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1王都編
第2話 少女の嘘
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「僕はフラン、君の名前を聞いても良いかな?」
「…レイ」フランの問いにそう答えるレイであったが、その表情にはどこか陰りがあるように見える。
そしてレイは左肩を隠すように右手を不自然に動かした。
「…成る程、素敵な名前だね。」不審な動きには特に気にしていない様子のフランはそう言うと立ち上がり
「それはそうと今日は生憎の灰の雨だ、君さえよければ家に遊びに来ないかい?」と言ってきた。
(きっとアイツは私が失敗したせいで私を捨てるかもしれない。そうしたら、もうアイツの顔を見なくてもいいんだ。)
レイはそう思うと、どこか気持ちが軽くなった。
「…うん、良いよ。なんだか、どうでもよくなっちゃった。」
「では決まりだね。門のところで待ち合わせをしている、特に何もなければ向かうのだが…」と言うとフランは私の姿を一瞥して、
「そのような恰好だと寒いのだろう、これを羽織ると良い。少しはマシになると思う。」と彼は身に着けていた暖かそうなローブを脱いで私に渡してきた。自分でも気づかないうちに震えていたのだろうか。
門に着くと人の好さそうなフランの両親が出迎えてくれた。
フランが手短に事情を話し、私の事も紹介していた。フランの両親はフランに友達が出来たという事をとても嬉しく思っているらしく、私を実の娘であるかのように優しく接してくれた。
馬車に揺られて体感数十分程だったが、色々話しこんでいると時間はあっという間に感じた。
「ここが僕の住んでいる家だ、そしてここが僕の部屋だ。好きなところに座ってくれて構わない。」二階にあるフランの自室へと案内された。
本棚に入りきらなかった本がそこら中に乱雑に積まれている。難しそうな本やとても分厚い本など様々な種類の本がある。
「僕の夢は、先程も言った通りなのだが、よければレイ、君の夢もお聞かせ願えないだろうか。」
答えに詰まった。夢とは何だろうか、あの日捨てられて奴隷として生きていかざるを得なくなった時から、夢とか希望とかは考えないように遠ざけて生きてきた。
「夢…は、特に無いかな、強いて言うなら綺麗な洋服や美味しい物をたくさん食べたりして、楽しく生きていきたい…けど。」
嘘だ。実際はそんなこと微塵も考えてすらいない。平然と嘘をつくことになれたのは一体いつからだろうか。
「ふむ、成る程。満足できる生活という訳か。ありふれた夢ではあるが、実際にそのような生活を送れているものはごく一部だろう。」
フランは私の夢を否定しない。それがどこか言い知れぬもどかしさと哀しみを感じた。そんなものは夢なんかじゃない、そう言って欲しかった私が心の何処かに居たのかもしれない。
「私からも聞きたいことがあるの。」
「なんでも聞いてくれ給え。僕に答えられる質問であれば、何でも答えよう。」
「全種族の人と友達になるって言っていたけど…具体的に何をするの?」
「具体的には、そうだね。僕は旅をしようかと思っているんだ。全ての種族に会いに行く旅さ。」
絶句した。この人は何を言っているのだろう。戦争の真っ最中であることを理解した上での考えなのか。
「旅…って、今世界各地で戦争が起こってるのよ…?」
「なんだ、そんな些細なことか。生憎だが戦争如きで止められる僕の夢ではないよ。」とさも当然かのようにフランは言う。
「ところでレイ、君は帰る場所があるのかい?」
彼は唐突にそのようなことを聞いてきた。自分が奴隷という事は言っていなかったはずだし、予想外の突然の質問に頭の中でハテナが飛び交う。
なにか言わないと、そう思い口を開こうとしたその時、一階から大きな破壊音が聞こえた。
「なんだね君たちは!」フランの父親が誰かと争う声が聞こえる。
「ラスご主人様の命により、お荷物のお引き取りに来ましたー。」
「…どうやら上ですね、…失礼させていただきます。」
