちゃう。私の顔を見たとたん、串からお肉を外してしまったの」
「食べやすいようにしてくれたんだよ」
「…そうね。親切な人だったわ」

蒼矢からそうフォローされると、カレンは少し残念そうにため息をつきながら微笑を浮かべた。
気をとり直して楊枝をつまみ、ブロック肉を蒼矢へ差し出す。

「! え…」
「あーん」
「…!」

口元にカレンの指先を近付けられ、ふいをつかれた蒼矢は頬を染める。
彼女の満面の笑みに促されるように、ためらいながらも口を少しずつ開く。
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