ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-

独楽 悠

文字の大きさ
50 / 62
本編

第15話_凍てつく刃-4

しおりを挟む
「……!?」

[侵略者]へは葉月エピドート一択と思われていた中、水属性に最も不利なロードナイトを当ててきた影斗オニキスの策に、全員の眉が顰められた。

「そのざまじゃ、どうせ地上にいたってまともに使えねぇだろ」
「…」

オニキスからそうにべもなく評され、黙ったまま眉を寄せるロードナイトを気遣いつつ、エピドートはオニキスへ振り向く。

「でも…ロードは――」
「さっきの[侵略者]の見てくれが気になってよ。サルファーも"鯰"って言ってたらしいな。…ひょっとしたらあいつ、水属性じゃないんじゃねぇか?」
「…! デンキナマズかぁ!?」

サルファーがいの一番に思い当たり、声高に反応する。
ほか面々も、一様に目を剥いた。

「…風属性の可能性があるってことか!?」
「…確かに…、[彼]は蒼矢アズライトが騙された、とも言ってたね…」
「同じ水属性なら、地力は敵わなかったとしても騙された・・・・ってことにはならねぇ。アズライトに不利な風属性だったとしたら、『火炎』のロードが有利になる」

そう静かに述べると、オニキスはエピドートへ鋭い視線を浴びせた。

「蒼矢がアズライトとして加わるまで、これが当たり前だった。俺たちは判らねぇ中いつもこうやって予測して切り抜けてきた。…だろ?」
「……!!」

凝視し返してくるエピドートへそう言い放つと、ついでオニキスはにやりと笑った。

「…4年余りの間に、随分感覚が鈍っちまったようだな」
「それだけ、アズライトの存在に甘えてしまってたってことだね…」

オニキスの表情を受け、エピドートも息をつき、幾ばかりかの笑みを返すと、深緑の瞳に闘志を呼び戻す。
そして、いまだ言葉を失ったままのロードナイトとサルファーへいつも通りの視線を送った。

「…今話してた通りだ。ロード、[侵略者]の属性を風とみて、向かって欲しい。僕も帯同しよう」
「! 了解っす。でも…エピドートは水の中大丈夫っすか?」
「防御壁があれば、水中の影響は受けないことをサルファーが証明してる。君にとって不利な[異形]も、僕が対処できるしね。…心の準備は十分できてるよ」
「…わかりました、助かります」

「じゃ、分かれて対峙すっか。サルファー! こいつらが[侵略者]仕留めるまで、お前は俺と時間稼ぎだ。…アズライトを丁重にお相手してやろうぜ」
「!? ふっ…ふたりだけで!?」
「怖気づくんじゃねぇよ、数じゃ勝ってるんだ。俺がメインで当たる。…死ぬ気でサポートしろよ」
「っ…わかったよ…っ!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

処理中です...