エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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呪われた身体

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「魔法巫女ウズメ、祓わせてもらうよー」
ウズメの姿に変身した玲が、祓い串をドラクルに向ける、
「えいっ。マジカル巫術『星光波』」
「ふんっ」
祓い串から放たれた星形の電気弾は、ドラクルに跳ね返されてしまった。
「玲ちゃん。うちに幻覚をかけるにゃ」
「わかった。マジカル巫術『幻影分身』」
玲の払い串が降られると、美亜の姿が何人にも増える。
「みんな!いくにゃっ!」
何人にも増えた美亜が、鋭い爪をきらめかせて襲い掛かる。しかし、ドラクルは余裕の表情で爪をかわした。
「くそっ。あいつ素早いにゃ」
「そのまま攻撃しろ。俺が親父の動きを止めろ」」
アルカードは自らを光の霧に変換すると、ドラクルの後ろに回り込み、その首筋に噛みつき、「麻痺」の電気信号を打ち込む。
ドラクルの動きが一瞬だけ膠着した。
「今にゃ。『キャットクロ―』」
美亜は渾身の力を振り絞って、鋭くとがった爪を振う。美亜が放った爪は、ドラクルの胸を貫いた。
「もらったにゃ。吸血鬼の弱点は心臓に杭を打たれることにゃ。これでお前も……」
美亜の顔が驚愕に染まる。ドラクルの胸には、心臓が存在しなかった。
「残念だったな。余はあらゆる亜人類の遺伝子を吸収して、自らの力にしている。あのお方の血を分けていただいて、心臓を必要としない植物の体を得たのだ」
ドラクルの胸に開いた穴からは、無数の植物の根のようなものが見えていた。それが傷口をふさいでいく。
「そ、そんにゃ……心臓がないなんて」
「これで終わりだ!」
ドラクルの手からすさまじい雷が発せられ、美亜たちを襲う。
四人はなすすべもなく、地面に倒れこむのだった。

「ふふふ。邪魔者はすべて片付いた。ついでにこやつらも余の奴隷にして、子が産めるか試してやろう」
ドラクルの髪の毛が変化して、先に牙がついた蛇のようになる。倒れた四人にかみついて毒を注入しようとした時、澄んだ声が響き渡った。
「ちょっと待ちなよ」
「サタンか。久しいな」
ドラクルはやってきたサタンに笑いかけた。
「ああ、一万年ぶりだね」
「どうだ。様々な亜人類の能力を取り入れたこの私こそが、デーモン星人がかつて望んだ完成体だとは思わぬか?この私こそがすべての人類の頂点にたつべき、『救世主』なのだ」
ドラクルは、そう言って自らのマントと化した皮羽、背中についた蝙蝠の羽と鷲の翼、獣のような爪と蛇の髪をみせつける。それを見ていたサタンは、深くため息をついた。
「冗談でしょ。もう君は『血人類(バンパイヤ)』とも言えない。いろんな遺伝子を取り込みすぎて、ただの化け物になっているよ。借り物の力ばかりひけらかして自分本来の能力を軽視していると、足元をすくわれることになるよ」
そういうと、サタンは「ゼウス」専用エリアの太陽の光を最大現に引き上げた。
「『血人類(バンパイヤ)の弱点は目のレンズの調整が上手くできないことだ。どうだい?」
「無駄だ。余は『森人類(エルフ)』の遺伝子も取れ入れて目を強化し、『血人類(バンパイヤ)』の弱点を強化しておる……ぬ?」
サタンたちの姿が、光に紛れてホワイトアウトしていく。
「いくら目を強化したって、今度はその強化された目が強い光にとってマイナスに働く。どう?白い光の闇につつまれて、僕たちの姿がわからなくなったでしょう」
サタンの言う通り、光に紛れてアルカードたちの姿が消えていった。
「くそっ」
目のレンズの調整が間に合わず、ドラクルは光の中で方向を見失って迷走する。
「みんなが先に戦ってくれたおかげで、君の倒し方がわかったよ」
そう呟くと、美亜が命がけで開けた胸の穴に向けて、ウオーターマシンガンを叩きこむ。無数の水の結晶が、ドラクルの身体に食い込んだ。
「キミはユグドラシルの元になった元素植物の遺伝子を取り入れて、心臓が必要ない体になったんでしょ。そこに栄養がたっぷり含まれた水を与えられたら、どうなると思う?」
水の結晶が液体化すると、ドラクルの胸の穴からでた植物の蔓が爆発的に増殖する。それはたちまちドラクルの身体を覆い、根をはって彼の身体をその場に縫い付けた
「ここはキミにとって敵地のど真ん中だよ。僕たちに最大に有利な場所なんだ。調子にのって一人で奥まで攻め込んできた、キミの負けだよ」
サタンは動けなくなったドラクルに向けて、勝利宣言するのだった。

「くそっ。人類の『救世主』たる余が、こんな下賤な者どもに負けるとは!」
ドラクルは、なんとか足に生えた根を引き引きちぎろうとするが、どうやっても動けない。
「やれやれ。ブラックナイトの乗組員だったころには高潔な魂だったのに、どうしてここまで堕落しちゃったんだか」
「うるさい。余には全人類を救うという崇高な使命があるのだ。優れた亜人類を使って、人類すべてを導かねばならないのだ」
そう喚き続けるドラクルに、サタンは不審を抱いた。
「ひょっとしてキミ、洗脳されている?」
「バカな。『救世主』たる余を支配する者などおらぬ。余は世界の頂点に立つべき者なのだ」
狂ったように主張しつづけるドラクルを無視して、サタンは彼のうなじを確かめた。
「えっとー。ここに変な塊が埋め込まれているね。元素植物の核になる球根だね。美亜ちゃん。こことここの神経を切って」
「わかったにゃ」
美亜が爪を振るい、首元の脳と球根を繋いでいる神経を切る。すると、ユグドラシルに広がっていた吸血花ドラクレアが枯れていった。
同時に、ドラクルの瞳に理性の光が戻る。
「わ、私は今まで、何をやっていたんだ」
「どうやら、正気に戻ったみたいだね」
サタンがうんうんと頷く。
「そうだ……私はあの組織と戦いの最中、捕らえられて首に球根を埋め込まれてから思考を操られて……アルカード。本当にすまなかった」
「親父……」
正気に戻ったドラクルを見て、アルカードが泣きべそを浮かべる。
「その組織って、何?」
「組織の名は……『涅槃(ネハン)』。昔から亜人類を利用して、人類そのものを滅ぼそうとしている集団だ。世界統合教会は、その目的のために作られた下部組織にすぎぬ」
ドラクルは、人類の敵組織の名前をつげた。
「気をつけたまえ。彼らは世界規模の組織だ。その力は強大だ。そう、人類すべて合わせた以上の力をもつほどに」
そういうと、ドラクルはサタンに頼み込んだ。
「すまないが、私を燃やしてくれないか?この元素植物は、すぐに再び増殖して私の脳に根を張ろうとするだろう。正気を保っているうちに頼む」
「そんな……せっかく正気にもどったのに」
アルカードが悲鳴をあげるが、ドラクルは優しく娘を慰めた。
「気にするな。私の魂はブラックナイトに還るだけだ。後でいくらでも話ができる。今はこの呪われた肉体を滅ぼすことが先決なのだ」
「わかったよ。それじゃ、また後でね」
サタンが合図すると、ブラックナイトから結晶体が降りてきて、ドラクルを照らす。同時にユグドラシルからの通電でドラクルの身体が発火し、その肉体は一片も残らずに灰になるのだった。
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