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本編
第9話_選ばれた者が在るべき場所-2
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突如として[蠕虫]の大群が襲い、大勢の来場者が被害を被った港湾隣接の複合施設は、セイバーたちが転送していったあと、時間の経過とともに少しずつ混乱がおさまり静寂をとり戻していった。
[狩場]になりかけたイベント会場は、セイバーにより『転異空間』が造られたことで[異界のもの]が消滅し、あとにはコンクリートの地面が大きく隆起したり陥没したりと至るところにがれきの山ができ、人々が逃げまどった余韻か、敷地内にはいまだ一面に砂埃が漂っていた。
南側入口の駐車場が、負傷者の一時避難場所・仮救護スペースになっていた。
休日もあってもともと施設に訪れていたひとの数が膨大で、[蠕虫]から直接危害を加えられた怪我人から混乱による転倒や圧迫傷などの二次被害を受けた者まで、数えきれない被災者で溢れかえっていた。
かけつけた警察や救急隊員、付近の病院関係者が駆け回る中、カレンは蒼矢を支えながらなんとかたどり着き、歩道端の縁石に座れるスペースを見つけ、蒼矢をゆっくり降ろす。
座りこむ彼の背に手を当てながら、ウェットティッシュでこめかみから顎へ伝う血を拭う。
見た目より傷が浅いのか、時間の経過で血はすでに固まっているようだった。
「ソウヤ…、しっかり…!」
カレンが身体をさすりながら小声で呼びかけ続けていると、救急隊員が駆けつけてふたりの前にしゃがむ。
隊員は首を垂れる蒼矢の顔をのぞき込みながら問いかける。
「大丈夫ですか? 意識はありますか?」
「……」
薄くうなずく挙動を見、今度はカレンへと視線を上げた。
「どこを怪我しましたか?」
「あ、頭を…、きっと背中も打ってます。あとは…、私もよくわからなくて…」
「わかりました」
泣きそうな声でカレンが答えると、救急隊員はそうひと言だけ短く返し、黄色いトリアージタグを蒼矢の手首に付けた。
「順番に救急車を手配していますので、この場で待っててください。容態が変わったら、近くの隊員へお申し出ください」
手短に伝えると、救急隊員は次の被害者のもとへと移っていった。
カレンはぐったり傾ぐ蒼矢を自分の身体に寄りかからせる。
「じきに病院に連れてってもらえるわ。もう少し頑張って…!」
「……うん…」
カレンのあたたかな体温と柔らかな着衣の感触が伝わり、蒼矢はかすかに応え、彼女の優しさに甘えて身体を預けた。
[狩場]になりかけたイベント会場は、セイバーにより『転異空間』が造られたことで[異界のもの]が消滅し、あとにはコンクリートの地面が大きく隆起したり陥没したりと至るところにがれきの山ができ、人々が逃げまどった余韻か、敷地内にはいまだ一面に砂埃が漂っていた。
南側入口の駐車場が、負傷者の一時避難場所・仮救護スペースになっていた。
休日もあってもともと施設に訪れていたひとの数が膨大で、[蠕虫]から直接危害を加えられた怪我人から混乱による転倒や圧迫傷などの二次被害を受けた者まで、数えきれない被災者で溢れかえっていた。
かけつけた警察や救急隊員、付近の病院関係者が駆け回る中、カレンは蒼矢を支えながらなんとかたどり着き、歩道端の縁石に座れるスペースを見つけ、蒼矢をゆっくり降ろす。
座りこむ彼の背に手を当てながら、ウェットティッシュでこめかみから顎へ伝う血を拭う。
見た目より傷が浅いのか、時間の経過で血はすでに固まっているようだった。
「ソウヤ…、しっかり…!」
カレンが身体をさすりながら小声で呼びかけ続けていると、救急隊員が駆けつけてふたりの前にしゃがむ。
隊員は首を垂れる蒼矢の顔をのぞき込みながら問いかける。
「大丈夫ですか? 意識はありますか?」
「……」
薄くうなずく挙動を見、今度はカレンへと視線を上げた。
「どこを怪我しましたか?」
「あ、頭を…、きっと背中も打ってます。あとは…、私もよくわからなくて…」
「わかりました」
泣きそうな声でカレンが答えると、救急隊員はそうひと言だけ短く返し、黄色いトリアージタグを蒼矢の手首に付けた。
「順番に救急車を手配していますので、この場で待っててください。容態が変わったら、近くの隊員へお申し出ください」
手短に伝えると、救急隊員は次の被害者のもとへと移っていった。
カレンはぐったり傾ぐ蒼矢を自分の身体に寄りかからせる。
「じきに病院に連れてってもらえるわ。もう少し頑張って…!」
「……うん…」
カレンのあたたかな体温と柔らかな着衣の感触が伝わり、蒼矢はかすかに応え、彼女の優しさに甘えて身体を預けた。
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