【完結】身代わりで男装した王女は宮廷騎士の手で淫らに健気に花開く

酉埜空音

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:助けて、マティスー5:

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 馴染みの感覚のベッドで、信頼できる人たちの声を聴きながら眠りについた――はずなのだが。

 ローテローゼは、夢の中でもヴァーン皇子に追い詰められていた。
「王女、逃げる気か?」
 皇子の声が木霊する。
 夢の中では男装はしておらず、薄いピンクのドレス姿のままベッドに引きずり込まれた。
 やたらとよく切れる剣でずたずたに引き裂かれたドレス。はらはらと床に落ちる布切れ。
 やめてと泣き喚き逃げようとするローテローゼをあざ笑い、力で押さえつけてくるヴァーン皇子は、黒くて大きな存在だ。胸を無茶苦茶に揉まれ、秘所に捻じ込まれる太い指。いやなのに、やめて欲しいと願うのに、夢の中のローテローゼは淫らに喘ぎ、秘所はとめどなく蜜を垂らし、ぐちゅりと淫らな音がひっきりなしにする。

「いやぁっ……やめて……」

 そう叫んだのは、夢の中のローテローゼか、はたまた寝ているはずの自分か。
「いやだ、という割には……ぐちゅぐちゅに蕩けて俺を待ってるぜ?」
 両足を大きく開かされる。中で指をぐりぐりと動かされ、充血した肉粒をぐいっと擦られる。
「ひゃ、ああん!」
「良い声だぜ……」
 ヴァーン皇子が、身に着けているものを全て脱いだ。いよいよ貫かれるのだと体が硬直する。
 助けてほしくてマティスの姿を探したが、夢の中の彼は遠い存在だった。騎士の制服を着て王である兄の傍で笑っていた。
「そうよ……マティスは王の護衛だから王女たる自分が助けを求めてはいけないのよ……」
 そう思ったローテローゼは、渾身の力でヴァーン皇子を突き飛ばし、身を翻して走り出した。怒った皇子が追いかけてくる。側室になれ、と叫びながら。
 しかしボロボロのドレスでは思うように走れない。あっさり大男の腕に絡めとられて、悲鳴を上げる間もなくベッドに放り投げられた。

――助けて、マティス……
――助けて、マティス……

 ヴァーン皇子は、ベッドに上がってくるなりローテローゼの体を舐めるように見回し、申し訳程度に纏わりついていたドレスはびりびりに破かれ、身につけているものの何もかもが投げ捨てられる。

「いいか、お前は王ではない。ただの王女・ローテローゼだ。勘違いするな。偽りの王、兄の身代わりなのだ」

――いや、やめて……

「やめて、ここから先はマティスとしたい、そう願っていたことなの!」
 と、夢の中のローテローゼは必死に身を捩り、泣き喚く。
 それをあざ笑いながら――皇子の剛直が己を貫いた。
「きゃ、ああ!!! 助けて、マティス!」


 がばっと跳ね起きると、ひどく心配そうなマティスがすぐそばにいてくれた。
「ああ、よかった、ローテローゼさま……」
「マティ……ス……」
「ひどく魘されておいででした」
「起こしてくれたら……よかったのに」
「お声がけはしたのですが……とにかく、よかった。お水を持ってきますね」
 お願い、と、ローテローゼは頷く。
「それではすぐに」
 ローテローゼのベッドを離れ、マティスは思わず拳で目元をおさえた。もともと白い肌のローテローゼだが、血の気がすっかり失せてしまっている。
 青ざめた肌に乱れた金色の髪がはりついて、何とも痛々しい。
 ローテローゼをこんな目にあわせた皇子が許せない。
 が、何よりもあの会場でローテローゼから目を離した自分自身が許せない。
 震える足でベッドを離れたマティスは、ぎゅっと拳を握った。


 マティス助けて、と、ローテローゼは何度も口にした。だから、ベッド脇に駆けつけた。
 魘されて泣いている姿は胸が痛んだが、さすがに、ローテローゼの体に触れて起こすことは躊躇われた。
 何の悪夢を見ているのか容易に想像がついたからこそ、男である自分が触れることは躊躇われたのだ。

――ヴァーン皇子、絶対に許さない……

 マティスの黒い眼に、ちらりと強い炎が走った。
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