ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-

独楽 悠

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本編

第16話_罠返し-4

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その肉声を聞いた[霆蛇テイダ]は、巨体をもたつかせながら起こし、目の前に立つ炎の戦士へ目を剥いた。

「なっ…!? …ありえない…、火炎のお前がここへ来ることは私の想定に入っていない!!」

もがき、避けようとする巨体の反対側へ回り込み、ロードナイトは逆側の鰭も全て薙ぎ払った。

「ぎっ…あ゛ぁぁぁ!!」

青い水中を大きな鰭が上へと漂い消え、辺りの水域を赤黒い靄と肉の焦げた煤が汚す。
全ての鰭を切り落とされ、苦しみ悶えながら[霆蛇]は渾身の落雷を見舞う。が、風属性が元々得意であるロードナイトには効果が薄い上に、彼を護る防御壁が完全に遮断する。そしてその防御壁の造り手である葉月エピドートは雷嵐をかざし、[霆蛇]の撃った落雷を集めて吸収する。

「はっ!!」

許容いっぱい帯電した雷嵐を足元へ突き、特大の落雷を引き起こす。
再び余所者の電撃を喰らい、力を維持できなくなった[水の異形]は沈黙し、水流が収まっていく。

「くそっ…くそっ!!」

おたまじゃくしのような風体になった[霆蛇]は、血をまき散らしながら尾鰭だけでその場を撤退していく。

「ここまでは、私の予測通りだったのに…っ…!! あと一歩だったのに…!! 糞!!」

[異形手駒]を無くし、推進力を失った重い体躯は、見る間にロードナイトに追いつかれる。
ぷるぷると左右に動く不細工な尾鰭へ、ロードナイトは紅い瞳を鋭く見開き、一閃する。

「ぎゃあ゛ぁぁぁっ!!」

そして、全ての機動力を失った黒い塊の前方へと追い越すと、唇から下をはみ出させるその顔貌を射殺すように睨んだ。

「散々蒼矢アズライトをたぶらかしてくれたな…正直てめぇは殺すだけじゃ足りねぇくらいだぜ。…その汚ねぇ面、二度と見せんな」

そう言い捨てると、『紅蓮ぐれん』を[霆蛇]の正面から水平に薙ぎ、切り落とした尾の付け根まで横一文字に振るう。

「…ぁぱぁっ……! …」

身体を上下に割られ、ふたつの塊に分かれた[霆蛇]は無抵抗に漂い、水に溶けていった。

紅蓮を振るい収めると、ロードナイトはエピドートの元まで戻る。

「…!」

そして無言で頷き合い、急ぎ地上を目指した。
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