人数は2人だろうか、私を探しているということを気付くのにそう時間はかからなかった。
「…レイ」フランの問いにそう答えるレイであったが、その表情にはどこか陰りがあるように見える。
そしてレイは左肩を隠すように右手を不自然に動かした。
「…成る程、素敵な名前だね。」不審な動きには特に気にしていない様子のフランはそう言うと立ち上がり
「それはそうと今日は生憎の灰の雨だ、君さえよければ家に遊びに来ないかい?」と言ってきた。
(きっとアイツは私が失敗したせいで私を捨てるかもしれない。そうしたら、もうアイツの顔を見なくてもいいんだ。)
レイはそう思うと、どこか気持ちが軽くなった。
「…うん、良いよ。なんだか、どうでもよくなっちゃった。」
「では決まりだね。門のところで待ち合わせをしている、特に何もなければ向かうのだが…」と言うとフランは私の姿を一瞥して、
「そのような恰好だと寒いのだろう、これを羽織ると良い。少しはマシになると思う。」と彼は身に着けていた暖かそうなローブを脱いで私に渡してきた。自分でも気づかないうちに震えていたのだろうか。
門に着くと人の好さそうなフランの両親が出迎えてくれた。
フランが手短に事情を話し、私の事も紹介していた。フランの両親はフランに友達が出来たという事をとても嬉しく思っているらしく、私を実の娘であるかのように優しく接してくれた。
馬車に揺られて体感数十分程だったが、色々話しこんでいると時間はあっという間に感じた。
「ここが僕の住んでいる家だ、そしてここが僕の部屋だ。好きなところに座ってくれて構わない。」二階にあるフランの自室へと案内された。
本棚に入りきらなかった本がそこら中に乱雑に積まれている。難しそうな本やとても分厚い本など様々な種類の本がある。
「僕の夢は、先程も言った通りなのだが、よければレイ、君の夢もお聞かせ願えないだろうか。」
答えに詰まった。夢とは何だろうか、あの日捨てられて奴隷として生きていかざるを得なくなった時から、夢とか希望とかは考えないように遠ざけて生きてきた。
「夢…は、特に無いかな、強いて言うなら綺麗な洋服や美味しい物をたくさん食べたりして、楽しく生きていきたい…けど。」
嘘だ。実際はそんなこと微塵も考えてすらいない。平然と嘘をつくことになれたのは一体いつからだろうか。
「ふむ、成る程。満足できる生活という訳か。ありふれた夢ではあるが、実際にそのような生活を送れているものはごく一部だろう。」
フランは私の夢を否定しない。それがどこか言い知れぬもどかしさと哀しみを感じた。そんなものは夢なんかじゃない、そう言って欲しかった私が心の何処かに居たのかもしれない。
「私からも聞きたいことがあるの。」
「なんでも聞いてくれ給え。僕に答えられる質問であれば、何でも答えよう。」
「全種族の人と友達になるって言っていたけど…具体的に何をするの?」
「具体的には、そうだね。僕は旅をしようかと思っているんだ。全ての種族に会いに行く旅さ。」
絶句した。この人は何を言っているのだろう。戦争の真っ最中であることを理解した上での考えなのか。
「旅…って、今世界各地で戦争が起こってるのよ…?」
「なんだ、そんな些細なことか。生憎だが戦争如きで止められる僕の夢ではないよ。」とさも当然かのようにフランは言う。
「ところでレイ、君は帰る場所があるのかい?」
彼は唐突にそのようなことを聞いてきた。自分が奴隷という事は言っていなかったはずだし、予想外の突然の質問に頭の中でハテナが飛び交う。
なにか言わないと、そう思い口を開こうとしたその時、一階から大きな破壊音が聞こえた。
「なんだね君たちは!」フランの父親が誰かと争う声が聞こえる。
「ラスご主人様の命により、お荷物のお引き取りに来ましたー。」
「…どうやら上ですね、…失礼させていただきます。」
人数は2人だろうか、私を探しているということを気付くのにそう時間はかからなかった。
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