彼の物語

趣味の悪い道化師

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1王都編

第3話 少女の決断

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2人が私を探しに来ているというのはすぐに理解することが出来た。
きっとラス男爵の命によるものだろう。

それでも、他に理解できないことがいくつかあった。

(なんで私を探して…いえ、それよりもどうしてこの場所が…?)

現時点では分からないことが多すぎる。それに、さっきからフランの両親の声が聞こえないのも気になる。

「…ふむ。君はここに隠れておいてくれ給え。僕が様子を見てくるとしよう。」

小声でフランが言う。行かせてはいけないと自分の直感がそう言っている。

それに、これ以上の迷惑はかけられない。ならば、私が為すべき行動は、一つだ。

「さっきの返答よ。まだ答えてなかった。帰る場所はあるよ。……私、奴隷なんだ。…ラスの野郎の」左肩をはだけさせ、禍々しい奴隷紋をフランに見せる。

「せーいかーい。だけどラスご主人様を野郎呼ばわりはどーかと思うなぁー。」
「…下の階の人達は、急所は外しましたが、一刻も早く診てもらう事をオススメします…。」

タイミングを計ったかのように部屋の扉が開き、犬耳の生えている獣人族の女と外見上は普通の亜人族だが、目隠しをしている女の2人が入ってくる。どちらも左肩が見える服装になっていて、その両方にレイと同じ奴隷紋があるのが見える。

「…では、行きましょうか。」
「さっきの感じを見るに暴れるなんてことは無いと思うけど、念のため眠っててもらおーかな。」

獣人族の女がレイの首の側面に手刀を打ち、レイを気絶させた。

「…彼女をどうするつもりだ。」

「さぁねー。それを決めるのは私達じゃなくてラスご主人様だからさー。」
「…ええ、そうですね。…それで、申し訳ないのですが、もう私達の事、放っておいてもらいたいのです。」

2人の言葉からラス男爵がレイを生かして連れてこせるという命令を彼女らにし、少なくとも2人にとってレイを殺すつもりはないだろうとフランは考える。

だが、屋敷に連れ戻されればレイの身の安全は無いといっていいだろう。そして、それを阻止する術がないというのもまた事実。

「それでは御機嫌よー。」
「…願わくば二度と相見あいまみえることが在りませぬように。…さようなら。」

何も出来ず黙ったままでいるフランを放っておくという件の同意と捉えたのか、2人はこの家を後にした。

フランは何もできない自分に苛立ちを覚えながら、本日二度目のお世話となる王宮魔術師へと伝達を飛ばすのだった。
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