異世界に来た俺の話

四季織

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13 王都到着

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 いよいよ、王都へ旅立つことになった。
 旅立ちの前、伯父さんに身綺麗にしろと言われたオルは、髪を整えて無精髭を剃った。

 浮浪者ゴリラだったのに。
 卑怯だろ、こんなイケメンゴリラになるなんて!

 でも、なんとなく感じていたんだ。

 基本的に、この村の人達は顔が濃い。
 彫りが深くて目が鋭くて、美男美女揃いの村ってことなんだよね。
 オルが、ボサボサのモサモサすぎただけで。

 うっかり見惚れててしまってから、俺は容姿や逞しさより、オルの無骨さな優しさに惚れたんだって思い直した。
 人間、見た目じゃないんだよ。


 村を出発して半月後、俺達は王都の地を踏んでいた。
 伯父さんが奮発してくれて、村近くの街からは特急馬車で王都まで来た。
 直行便を出そうって張り切るから、それは俺達も遠慮した。さすがにそれはね。


 当たり前だけど、王都は壮大だった。
 途中経由してくる街も、村に比べたら都会だと感動していたのに、王都はそれ以上だ。

 パリの凱旋門をちっこくしたような門を抜けると、そこに広がっていたのはヨーロッパ風の石畳と大きな石造りの街並みだった。
 
 異世界風なのは、道行く人の衣装が中世っぽいのと冒険者風な人もいることか。
 この世界には、ファンタジーでいうエルフやドワーフはいないようだったが、似たような見目の人達ならいた。
 それらを見ているだけでも時間が潰せそうだ。

 街の大きさや賑わい、人の多さに興奮したり、中央広場にある見事な大聖堂に二人で声を上げたりして、宿を探す短い間だけでも興奮しっぱなしだった。

 でも、落ち着いてきたら。
 がくんと疲れが出た。
 俺にとっては、ガイドブックのない初めての海外旅行みたいなものだったから。

 未だに数を数えられない俺に代わって、道中の宿屋や料理の支払いはすべてオルがしてくれた。
 かっこいいと思ったのは内緒だ。

 実際、村を出たら、オルはただのガタイのいいイケメンで、俺達をカップルだと思わない女の人からお誘いをかけられることが多々あった。
 オルはことごとく無視してたけど、俺は内心穏やかじゃなかったんだ。


 俺の頭から、もやもやが消えない。
 オルの顔がバッチリ見えるようになって、実はイケメンでしたって分かってから特に。
 
 オルは、村で結婚相手がいなかったから、渡り人の俺を選んだんじゃないか?
 あの狭い村で、お母さんとの暮らししか知らないから。

 あの村での価値観は、体の大きさ、逞しさだった。

 村を出たら価値観は変わる。
 容姿、性格、有能さ、財力なんでもいい。
 オルがいいっていう娘も現れるっていうことだ。

 俺には誇れるものなんてない。
 貧弱で平凡で、頭も顔も良くない。
 渡り人の知識も力もない。
 この世界の人じゃない。

 俺は、この広い王都で、オルが本当に愛する娘を見つけてしまうんじゃないかって、怖かったんだ。

「シン?」

 駄目だ。疲れすぎてる。

「宿、探そっか」

 オルが頷いて、俺の手を握って歩き出した。



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