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24 王都に戻る
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俺達は第二騎士団の馬車で王都へ帰って来た。
俺が拉致されて、4日後のことだった。
俺は丸一日薬で眠らされて、遠く離れた町の聖堂へ連れていかれていたんだそうだ。
王都に戻って、念のため医者に診てもらったけど、薬を嗅がされた影響もなにもなかった。
俺を聖女だと思っていたから、体に差し障る薬は使わなかったんだろう。
俺が拉致された日。
帰りが遅い俺を案じて、イオさんとオルは集まりがあった店まで迎えに来てくれた。
ところがとっくに帰ったと言われるし、探しても俺は見つからない。
イオさんは焦るオルを宥めて、国内の治安に当たる第二騎士団に捜索願いを出してくれた。
と、同時に王都中の同郷ネットワークで声をかけたらしい。
本当にイオさんには感謝してもしきれない。
神殿を疑っていたユーシス殿下はすぐに俺の居所を掴んで、第二騎士団と早馬で救出に向かってくれた。
で。
第二騎士団から詳細を聞かされ、「救出を待つように」と言われた言葉を無視して、オルとイオさんは集結した村出身者と俺の救出に向かったんだって。
なんと、全員走って。
「並みの馬は俺らが乗ったら潰れるからなぁ」
「まぁ、走った方が馬より速いしなぁ」
え。馬より速いの? 人間が?
何度も頭を下げてお礼を言う俺とオルに、初めて会うのに村出身者達は気さくで豪快だった。
「いいってことよ」
「気にするな」
「嫁さんが無事で良かったよ」
あぁ。あの村の気質だな。
俺はひっそりと涙を拭った。
「まぁ、村のやつの大事な嫁に手を出されたんじゃ、殲滅するしかないしなぁ」
なんか不穏な言葉が聞こえた気がするんだが……気のせいだろう。
それから、7日ほどしたあと。
宿屋にいた俺達のところに、ユーシス殿下がやってきた。
俺の体調窺いと説明に訪れたんだ。
今は、眼鏡に職員風の装いに戻って柔和な笑みを浮かべてるのに、胡散臭くて仕方がない。
オルがあんなにユーシス殿下を嫌がったのは、本能的にこの人の裏を察してたからなのかな。
というか。
市役所でアルフォガンプという名字を聞いたときに、王族って気づくべきだったんだそうだ。
国王一家の名字で、この国の国名らしいから。
「お前達。自分の住んでる国の名前くらい知っとけ」
あとからイオさんに呆れられたんだった。
オルが警戒したまま俺を抱えて離さないので、ユーシス殿下には離れたソファに座ってもらった。
「まずは、お詫びとお礼を」
ユーシス殿下は市役所で会ったときのように、穏やかに話し始めた。
俺が拉致されて、4日後のことだった。
俺は丸一日薬で眠らされて、遠く離れた町の聖堂へ連れていかれていたんだそうだ。
王都に戻って、念のため医者に診てもらったけど、薬を嗅がされた影響もなにもなかった。
俺を聖女だと思っていたから、体に差し障る薬は使わなかったんだろう。
俺が拉致された日。
帰りが遅い俺を案じて、イオさんとオルは集まりがあった店まで迎えに来てくれた。
ところがとっくに帰ったと言われるし、探しても俺は見つからない。
イオさんは焦るオルを宥めて、国内の治安に当たる第二騎士団に捜索願いを出してくれた。
と、同時に王都中の同郷ネットワークで声をかけたらしい。
本当にイオさんには感謝してもしきれない。
神殿を疑っていたユーシス殿下はすぐに俺の居所を掴んで、第二騎士団と早馬で救出に向かってくれた。
で。
第二騎士団から詳細を聞かされ、「救出を待つように」と言われた言葉を無視して、オルとイオさんは集結した村出身者と俺の救出に向かったんだって。
なんと、全員走って。
「並みの馬は俺らが乗ったら潰れるからなぁ」
「まぁ、走った方が馬より速いしなぁ」
え。馬より速いの? 人間が?
何度も頭を下げてお礼を言う俺とオルに、初めて会うのに村出身者達は気さくで豪快だった。
「いいってことよ」
「気にするな」
「嫁さんが無事で良かったよ」
あぁ。あの村の気質だな。
俺はひっそりと涙を拭った。
「まぁ、村のやつの大事な嫁に手を出されたんじゃ、殲滅するしかないしなぁ」
なんか不穏な言葉が聞こえた気がするんだが……気のせいだろう。
それから、7日ほどしたあと。
宿屋にいた俺達のところに、ユーシス殿下がやってきた。
俺の体調窺いと説明に訪れたんだ。
今は、眼鏡に職員風の装いに戻って柔和な笑みを浮かべてるのに、胡散臭くて仕方がない。
オルがあんなにユーシス殿下を嫌がったのは、本能的にこの人の裏を察してたからなのかな。
というか。
市役所でアルフォガンプという名字を聞いたときに、王族って気づくべきだったんだそうだ。
国王一家の名字で、この国の国名らしいから。
「お前達。自分の住んでる国の名前くらい知っとけ」
あとからイオさんに呆れられたんだった。
オルが警戒したまま俺を抱えて離さないので、ユーシス殿下には離れたソファに座ってもらった。
「まずは、お詫びとお礼を」
ユーシス殿下は市役所で会ったときのように、穏やかに話し始めた。
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